前話感想欄で皆さん即バレ予想ばっかりで笑っちゃいました笑
一年以上の時を経て再会を果たしたリンは、ユメを前にして──
『コヒュッ…』
バチクソに焦っていた。それこそまともに呼吸ができなくなるほどに。
しかし、これまで便利屋『カオナシ』として行動してきた経験によって、即座に平静を取り戻して対応する。
『取り合えず立ったままだとあれだし……そこの椅子にでも座ってくれ。…先生はすでにアビドスに向かったから、帰るっていうならそれでもいいが』
そう言いながらも、カオナシはコーヒーを淹れて──
(──あれ、なんで俺コーヒー淹れてんだ…?)
──訂正、全然平静を取り戻せていなかった。それどころか動揺しすぎて結果的に、迎え入れる準備をしていることに気付けていなかった。
"まずい"と思ったのもつかの間──
「そうだね~、また先生とすれ違いになっちゃうと困るし、お邪魔させてもらおうかな?……コーヒーも淹れてくれてるみたいだし、喉も乾いてきちゃってるから」
"失礼しまーす"と言って、ユメがシャーレの部室に入ってくる。……今更帰ってくれなんて言えないし、そんなことをすればシャーレの信頼に傷がつくかもしれない。
依頼を受けている身としてそのようなことはできないと考えたカオナシは、内心で"やっちまった……"と、自身のやらかしに天を仰ぎたくなった。
………………
"やってしまったものは仕方ない"と意識を切り替え、ユメを席に案内する。
『──さっき話してた通り、先生はもうアビドスに向かってしまったからな。……俺も書類整理をしなくちゃならないし、これといった持て成しはできないが勘弁してほしい。……とりあえず、コーヒーとお茶菓子くらいは置いておく』
「ありがと~」
ユメの前にコーヒーとお茶菓子を置いた後、カオナシは書類仕事の続きを行う。
カリカリ…
『……』
「……」
ペラ…カリカリ…
『……』
「……」
カリカリ…
『……さっきからずっとこっちを見てどうした?』
カオナシは、ずっとこちらを見てくるユメに対して、そんな疑問をぶつける
「……その顔につけてるお面、外さないの?」
ユメのその言葉に、数秒ほど黙り込んでしまう。
『便利屋っていう職業上、あまり人に顔を知られるわけにはいかないんだ。私生活にも影響が出るしな』
「シャーレの職員じゃなかったんだ………私、別に言いふらしたりしないよ?」
ユメにそう言われ、"そもそもユメやホシノにバレたくないから仮面付けてるんだけどな……"なんて考えながらも、どうするかと思考し──
『そこまで言うなら、外すか』
──あえて、仮面を外すことにした
「──ほんと!?さっきからずっとどんな顔なのか気になってたんだ~」
"隠されてるものを見ると、見てみたくなっちゃうよね~"なんて、笑いながらユメが言う。
その言葉と共に、カオナシは
「──え?」
──まったく同じ模様の仮面があった。
『…ハハッ、どうした?望み通り外したぞ?』
なんて、いたずらが成功したかのように笑いながら、カオナシは言う。
何故仮面の下に仮面があったのか、それは──
(──万が一のために、ウタハに作ってもらっておいてよかったな)
──ミレニアムのエンジニア部所属のウタハに作ってもらった、チョーカー型立体映像装置のおかげであった。
元々はヘイローから自身の存在がバレてしまうことを防ぐために作ってもらったものであり、この装置で自身のヘイローの上から別の形状のヘイローを投影することによって、これまで身バレを防いでいた。
その装置を応用し、自身の顔を覆うように仮面の立体映像を投影することで、あたかも仮面の下にさらに仮面があるかのように見せていたのだ。
──ちなみにこの装置にも、例のごとくBluetoothが標準機能としてついている。
ひとしきり笑った後、コーヒーの入ったコップを手に取り、口につけ──
「──リンくん?」
『ンゴフッ!!』
──ユメの言葉に、思いっきりむせ返った。
「わぁっ!?だ、だいじょうぶ!?」
『あ、あぁ…問題ない。ちょっとコーヒーが気管に入って咽ちまっただけだから……』
リンは混乱していた、なぜ今のタイミングで自身の名前が出てきたのか、もしかしてバレてしまったのか…?と、戦々恐々としながらもユメに"リンとは誰なのか"と訊ねる。
「えっと、実は私にはリンくんって幼馴染がいてね……私がまだ二年生の時にいなくなっちゃったんだけど……」
『……それで?』
「──なんとなく、カオナシさんがリンくんなような気がして、つい……おかしいよね、ヘイローの形だって違うのに」
"あはは、なんでだろうね~"なんて、ユメは笑いながら言う。
(────え、なんとなくでバレかけたの……?さすがにそれはどうしようもないんだけど?)
体の線がわかりにくい服装に身を包み、仮面を付けて顔を隠し、ヘイローを偽装しても尚、"なんとなく"でバレかけるのは予想外すぎた。
ユメの勘の良さに、恐れおののいていると──便利屋『カオナシ』として利用している通信端末が、音を立てる。
一言ユメに断りを入れて端末を確認すると、そこには先生の名前が表示されていた。
『──もしもし、…先生、どうした?』
そう訊ねると、しばらくの間をおいてから、電話越しに一言──
『迷っちゃった……』
──と聞こえてきた。
『……』
『……あの、カオナシ?』
書類を残したまま出ていった先生のその一言に、カオナシはビキリと青筋を立て──ドスの効いた声で、先生に告げる。
『──ちゃんと事前に準備してから行動しろや……その場から動くんじゃねぇぞ』
『ひぃい!?ごめんなさぁい……!』
………………
その後、先生に現在位置を送信するように伝え、電話を切った。
『はぁ────っ』
(──まさか、こんな形でアビドスに赴くことになるなんて……)
今までずっと直接訪れることを避けていたのにもかかわらず、先生が遭難してしまったことで行かざるを得ない状況になってしまったことに、ため息がこぼれてしまう。
「あはは……大変そうだね……」
「──そうだ!もしよかったら、私が車でアビドスまで送っていこうか?」
どうしたものかと思っていると、ユメからそんな提案がなされた。それに対し、流石にこれ以上一緒にいればバレかねないと判断したリンは、その提案を断ろうとするも
「カオナシさんはアビドスについてあんまり詳しくないよね?先生から位置情報を送られてはいるけど、迷っちゃわないとも限らないし……一緒に行った方がいいと思うな?」
──と、先んじてユメに言われてしまう。
(──困った、完全に善意で言ってるし、断れるような強い理由がない……)
『………それじゃあ、よろしく頼む』
実際にはアビドスの土地勘については何の不安もないのだが、そのようなことを言ってしまえば余計に怪しまれてしまうため、提案に乗らざるを得なかった。
長い時を経て──再びリンは、アビドスの土地に足を踏み入れる。
………………
ユメの運転する車に乗ってアビドスに向かう最中──後部座席に座るカオナシは、窓の外を眺めていた。
顔は仮面で隠れていて見えない。しかし、どこか懐かしいものを見ているような雰囲気を、ユメはバックミラー越しに視界に捉えていた。
(──カオナシさんはリンくんじゃないはずなのに、なんで懐かしさを感じるんだろう)
(……ねぇ、今どこにいるの?)
「……会いたいよ、リンくん」
──ユメのそんなつぶやきは、エンジンの音に搔き消され……誰の耳にも届くことなく、消えていった
という訳で、バレはしないけど、バレかけるという展開でした。
女の勘は恐ろしいですねぇ……バレるのも時間の問題ですかねぇ……クックック
2025/2/6追記
【ヘイローの偽装について】
投稿した後に公式からお出しされた"生徒はヘイローの形を判別できない"という情報に無事刺されました、作者です( ´ཫ`)
こちらに対する本作の回答としましては、過去編でも出ていた神秘の操作技術を高レベルで修得しているほど鮮明に視認できる、という設定にさせていただいております。
以上、ご了承頂けますと幸いです。
当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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男
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女
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オネエ
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姉御