ユメ先輩豆知識
・金銭面に余裕がないにもかかわらず、車を所持していたユメ先輩。
実はこの車は、一月ほど前にアビドスを襲撃してきたヘルメット団が乗り捨てて逃げていったものを強d……拝借し、改造したものである。
今回終盤シリアルです。
遭難した先生を拾いに行くため、ユメの運転する車に乗って移動している最中、再び先生から電話がかかってきた。
『──もしもし?』
『あ、カオナシ?実はさっき、アビドス高等学校に通うシロコちゃんって娘に会ってね。カオナシには待っててって言われてたけど、学校まで送ってもらえることになったから念のために連絡しておこうと思って』
『──俺たちが向かっているっていうのに、態々他の生徒に迷惑をかけるのか?』
『うっ……、い、ちおうちゃんと説明はしたけど、それでも送ってくれるっていうから、断り続けるのも悪いかなって思って……』
先生の申し訳なさそうな声を聴いたカオナシは、"まぁ、そのシロコって娘が送っていってくれるっていうならいいか"と判断する。
『……そうか、ちゃんとお礼は言ったか?』
『もちろん!……あれ?もしかして今私のこと子ども扱いした?』
『気のせいだろ──じゃあ切るぞ』
"あれ~?"なんて言っている先生を無視して、電話を切る。
「先生からの電話?なんて言ってたの?」
『んー?なんかシロコっていう娘に会って、学校まで送ってってもらうらしい』
「そっか、シロコちゃんが先生を見つけてくれたんだ。私たちがたどり着く前に倒れちゃわないでよかったねー」
『そうだな。……いや、生徒に迷惑をかけたのは良くないな。──あとで七神さんにでもチクっとくか』
"あはは……"なんて乾いた笑いを浮かべるユメを見据えながら、どうしたものかと考える。
(……先生の無事がわかったし、もう俺が向かう必要もないか)
そう判断したカオナシは、ユメにここで降ろしてもらうように伝える。……しかし
「ダメだよー」
──と言われ、却下されてしまった。
『……なぜ?』
「……だって、こんな砂漠の真ん中で降ろしちゃったら、今度はカオナシさんが遭難しちゃうし。──先生を迎えに来たのにカオナシさんが遭難しちゃったら、本末転倒じゃない?」
『……いや、そこまで気にしなくてもいいぞ。実は依頼でアビドスには来たことがあって──』
「嘘、だったら私が車で送っていくって言ったときにそういえばよかったでしょ?」
『それは、まぁそうだけども……いや、でも──』
その後もあの手この手で降ろさせてもらおうとするが、すべての提案をすげなく断られてしまい──やがてカオナシは、抵抗をやめた。
──彼は今も昔も、こういったことでユメとの口論には勝てたためしがなかった。──まことに哀れである
(──カオナシさんにリンくんの面影を見ちゃった理由を、ちゃんと確かめないといけないからね。まだ顔も見れてないし……もし人違いだった時はごめんなさいだけど)
………………
そして、もう間もなく学校につくというところで──
「あれ?」
『……どうした?』
「学校のあたりから煙が上がってる……まさかまたヘルメット団が……!」
ユメの言葉を聞いて察する──いま、アビドスが襲撃を受けているということを
沸々と湧き上がる怒りを抑え込み、ユメに降ろしてもらうように頼み込む。"自身が背後から奇襲を仕掛けるから"、と……しかし
「ううん、その必要はないよ──このまま突っ込むから……!」
『………え゙っ?』
──突っ込む?……このまま?
先ほどまで抱いていた怒りの感情が、困惑に置き換わる。その間も、次第にユメが運転する車の速度が上がっていき──
『いやちょっと待っ』
「いっくよー!!」
カオナシの静止の言葉も聞かずに、ヘルメット団に向けて突っ込んでいった。
………………
──時は少し遡り、先生がアビドスの生徒たちを指揮して戦っている場面に移る
「まったくも~、ヘルメット団も懲りないねぇ…どれだけ襲撃してきたって無駄なのにさぁ?ねぇシロコちゃん?」
"これじゃあおちおちお昼寝も出来ないよ~"なんて、呆れたように言うホシノ。
「ん、どれだけ攻めてきても返り討ちにするだけ」
「そうは言っても、先生が来なかったら結構ギリギリだったけどね。どれだけやる気があっても、物資がなくちゃまともに戦えないし」
「……認めたくは無いけど、そこだけは先生に感謝しなくちゃ」
大人たちは、これまでどれだけ助けを求めても、手をさし伸ばしてくれなかった。故に彼女──セリカは、手紙を読んでアビドスに来てくれた先生のことであっても、疑いの目を向けることを辞めなかった。
……戦闘が始まる前までの先生が、あまりにも頼りなかったというのも、安易に認めたくない理由の一つではあるが。
「まぁ、物資がないならないで、殴り飛ばしちゃえばいいだけだけどねぇ~」
「それが出来るのはホシノ先輩とユメ先輩だけでしょ!……やる時はやるけど!」
「ん、私もいざとなったら銃がなくても戦う」
「いやぁ~、みんな立派に成長してくれて、おじさんも嬉しいよ~」
「私たちとそんなに歳変わらないでしょ!」
襲撃を受けていても、余裕そうに会話を続けるアビドスの生徒たち。そんな彼女達の様子を見たカタカタヘルメット団のメンバーは苛立ち、攻撃を激化させていくが、歯牙にもかけない様子でいなされ、返り討ちにあい倒れていく。
「それにしても、先生の指揮は凄いですね~。相手は普段よりも多いのに、いつも以上に戦いやすいです☆」
『はい、噂には聞いていましたが、まさかここまで戦いやすくなるだなんて……先程までの先生の様子からは考えられないです』
『えへへー、ありがとうノノミちゃん、アヤネちゃん!…………あれ、アヤネちゃんは褒めてくれてるんだよね?』
前衛が安定してるため、後方支援組もかなり余裕を持って会話をしている。しかしそれでも、決して戦場から目を離さずに要所要所で支援を行っていた。
所持する銃器の特性上、先生のおかげで物資に余裕があるとはいえ、やたらめったらと撃つことが出来ないノノミも、然るべきタイミングに備えて戦況を見据える。
それから少しして──前衛組に誘導されたヘルメット団が一箇所に固まった。
『ノノミちゃん!』
「はい先生!──行っきますよ~!そ~れっ☆」
先生からの合図に合わせ、一斉掃射──緩い掛け声とは裏腹に、凶悪な銃弾の嵐が外敵を撃ち抜いていく。
「うへ~、やっぱり物資に余裕がある時のノノミちゃんの一斉掃射は驚異的だねぇ」
「ん、最近はあまり撃たせてあげれてなかったから、今日は思う存分ヘルメット団をサンドバックにして欲しい」
「うんうん──ノノミちゃーん!思う存分撃っちゃって良いよ~!」
「はーい☆」
「……ホシノ先輩も、シロコ先輩も物騒すぎない?……気持ちはわからなくもないけど」
そんな事を話しつつも、前衛組は命からがら銃弾の嵐から抜け出した相手を、無慈悲にも一人ずつ的確に処理していく。
──戦況は既に、ノノミの銃撃によってヘルメット団の殆どが倒れ伏したため、ほぼ消化試合のような形になっていた。
このまま戦い続けても勝ち目が無いことを悟ったヘルメット団のリーダーは、撤退を指示。これにて戦闘は終了──そう誰もが思った時
『──先生!ヘルメット団後方より急速な接近反応です!』
シッテムの箱に宿るアロナから、その様に告げられる。
即座に先生は、アヤネにドローンを飛ばしてもらい、対象を確認してもらう様に指示をする。
それから少しの間を置いてカメラに映ったのは──一台の車だった。
『あれは……ユメ先輩が乗ってる車じゃないかと思います』
『ユメ先輩って言うと、私がすれ違いになっちゃったこの学校のOGの娘のことだったよね』
"味方か~、良かった~"なんてホッとする先生。しかし──
『……ねぇアヤネちゃん、車の速度全然落ちないね』
『そうですね……えっ?…まさかユメ先輩あのまま突っ込む気ですか!?』
そんな事を話している間も、どんどんとヘルメット団との距離は近づいていき──
「「「「うわぁぁぁッ!!」」」」
──思い切り轢き飛ばした。
(((((えぇ……)))))
襲撃したものの返り討ちに会い、撤退をしようと言うところで追撃。
泣きっ面に蜂とはまさにこの事、実に哀れ──いや、アビドスを襲撃してるし、残当である。
紙のように吹き飛んでいくヘルメット団。あまりにも無慈悲な光景に、ホシノを除く生徒たちと先生は襲撃を受けていたにも関わらず、無意識のうちに胸の前で十字をきっていた。
一方のホシノは、ヘルメット団には目もくれず、停車した車に向けて歩みを進めていた。
………………
「いったた……」
『…………それはこっちのセリフなんだが?』
急な展開に思考がフリーズしてしまっていたカオナシは、衝突の瞬間に神秘を操作して身を固めることで何とかダメージを最小限に抑えていた。
(まさかユメがあんな突拍子もない行動に打って出るなんて……流石に変わりすぎ──いや、よくよく思い出してみれば昔から片鱗はあったわ……)
しかし、幾らダメージを抑えれたからといって、"ならば良し"となるものでもない。カオナシは"はぁ……"と溜息をつきながら顔に手を当て、その後ユメの方に顔を向け文句を言おうとしたところで、ふと違和感を覚える。
ユメの方に顔を向けるのを辞め、もう一度顔に手を当てる──仮面が、無い。
バッと咄嗟にフードを深く被って顔を隠し、仮面を探す。……仮面は足元に落ちており直ぐに見つかったのだが──
(────割れてるぅ!?!?)
それはもう見事に、真っ二つに割れていた。
震える手で持ち上げ、繋ぎ合わせようとする──が、当然くっつくはずも無い。
──度重なる衝撃的な出来事によって混乱していたカオナシは、チョーカー型立体映像投射装置の存在が頭の中からすっぽりと抜け落ちていた。
……しかし、これで終わりでは無い。
「ユメ先輩、おかえり〜」
「あ、ホシノちゃん!ただいま~!」
──カオナシの耳に、そんな会話が響く
(………………え?ホシノ…?)
聞こえてきた言葉に反応し、チラリと窓の外に目を向けると──そこには、こちらに向かって歩みを進める、かつての後輩の姿が。
(──まずいまずいまずいまずいッ!?!?)
仮面が割れ、素顔が見えている今の状態を見られるわけにはいかない。もし見られてしまえば、過去の演技も全て台無しになってしまう。
──それだけは、あってはならない。
いったいどうすれば……と考え込み後ろ首に手を触れ──ここでようやく装置の存在を思い出した。
しかし、既にホシノは車のすぐ側に来ており、どのような仮面を投射するかまで選んでいる余裕はなかった。
「……んー?誰か後ろに乗ってる…?」
「……あ、そうだった!実は先生とは別にもう一人、シャーレから来てくれた人がいるんだよ!」
(いや、半ば無理矢理連れてこられたようなもんなんだが……?)
ユメの言葉に納得がいかないカオナシは内心でそう独り言ちる。そうこうしている間にも車のドアは開けられてしまったため、観念して外に出る。
『あー、既に軽く紹介されてるが改めて──俺はカオナシ、主にミレニアムで活動してる便利屋で、今は先生からの依頼を受けてシャーレの手伝いを……って、どうした?』
カオナシが自己紹介をしている中、ふとアビドスの生徒たちや先生の居る方に視線を向けてみると、皆一様に"ポカン"とした表情を浮かべていた。
──否、先生だけは笑いをこらえるように口元を抑えていた。
『……おい先生、何を笑って──』
「ンっふ…ちょっとこっち見ないでカオナシ笑っちゃう──アッハハ無理耐えられないってそれはズルいよ!」
何がそんなにおかしいのか、もしかして投影した仮面に何か問題が?と思い、首を傾げる。その様子を見て、他の生徒たちも笑いを堪えるように目を逸らしたり、顔を伏せ始める。
──なおこの時、ノノミだけは、"わぁ、素敵なお面ですね♪"と笑顔を見せていた。
原因を確かめるため、カオナシは車に備え付けられた鏡に視線を向け──唖然とする
──そこに映っていたのは
──目の焦点があっておらず、ヨダレを垂らしながら舌をだらんと垂らす、白くて丸みを帯びた鳥のような顔立ち
──とあるトリニティの生徒が愛してやまないキャラクター
──カオナシが投影した仮面、それは紛うことなき
『──ン何でこんなモンが設定に入ってんだァッ!!』*1
スパァン!バキバキ……
カオナシは手に持っていた割れた仮面を叩きつけた──仮面は粉々になった。
先日は一日のUA数が7000を超え、145名もの方が新規でお気に入り登録してくださりました。
また、本日投稿を始めて一ヶ月が経ちました。
当小説をお読み下さっている皆様、誠にありがとうございます!
活動報告:『小鳥遊ホシノの先輩』投稿一ヶ月の感謝
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=312884&uid=281829
当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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オネエ
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姉御