・前話でウタハが言っていたように、様々な武装が仕込まれている。ミサイルやガトリングなどの実用的なものもあれば、ところてんマグナムなどのよくわからないものもある。……積み込まれている武装とバイクの体積が釣り合わないが、そこはエンジニア部の謎技術ということで……
──ヘルメット団に攫われたセリカは、揺れ動く荷台の中で目を覚ました。
「──う、うぅん……」
(──あれ、私いつの間に寝てたんだろ。……それに、なんだか揺れてるような──ッ)
セリカは思い出す──自分がヘルメット団からの襲撃を受け、気絶させられたことを。思い出したセリカは"ガバッ"っと起きあがり……爆発に飲み込まれた際に受けた痛みに悶える。
「いった……」
咄嗟に頭を押さえようとして、手が動かせないことに気付く。一度深呼吸をして落ち着いた後に、今現在自身がどのような状況に陥っているのかを確認する。
(──両手両足が拘束されてるわね。何とか這いながらなら動けそうだけど、こんな状態じゃ逃げ出すこともできないか)
(それと、さっきから揺れてるけど……この揺れは、気を失う直前にちらっと見えたトラックの揺れね。……ってことは今私は荷台に乗せられている)
未だ止まる気配のないトラックがどこへ向かおうとしているのかと思案したセリカは、辺りを見渡した際にちらっと光が漏れていることに気付く。なんとか外の様子を確認しようと這って近づき──目に映った光景に目を見開く。
(砂漠に、線路……まさかここって!?)
「──アビドス郊外の砂漠!?……そんな、ここからじゃどこにも連絡が取れないじゃない……!もし拘束を外して脱出できたとしても、対策委員会の皆にどうやって知らせたらいいのよ……」
自身の置かれた絶望的な状況にセリカは呆然とし、へたり込んでしまう。
「どうしよう、みんな心配してるだろうな……」
「……」
(このまま、どこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように……。連絡も途絶えて、私も他の子たちみたいに街を去ったって思われちゃうのかな……)
己一人ではどうにもならない状況に、セリカの気持ちは段々と沈んで行ってしまう。
──もしかしたら、裏切ったと思われてしまうかもしれない。
──普段は恥ずかしさの余りツンとした態度をとってしまうけれど、本当は大好きな対策委員会の皆に誤解されたまま、みんなに会えないまま死んでしまうかもしれない。
そんな最悪の状況ばかりが頭に浮かんでしまい、次第にセリカの目に涙が溜まっていく。
「やだよ……私、まだみんなと一緒に──」
セリカは俯き、その目から零れた涙が頬を伝っていき──"ガンッ!!"と大きな音がなるほどに強く、額を床に打ち付けた。
「──何弱気になってるのよ私。……なんで何の抵抗もせずに殺されようとしてるのよ黒見セリカッ!!」
顔を上げたセリカの目には、悲観の色はすでになく──その瞳には"絶対に諦めない"という覚悟が秘められていた。
「あんな奴らのいいようにされたまま終わったりしない。たとえ武器がなくても、手足が捥がれても……!這いずってでも喰らいついてやるわ!」
(──そのためにも、何とかして拘束を外さないと。何か周りに使えそうなものは──)
何とかしてヘルメット団に一矢報いようと思考を巡らせるセリカ。──そんなセリカを、突如として衝撃が襲う。
ドカァァァン!!!
「う、うわぁぁあっ!?」
驚愕に飲まれるセリカを、さらに衝撃が襲い──その勢いでトラックの荷台から放り出される。
「──カハッ、ケホッ…ケホッ……なんなのよもう……!」
(トラックが爆発した?──ッ!さっきの衝撃で拘束が解かれてる!あとは何とか武器を見つけ出して──)
そこまで考えを巡らせたセリカの耳に"バララララ……"と、プロペラの回転する音が聞こえてくる───音の方に視線を向けるとそこには、見覚えのある一機のドローンが。
『セリカちゃん発見!生存確認しました!』
「……あっ、アヤネちゃん!?」
「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」
聞こえてきた声の方に目を向けると、そこにはシロコの姿が───否、シロコだけではない。後ろに続くように駆けてくる対策委員会の皆の姿を目にしたセリカは、皆が助けに来てくれたという事実に、再びその眦に涙が溜まり始める。
「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!!」
「う、うわああっ!?う、うるさいっ!!な、泣いてなんかないわよッ!!」
「嘘!この目でしっかり見た!」
「泣かないでくださいセリカちゃん!私たちがその涙を拭いて差し上げますから!」
「あーもう、うるさいってば!!違うったら違うのッ!!だまれーッ!!」
……みんなが助けに来てくれたことは嬉しい、嬉しいのだが……。流石にここまで言われて素直に喜ぶさまを見せるのはなんだか気恥ずかしく、セリカは誤魔化すようにそう叫ぶ。
そんなセリカにユメとアヤネが駆け寄り──"ぎゅっ"と、改めて無事を確認するように、抱きしめる。
「無事でよかった、セリカちゃん」
「はい。……私、セリカちゃんに何かあったんじゃないかって思って、すごく心配で……っほんとうに、無事でよかった……!」
「ユメ先輩、アヤネちゃん……ありがとうございます、助けに来てくれて」
──みんなも、ありがとう。
礼を言うセリカを含め、皆一様に笑顔を浮かべており──気付けばいつも通りの雰囲気が漂っていた。
◇◇◇◇◇
「──さて、セリカちゃんの無事も確認できたことだし、帰ろっか」
──その前に、カタカタヘルメット団をどうにかしないといけないけどね
先生もまた、セリカが無事であったことに笑みを浮かべつつも、その目は"まだ終わりじゃない"と雄弁に物語っている。
「ん、先生の言う通り、戦術サポートシステムを使ってトラックは制圧したけど、まだここは敵陣のど真ん中だから」
「だねー。人質をのせた車両が破壊されたって知ったら、敵さん怒り狂って攻撃してくるよー。……にしても、カオナシはどこに行ったんだろうね?」
「……あ、それならさっき──」
ホシノの疑問に答えるように先生が口を開くが──敵性反応を検知したアヤネが発した、警戒を呼び掛ける声にかき消される。
「──前方にカタカタヘルメット団の兵力、多数確認しました!……さらに巨大な重火器も多数確認、徐々に包囲網を構築しています!」
「おぉ、敵ながらあっぱれ……それじゃー、せっかくだから包囲網を突破して帰りますかねー」
「……みんな、気を付けて。アイツらFlak41改を所持して──」
セリカの言葉はそこで途切れ、目を見開く。いったいどうしたのかとセリカの視線の先に目をやり
──突如としてヘルメット団の側面から飛来したミサイルが、Flak41改、及び多数のヘルメット団員を吹き飛ばした。
「いったい、何が起きてるの?──まさかっ!」
ユメがミサイルが飛んできた方に視線を向けると、そこにはバイクに跨るカオナシの姿があった。カオナシは対策委員会の目の前でバイクを止め、皆の前に立つ。
『すまない、先生からの指示を受けて少し離れたところで待機していた。……セリカが救出できたって合図が送られてきたから、とりあえず一発デカいのに向けて打ち込んだが、問題なかったか?』
((((((……一発?今軽く二十発くらい撃ち込まれてなかった?))))))
カオナシの言葉に、皆一様に疑問を浮かべながら改めてヘルメット団の方に視線を向ける。
……どう見たってミサイル一発分の被害規模ではない。Flak41改は見るも無残に破壊され、既にヘルメット団の包囲網は崩壊しかけていた。
「あはは……指示通りではあるんだけど、思ってたより派手にやったね、カオナシ」
『そうか?……セリカを攫ったあんな奴ら、あのくらいされてしかるべきだろ』
"それに、アイツらはユメを泣かせたしな"──そんな言葉を胸の内にしまい込みながら、カオナシはヘルメット団を睨みつける。
「……うん、まぁそうだね。人攫いなんて犯罪行為に手を染めた彼女たちには、妥当な罰かな」
カオナシの言葉に先生も同調し、ヘルメット団を鋭い目で見据える。自身を攫ったヘルメット団に対し、本気で怒りを向けてくれている二人のことを──セリカは、"信じてみよう"と、そう思った。
「……うへぇ、カオナシのおかげで既に崩壊気味だけど、油断せずに行こうか~」
◇◇◇◇◇
──ヘルメット団は食い止めようと躍起になって向かってくるが、カオナシの攻撃により既に戦線崩壊気味となっていた彼女たちが太刀打ちできるはずもなく……容易く包囲網を抜けた先生たちは、対策委員会の部室へと帰還した。
皆で改めてセリカの無事を喜んだあと、アヤネが帰還時に回収したという戦車の部品を確認する。
その結果、キヴォトスでは使用が禁止されている違法機種と判明したため、後日改めて流通ルートなどを調査し、ヘルメット団の裏にいる存在を明らかにしようということで話は終わった。
話に区切りがついたと判断したカオナシは部室を出ていこうとするが、セリカに待ったをかけられる。
「──待って、カオナシさん!……あと、先生も」
『……どうした?』
先生やカオナシだけでなく、自分以外の対策委員会の皆にも視線を向けられたセリカは、何かを言い淀むかのように口をパクパクとさせ──意を決したような表情を浮かべた後、"バッ"と勢いよく頭を下げる。
「ありがとう、あんなに邪険な態度を取っちゃってたのに助けに来てくれて……またきっと、素っ気ない態度を取っちゃうかもしれないけど、それでも私──」
──二人のことを、信じてみるから
「……だから、その……これからもよろしく、先生、カオナシさん」
顔を赤く染めながらも笑顔を見せるセリカのことを、皆無言になって見つめていた。その状況にいたたまれなくなったセリカは、教室を飛び出そうとし──"セリカちゃん"と先生に名前をよばれ、その足を止める。
「──こっちこそありがとうね、セリカちゃん……私たちのことを信じてくれて。期待に応えれるよう、私も頑張るね!」
「……うん。期待してるから、裏切ったりしないでね、先生」
◇◇◇◇◇
──ヘルメット団アジト、そこに
あるものは爆弾を用いてアジトごと多くのヘルメット団を吹き飛ばし、またある者は至近からの銃撃でヘルメット団を撃ち落としていく。
……中には、思いきり殴り飛ばされ、地面に叩きつけられるヘルメット団もいた。
最後の一人となってしまったヘルメット団リーダーは、建物の陰に隠れて見えぬ襲撃者に向けて言葉を投げかける──"貴様らは何者か"と
──それに対する返答は、左右から迫りくる二発の銃弾であった。
「ぐあっ!?──クソっ、まさか貴様ら、アビドスの…!?よくも我々をォ……!」
睨みを利かせるヘルメット団だが、襲撃者は意に介さない様子で近づいてくる。
「はあ、こんな不潔で変な臭いのする場所がアジトだなんて……貴方たちも冴えないわね。……いいわ、冥途の土産に教えてあげる」
『……忌々しい、アビドスに巣食うゴミともが。……最後の情けだ、お前らが誰を敵に回したのか、教えてやるよ』
「私たちは、金さえもらえれば何でもする──」
『俺は、アイツらに害を為す奴が許せない──』
「便利屋68、なんでも屋よ」
『カオナシ、ただの便利屋だ』
「……」
『……』
『「……んっ?」』
──今ここに、二組の便利屋が会合した。
※この後、ヘルメット団リーダーは二人に銃弾を撃ち込まれ、無事に意識を失った模様。
カタカタヘルメット団はこれにて完全崩壊、次回からはみんな大好き便利屋68が出てきます。
因みにですが、展開としては割と原作と変わるかもしれません。……今更ですね、タグに"独自展開"もありますし。
カオナシが関わることでどう変わるのか、そのあたりも含めてぜひ次話をお楽しみに。
当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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男
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女
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オネエ
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姉御