カオナシが便利屋68と共にカタカタヘルメット団を壊滅させた翌日、対策委員会のメンバーは柴関ラーメンにて、ご立腹なアヤネのご機嫌取りをしていた。
何故そのようなことになっているのか。それは、数時間前にまで遡る──
◇◇◇◇◇
「──早速議題に入りましょう。本日は、私たちにとって非常に重要な議題……"学校の負債をどう返済するか"について、具体的な方法を議論します」
"ご意見のある方は挙手をお願いします"──アヤネが言い切ると同時に、ユメとセリカが"はい!"と同時に手を挙げ……互いにどうぞどうぞと譲り合う。
流石にそのままでは埒が明かないと判断したカオナシは二人にじゃんけんをするように提案し、6回のあいこの末セリカから話始めることになった。
「それでは、1年の黒見さんからどうぞ」
真面目な雰囲気を醸し出しながら促すアヤネ。対するセリカは
「……あのさ、まずは苗字で呼ぶのやめない?ぎこちないんだけど」
──そんな雰囲気を崩すように、不満を口にする。
普段は下の名前で呼びあっているため、急に苗字で呼ぶというのにむず痒さを感じたが故の提案であったが、先輩たちは"たまにはいいんじゃないか"と比較的乗り気であったため渋々苗字呼びを受け入れた。
「……まずはじめに、対策委員会の会計担当としてはっきりと言わせてもらうけど──現在我が校の財政状況は破産寸前としか言いようがないわ!定期的に匿名で送られてくる物資のおかげで多少はマシとはいえ、このままじゃ廃校寸前よ!」
"みんな、分かってるわよね!?"──セリカの言葉に、皆神妙に頷く。
「正直、通りに指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアをするだけじゃ、利息の返済すらそのうち追いつかなくなるかもしれない……そこで!一発逆転のためにも何かこう、でっかく一発狙わないとって思ったのよ!」
「でっかくって……例えば?」
「わかったよセリカちゃん!宝探しだね!?」
「いえ、違いますけど……」
次に提案しようとしていたことをセリカに速攻で否定されたユメは、"ひぃん……"といって萎びてしまった。……ユメが宝探しを提案するのは日常茶飯事であったため、初めて会議に参加する先生以外対して気に留めていなかった。
萎びたユメを置いて、セリカは自身のカバンをがさごそと漁り始める。少しして目的のものを見つけたのか、"ふふん"と笑みを浮かべながらその手に掴んだチラシを机の上に"バァン!"と叩きつけた。
「これは……!?」
セリカが見せたチラシを視界に映したしたアヤネは、驚愕の余り目を見開く……が、それは決していい意味ではなく、"本気で言ってます?"という感情が大半を占めていた。
続けてホシノも確認するが、"うぅん、これはちょっと……"と言わんばかりの何とも言えない表情を浮かべ、チラシに書かれていた内容を読み上げる。
「──"ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金"……ねぇ…?」
『マルチでは……?』
「そうっ!これでガッポガッポ稼………へっ?」
意気揚々と説明を始めようとしたセリカは、カオナシがボソッと呟いたのを聞き逃さなかった。キョトンとした顔をしながらぱちぱちと目を瞬かせる彼女は、言葉の意味を理解した瞬間目を見開く。
「ま、マルチってどういうこと!?だってこの前街で声をかけてきた人は──」
カオナシの言葉が信じられない……というより、現実を受け入れられないセリカは、チラシに書かれたブレスレットにどんな効果があるのかを必死に説明する。……しかし、彼女の説明を聞けば聞くほど皆が微妙な表情を浮かべるのを目にし、次第に言葉尻が小さくなっていく。
「そもそもゲルマニウムと運気アップって関係あるのかな……こんな怪しいところで、まともなビジネスを提案してくれるだなんて思えないけど……」
「そっ、そうなの?私、二個も買っちゃったんだけど……!?」
「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」
セリカが鞄から取り出したブレスレットを目にしたノノミの言葉……そして、あの騙されやすいことで有名?なユメですら苦笑いを浮かべていることが決定打となり──セリカは項垂れた。
「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねぇ……。気を付けないと悪い大人に騙されて、人生取り返しのつかないことになっちゃうかもよー?」
ホシノが口にした言葉を耳にし、セリカを慰めようとしていたユメは開きかけていた口を閉じつつ、"スッ……"と目を逸らす。まだ
「そ、そんなぁ……そんな風には見えなかったのに……せっかくお昼抜いて貯めたお金で買ったのに……」
ノノミが、段々と気落ちしていくセリカを慰めているのを横目に、カオナシと先生はチラシを手に取る。
「……カオナシ」
『……みなまで言うな、わかってる』
──潰そう、こいつら
小さくつぶやく二人の目は据わっていた。──先生として、正体は明かしていないものの元アビドスの先輩として、
◇◇◇◇◇
その後は、ホシノがバスジャックを、シロコが銀行強盗という、まごうことなき犯罪行為を提案をしており………何ならシロコに至っては、既に綿密に計画を立てているわ、覆面も人数分用意しているわと、"いったい何がそこまでお前を駆り立てるんだ?"と言わんばかりの用意周到さであったため、カオナシは思わず"正気か?"と突っ込んでしまった。
……ユメは諦めずに宝探しを提案したが、もちろん却下されていた。
──そんなこんなでアヤネのフラストレーションが次第に溜まっていく中、ノノミが"はい!次は私が!"と手を挙げる。
「はい……二年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺は抜きでご意見をお願いいたします……」
「はい!犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります!」
まだ比較的まともであるノノミがそういうのであれば、という期待を抱きながら、アヤネは続きを促す──
「アイドルです!スクールアイドル!」
「ア、アイドル……!?」
──が、これまた予想外な提案に困惑してしまう。確かに犯罪行為ではないが、何故アイドル何だろうかと疑問を抱くアヤネを置いて、ノノミは語る。
「そうです!アニメで見たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私たち全員がアイドルとしてデビューすれば「却下」 ──あら……これもダメなんですか?」
確かに現実的ではないかもしれないが、少なくとも今日出された案の中では一番まともであったのにも関わらず、素気無く却下されてしまったことにノノミは首をかしげる。
「なんで?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」
「うへぇ……こんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない」
(((……結構似合いそうだと思うんだけどな)))
手を横に振り"アビドス対策委員会アイドル化計画"を却下するホシノを視界に捉えながら、大人組はそのようなことを考えていた。そんな大人組を置いて、なおもホシノは否定の言葉を口にする。
「──それに、こんなおじさんにアイドルなんて可愛らしいものは似合わn『「いや、ホシノ(ちゃん)は可愛いだろ(でしょ)」』……うへっ?」
ホシノの"自身には可愛いものは似合わない"という言葉を遮るように、ユメとカオナシは否定の言葉を口にする。……ユメはともかく、カオナシにまで"可愛い"と言われるのは流石に予想外であったのか、ホシノは驚きその頬をほんの僅かに赤く染めていた。
──少しして、驚き固まるホシノでも、遮って可愛いと口にしたユメでもなく、自身へと視線が集中していることに気付いたカオナシは首をかしげながら"どうした?"と訊ねる。
「いや、どうしたって……もしかして無意識だったの?」
『……?』
「カオナシ、今ホシノちゃんのこと可愛いっていってたよ?」
『………』
カオナシは、先生に告げられた言葉を理解するのに数秒固まり──理解した瞬間
『……忘れてくれ』
──と、仮面で隠された顔に手を当て俯きながら、小さくつぶやいた。
◇◇◇◇◇
紆余曲折ありながらも、提案は出そろった。……正直まともな案は全然出ていないが、決定権は先生に委ねられる。
「うーん、そうだねぇ」
一応悩む素振りは見せるが、実質選択肢はひとつしか……いや、宝探しも含めればふたつではあるのだが、先生は自身の選択を告げる。
「──アイドルやろう!私がプロデュースして、皆をキヴォトス一のアイドルグループにしてみせるッ!!」
"みんな可愛いし、キヴォトス一のアイドルグループだって夢では無いかもしれない。というより私が見たい!"と言った感じで、先生は燃えていた。
──"よし、決まりー!"
──"楽しそうです!"
キャッキャとはしゃぐ先輩たちに対し───遂に"プツン"と、アヤネの堪忍袋の緒が切れた。
「い……いい加減にしてくださァいッッ!!!」
怒号とともに、アヤネは見事なちゃぶ台返しを繰り出し──一時間もの間、皆に正座をさせて説教を行った。
──その後は冒頭に戻り、柴関ラーメンにて何とかご機嫌取りをしていたというのが、事の顛末である。
※実はカオナシも提案を出していたのだが……その提案の内容が"株取引"や"投資"、"先物取引"という、全て元手が必要なものであったため、「アビドスにはそんなお金ないよ」とすげなく却下されていた。
アビドス対策委員会withユメパイセンアイドル化計画は始動しなかった、残念……アイドルホシノ可愛いと思うんだけどな
アイドルユメホシのイラストってどっかに落ちてないかな……探すか♣︎
当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません
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男
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女
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オネエ
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姉御