小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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小鳥遊ホシノの豆知識
・原作では、彼女が持つ盾は先輩の遺品であったが……本作でホシノが持っている盾は、先輩からのプレゼントで貰ったものである。お揃いの盾を装備した二人は、関係性も相まって姉妹のように見えなくもない。
もしカオナシが、赤飛リンとしてその場にいたのなら……幼馴染&後輩バカな彼は、カメラを構えて激写していた……かもしれない。



対策委員会 VS 便利屋68②

 ユメとカヨコ、ホシノとハルカ──距離の離れた二つの戦場の様子を、カオナシは校舎の屋上に陣取り、傭兵たちや校舎に向けて放たれようとしている榴弾等を撃ち落としながら観戦していた。

 

(それにしても……)

 

「……凄まじいな」

 

 二人の実力は知っていた──否、知っているつもりだった。

 

 カオナシがアビドスに戻ってきてから見た二人の、対策委員会の対戦相手といえば、ヘルメット団という数が多いだけの雑兵に過ぎず……はっきり言ってしまうと、蹂躙といってもいい様な内容の戦闘ばかりであった。

 

 しかし、今回は違う。便利屋68という、キヴォトス内でも上澄みの強者達を相手にしても、更には傭兵という戦闘を主とするものたちがいても尚、彼女達は数の差をものともしない。

 

 類稀なる指揮能力を持った先生が味方に着いているとはいえ、一人一人の実力が足りなければ優位に立つことなど出来はしなかったであろう。

 

 それほどまでに彼女達は強く──特に、ユメの戦闘能力は想定を遥かに超えていた。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 ──場面は移り変わり、ユメとカヨコが対峙する戦場

 

 護りに重きを置くユメと、果敢に銃撃を撃ち込むカヨコの攻防が続いていた。

 

 傍から見れば、ユメは防戦一方であり……攻め立てているカヨコが有利に見える。

 

 しかしその実、カヨコの方が焦りを抱いていた。……最低限の目標だった小鳥遊ホシノと引き離すことはできた筈の彼女が焦りを抱く理由、それは──その目標は、あくまでも勝ちに繋げるための最低条件でしか無かったから。

 

 本来であれば、二人を引き離した後にユメをなるべく早く撃破し、ホシノへと戦力を集中させたかったのだが……

 

(理解してた……()()()()()()()()()。梔子ユメ、彼女は──)

 

 

 ──あまりにも、硬すぎる

 

 

(……小鳥遊ホシノやハルカみたいに、基礎スペックに任せた耐久力だったら、攻撃を当てられるならまだやりようはあった)

 

 実際、ホシノ相手であれば、偶にではあるが当てることは出来ていたのだ。……まぁ、彼女にはこれっぽっちも効いた様子はなく、微動だにしていなかったのだが。

 

 しかし、ホシノは他の生徒と比べても神秘総量も純度も桁違いな、言わばバグキャラのようなもの。ユメの神秘総量も一般生徒と比べれば十分多いが、ホシノやヒナのような最上位勢と比べると見劣りする。……実際、ユメとカヨコの神秘総量の差はそう大きく離れていなかった。

 

 故に、当たりさえすればダメージは与えられる………そう、()()()()()()()()

 

 

 ──当たらないのだ

 

 

 ハンドガンによる銃撃も、至近距離での蹴撃も……その全てが彼女の持つ盾によっていなされ、弾かれる。

 

 更には、不用意に接近戦を仕掛ければ、傭兵がやられていたようにいなすと同時にこちらの体勢が崩され、そこにすかさずハンドガンによる一撃かシールドバッシュが飛んでくる。

 

 また、少し離れているだけだと盾を構えてチャージを仕掛けてくる。そのため、距離を取って戦いこの場に縫い付けて、最低限の足止めだけでも行おうとするが……そんな甘えを、ユメは許してはくれない。

 

 

「──ッ!」

 

 

 距離が離れて攻撃の手が緩んだとみるや、ユメは即座にホシノの元へと向かおうとするため、やむを得ず距離を詰める。……距離を取って戦いたいのに近づかざるを得ない──まさに、悪循環という他なかった。

 

 "見た目に反して、随分と厄介な戦い方をする"と、内心で悪態をつくカヨコは、どうやってユメを打破するか思考を巡らせる──が、どれだけ考えても結論は変わらなかった。

 

 

(……悔しいけど、()()()()()()どうあがいても倒せるビジョンが思い浮かばない)

 

 

 所持する銃や戦闘スタイルの関係上、どうしても単発の攻撃になってしまう自分ではユメの防御を突破することができないと判断したカヨコは──一定のリズムで無線を叩いた。

 

 何かの合図をだすようなその行動に、ユメは警戒心を抱き………直後、彼女の背後から二人の傭兵が奇襲をかける。……しかしこれを、ユメは造作もなく凌ぎねじ伏せると再びカヨコへと視線を移す。

 

 

 ──視線の先には自身へと銃口を向けるカヨコの姿

 

 

(……あれ?何かが足りないような?)

 

 ユメは、視界に映るカヨコに……厳密には、彼女がその手に持つ銃に違和感を抱くが、考える暇は与えないと言わんばかりに、カヨコは引き金を引いた。

 

 

 

 ドゴォンッッ!!!

 

「───ッッ!?!?」

 

 

 

 ──辺り一帯に、他の一切の音を掻き消すような轟音が鳴り響く。

 

 音の発生源は、カヨコの愛銃──デモンズロア

 

 射撃の度に轟音を発するこの銃は、普段はサイレンサーが装着されているのだが、今は外されていた。……これが、ユメが抱いた違和感の正体であった。

 

 仕立て人であるが故に、身構えることができていたカヨコと違い……何とか自身に迫り来る銃弾だけは弾いたものの、不意打ち気味に至近距離で大音量をぶつけられたユメは、反射的に耳を抑えてしまう。

 

 

 ──鉄壁の守りを誇っていたユメに、明確な隙が生まれた瞬間であった。

 

 

「──今ね」

 

 

 その隙を逃さぬようにと、遥か遠方から一発の銃弾がユメへと飛来する。

 

 魔弾の射手の正体は、便利屋68社長──陸八魔アル

 

 ◇

 

【──社長】

 

【どうしたの?カヨコ】

 

【……お願いがあるんだけどさ】

 

 ──もし、私だけじゃ梔子ユメを倒せないってなった時は、社長の力を借りたいんだ

 

【もちろん、初めから負けるつもりは無いよ。でも【カヨコ】──】

 

【遠慮することは無いわ。貴方が必要だと思ったのなら、この私を上手く使ってみせなさい】

 

【……ありがとう。もし私だけじゃ勝てないってなっても、何としても隙だけは作ってみせるから】

 

 ──社長には、その瞬間を狙って彼女を撃ち抜いて欲しい

 

 ◇

 

 普段は付けぬサイレンサーを装着し、銃声が聞こえぬようにと徹底して放たれたその銃弾に、ユメは未だ気付いた様子は見受けられない………いや、着弾まで一秒も掛からないそれを、気づいたところで防ぐことなど出来はしないだろう。

 

 迫る、迫る、迫る──ユメは、未だ気づかない。時の流れが遅くなったと錯覚するほど、極限まで研ぎ澄まされたカヨコとアルの心情が一致する。

 

((───取ったッ!!))

 

 そして、銃弾は遂にユメを撃ち抜く──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガギィンッッ!!!

 

「「…………はっ?」」

 

 

 ……はず、だった。

 

 当たると確信していた……ユメは先程まで気づいた様子はなく、現に今も顔を顰めながら片方の手で耳を塞いでおり、銃弾の飛来してきた方向など見てはいない。……にも関わらず、気付けばユメと銃弾の間に盾が差し込まれ、渾身の一撃が防がれていた。

 

 

「ごめんね?私、あの日から──」

 

 ──何となく、自分の身に迫る危険がわかるの

 

 

 驚愕に目を見開く二人──隙を作り出し、ユメを仕留めようとした彼女たちは……逆に、隙を晒してしまった。

 

 ユメは盾を掲げた勢いのまま大きく振りかぶり──その手に持つ盾をカヨコに向けて思いっ切り投げつけた。

 

 急速に迫る盾によって塞がれる視界、咄嗟に躱して再びユメへと視線を向けるが、そこにユメの姿は影も形も無い。

 

(……消えたっ!?一体どこに──)

 

『カヨコ、後ろよッ!』

 

 探そうとした直後に無線から響いたアルの慌てた声を聞き、咄嗟に背後へと振り返る。

 

 視線の先には──躱した盾を掴み取り、今にも叩きつけんとばかりに振り下ろすユメの姿

 

「まず───ッ!」

 

 カヨコは少しでも衝撃を和らげようと右腕を構えるが……それすらも、ユメの思惑通りであった。

 

 "ガクン"と、盾の迫る勢いが急激に遅くなる。盾を躱し、振り返り、右腕を構え───訪れぬ衝撃に再び思考に空白が生まれた隙を突かれたカヨコは、ユメに腕を掴まれ引き寄せられ、容易く体勢を崩される。

 

「──私の、勝ちだね」

 

 ……勝敗は決した。カヨコはユメに組み伏せられ、銃口を突き付けられた。また、ユメは先程狙撃を防いだ際にアルの大凡の位置を把握し、銃弾を遮るように盾を自身へ立て掛け身を隠していた。

 

「……参った、降参」

 

 カヨコは握り締めていた銃を潔く手放し、もう戦う意思はないと示す。

 

 ユメは暫く警戒した様子を見せていたが……カヨコにもう本当に戦う意思がないと判断すると、徐に身に着けていたポーチを漁りだす。

 

 "うーん、どこにあったっけ……"と、何かを探す様子を見せるユメに対して、カヨコは怪訝な目を向ける。

 

「あ!あった!」

 

 その言葉と共にユメが取り出したのは──一組の手錠であった。

 

「……なんでそんなものが入ってんの?」

 

「……お説教しなくちゃいけない人がいるの。……一人で抱え込んで、勝手に私たちの前から居なくなった、大切な人」

 

 "何時見つけてもいいように……もし見つけたら、その時は逃げられないようにこうして持ち歩いてるんだ~"と、笑っているユメであったが……そんな彼女の目は、"私、怒ってます!"と雄弁に物語っていた。

 

「あ、因みにいうと、私だけじゃなくてホシノちゃんも持ってるよ?」

 

「………そう、なんだ」

 

 "別に知りたくはなかったな……"と、複雑な表情を浮かべるカヨコを置いて、ユメは手錠を掛けようとする。──その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "ガシャン"──と、離れたところで何かの落ちる音が、辺りに響き渡った。




前回、便利屋戦は次話(※今話)で終わるといいましたね?あれは嘘です。
ユメ先輩の戦闘シーン書いてたら思ったよりも長くなりそうだったので、ホシノちゃんの戦闘シーンは次話に回すことになりました。もうちっとだけ続くんじゃ。

……最後に聞こえてきた音の正体はいったい何だったのか、次回も是非お楽しみに

当キヴォトスの先生は ※あくまでも参考程度です。必ずしも結果通りになるとは限りません。また、オネエ、姉御の場合はイオリの足は舐めません

  • オネエ
  • 姉御
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