小鳥遊ホシノの先輩   作:燐檎あめ

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前話のジョジョパロディのここ好き率高かったですね、やっぱり花京院のアレは皆さんお好きですか笑



ブラックマーケットと言えば、あの子!ついに登場です!



ブラックマーケット①

 ──アビドス自治区から電車を乗り継ぎ、カオナシたちはブラックマーケットを訪れていた。……運賃は陰で失礼なことを考えていたカオナシが支払わされた。*1

 

 

「ここがブラックマーケット……」

 

「わぁ☆すっごい賑わってますね?」

 

「ん、小さな市場を想像してたけど、まさか街一つぐらいの規模だなんて。……連邦生徒会の手が及ばないエリアが、ここまで巨大化しているとは思わなかった」

 

 

 これまではアビドスを守ることで手一杯で、殆ど自校の自治区から出たことが無かった彼女らは、キョロキョロと辺りを見渡す。

 

 普通の飲食店もあれば、重火器や怪しげな機械を平然と路上で販売していたり等、通常の自治区であれば考えられないようなアングラな様相を呈していた。

 

 

「うへぇー……まぁ普段、私たちはアビドスにばっかりいるからねー。学区外は結構変な場所が多いんだよ~」

 

 そういえば、以前過去の話を聞かせてもらった際に、他の自治区にも訪れたりしたことがあると言っていたことを思い出したシロコは、ホシノに対して"ここにも来たことあるのか"と訊ねる。

 

 ……しかし、対するホシノは首を横に振りながら、"いんや~?私もここに来るのは初めてだねぇ~"と否定した。

 

「でも、まだ私が一年のころに他の学区に先輩たちと一緒に行ったときは、へんちくりんなものがたくさんあったよー」

 

「トリニティ自治区には、ちょーデカい水族館もあるんだよ。アクアリウムっていうの!」

 

 

「……まぁ、チケットだけ貰って、行ったことはないんだけどね」

 

 

 ミレニアムが主な活動拠点とはいえ、アビドスの生徒達と違って何度かブラックマーケットを訪れたことがあるために、先導するように前を歩いていたカオナシは──後ろから聞こえてきたホシノの悲し気な声を耳にし、"うっ…"と罪悪感に胸を押さえる。

 

「大丈夫?カオナシさん」

 

『……あぁ、大丈夫だ。ちょっと期外収縮が起こっただけだから』

 

 "期外収縮?"

 "時々、一瞬だけ脈が乱れることあるだろ"

 "……あれって、そんな名前付いてたんだ"

 

 

 時折そんなやり取りをしつつも、まずは重火器を取り扱っている店で聞き込みでもしようかと右手側にある露店へと進行方向を変えようとしたその時、"タタタタタタタタタタタ!"と銃声が響き渡った。

 

 突如として聞こえてきたそれに、皆警戒するように自身の獲物へと手を伸ばしながら、音の聞こえてきた方向へと目を向ける。

 

 視線の先には、逃げるように走る女子生徒とそれを追いかける不良たちの姿。

 

 

「──待ちやがれッ!」

 

「う、うわああっ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでください~!!」

 

 

 ──どちらも、自分等の立っている場所へと向かってきているように見える。

 

 振り切れているかを確認するようにチラチラと後ろを振り返りながら走る生徒は、こちらに気づいた様子もなくどんどん距離を詰めていく。

 

 このままでは埒が明かないと、逃げる事にだけ意識を集中しようと前を向き──ようやく、向かう先に立つ対策委員会に気がついた。

 

 

「わわっ!?」

 

 立ち止まろうにも距離が足りず……多少速度が落ちた程度で、そのままシロコとぶつかってしまった。

 

 

「い、いたた……ご、ごめんなさい!」

 

「大丈夫?……なわけないか、追われてるみたいだし」

 

 シロコの問いかけに、女生徒は"ハッ"と何かを思い出したかのようにもと来た道を振り返り──3mほど離れたところで、荒げた息を整えつつ、"ようやく捕まえた"と言わんばかりにニヤニヤと自身を見つめる追跡者を視界に捉える。

 

 

「ハァ、ハァ……ったく、手間かけさせやがって!」

 

「だけど、ようやく追いついたぜ!……あん?なんだお前らは。どけ!アタシたちはそこのトリニティの生徒に用がある」

 

 運悪く不良に目を付けられてしまったその生徒は、"私は特に用はないのですけど……"と困惑と迷惑が入り混じった表情を浮かべていた。彼女らのやり取りを聞き、ようやく合点がいったと言わんばかりにアヤネは告げる。

 

 

「……!!思い出しました。その制服……キヴォトス一のマンモス校のひとつ、トリニティ総合学園です!」

 

「「……なるほど~、道理でどこかで見たことある制服だと思った訳だ(ね)」」

 

「どうして気付かなかったのよ……」

 

 なんで過去、実際にトリニティに赴いたことのある先輩たちが言われるまで思い出せなかったんだろうと、呆れた様子でジト目を向けるセリカ。

 

 そんな彼女らに対し、不良たちは"お前たちも気づいたみたいだな"と言わんばかりにあくどい笑みを浮かべる。

 

「そう。そしてキヴォトスで一番金を持っている学校でもある!だから拉致って身代金をたんまり頂こうってわけさ!」

 

「拉致って交渉!なかなかの財テクだろう?くくくくっ!」

 

「どうだ、お前らも興味があるなら計画に乗るか?身代金の分け前は『くだらん』──あん?」

 

 なおも自慢げに話を続ける不良たちに対し、カオナシは心底軽蔑したと言わんばかりに冷めた目を向ける。仮面で隠れているため、視認することは叶わないが──カオナシから発せられる底冷えするような怒気に、不良たちは無意識のうちに後ずさっていた。

 

 

「な、なんだお前ッ!アタシたちの邪魔をしようって──ッ!?」

 

「か、仮面に黒ずくめの衣装、まさかッ!?」

 

 不良たちの意識が、カオナシへと集中する。便利屋としてかなり実績のあるカオナシは、ブラックマーケット内で騒ぎを起こす便利屋68ほどではないものの、少なからず名を知られていた。

 

 

「……いや、寧ろチャンスじゃないか?便利屋として有名なコイツなら、結構金を持ってるんじゃ──うぎゃあっ!」

 

 ──ヘイトがカオナシへと向けられた隙をつき、背後へと回り込んでいたシロコとノノミが不良たちを打ち付け気絶させる。

 

「悪人は懲らしめないとです☆」

 

「うん」

 

 

 二転三転する事態に、追いかけられていた女生徒──ヒフミは目を白黒させていた。……少しして落ち着きを取り戻した彼女は、頭を下げて"あ、ありがとうございました"と礼を告げる。

 

 話を聞く限りだと……彼女は、学園をこっそり抜け出してブラックマーケットに来ていたらしい。

 

 お嬢様学校に通う彼女が、いったい何を目的としてこんな危険なところへ足を運んだのか……ホシノが代表して訊ねると、どうやら彼女はあるものを探して訪れたとのことであった。

 

 

「もう販売されていないので買うこともできないものなのですが、ブラックマーケットではひそかに取引されているらしくて……」

 

「もしかして……戦車?」

 

「もしくは違法な火器?」

 

「化学武器とかですか?」

 

『……超巨大変形機構搭載レールカノンか?』

 

「みんな物騒すぎるよ!……きっと宝の地図だよ!」

 

 

 ぞろぞろと並べたてられる物騒なもの*2に、ヒフミはあわあわとしながら首を横に振り、"ち、違いますっ!"と否定する。彼女の探しているもの、それは──

 

「えっとですね、私が探しているのは──ペロロ様の限定グッズなんです」

 

 "ペロロ"──その言葉に、対策委員会の"ノノミを除く"生徒たちはつい最近どこかで聞いたような気がするなと、脳裏に疑問符を浮かべる。そんな彼女らに向けて、女生徒は自慢げにスマホに表示した画像を見せた。

 

 そこに映るのは──初めてカオナシとあったあの日、割れた仮面の代わりにと投射されたキモカワな鳥?の口にアイスを詰め込んだ、何とも言えないぬいぐるみの写真。

 

 

「これです!ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ!」

 

 

 "ね、可愛いでしょう?"と同意を求める彼女からは、何故かはわからないが無言の圧が感じられた。

 

 

「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃんかわいいですよねぇ!私はミスター・ニコライが好きなんです♪」

 

「わかります!ニコライさんも哲学的なところがカッコ良くて。最近出たニコライさんの本"善悪の彼方"も買いましたよ!それも初版で!」

 

 

 対策委員会メンバーの中で唯一、モモフレンズに詳しいノノミがずいっと前に出ながら、自分も好きだと告げる。そのままノノミとヒフミはモモフレンズの話題で盛り上がる中、他の生徒たちと先生は無言でカオナシに目を向け──徐に噴出した。

 

 

「「「「「「………んっふw」」」」」」

 

『おい、なんで俺を見て笑った?』

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「──というわけで、グッズを買いに来たのですが、先ほどの人たちに絡まれてしまい……皆さんが居なかったら今頃どうなっていたことやら」

 

 "あはは……"と苦笑するヒフミは、改めて礼を告げた後、今度は逆に何故ホシノ達はブラックマーケットに訪れたのかと訊ねた。

 

「私たちも似たようなもんだよ。探し物があるんだ~」

 

「ん、今は生産されていなくて手に入れにくいものなんだけど、ここにあるって話を聞いて」

 

「そうなんですか、似たような感じなんですね」

 

 お互いに目的のものを探しつつ、談笑しながらブラックマーケット内を練り歩いていると──タブレット端末を手に持ち周囲の警戒をしていたアヤネが、慌てた様子で警戒を促す。

 

「──みなさん、大変です!四方から武装した人たちが向かってきています!」

 

「何っ!?」

 

 一行の中で……否、キヴォトス内で一番脆い先生を守るように中央に置き、ホシノたちは武器を構える。

 

「あいつらだ!!」

 

「よくもやってくれたな!痛い目に合わせてやるぜ!」

 

 程なくして視界に捉えたのは、先ほどのした不良とその仲間と思われるチンピラが十数人。どうしてこんな奴らばかり絡んでくるんだろうかと悪態をつきながらも、彼女たちは冷静であった。

 

 先生に流れ弾が飛んで行った際に守るため、一番守ることに長けているユメがそばに立ち、アヤネはサポートのためにドローンを操作。カオナシ及び他の対策委員会のメンバーは先手必勝とばかりに、不良たちへと吶喊していく。

 

「え、えぇ!?皆さん迷いがなさすぎませんかっ!?」

 

 急な展開に、自分も何かしないとと慌てふためくヒフミであったが……今はまだ自称普通の生徒である彼女が、戦いなれたアビドス勢と同じように行動できるはずもない。

 

 ──しかし、ここには戦闘指揮に長けた先生がいる。先生はヒフミができることを簡単に聞いた後、ノノミと一緒に不良たちの相手をするように頼んだ。

 

 

「さぁ、皆──人を食い物にする悪い子たちに、お灸をすえてあげようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──戦闘は恙なく終了した。有象無象のチンピラ十数人程度、カオナシたちの敵ではなかった。

*1
前話でのアヤネとの会話参照

*2
宝の地図除く





……実は、原作のブラックマーケット編ではまだ登場していないとあるキャラを出そうか迷ってるんですよね。

ヒフミちゃんと同じトリニティの生徒なんですが……どうしようかなぁ……
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