新しいアンケートを追加しました。期限短めですが、良ければ回答お願いします。
それでは、本編どうぞ
──二手に分かれ、調査を再開したカオナシたち。その内、チーム2に振り分けられたカオナシとアズサは、約一ヶ月振りの会話に花を咲かせていた。
「それにしても、まさかこんな所で会うとは思わなかった。一緒にいた生徒はアビドス?……リンは仲間の所に『おいコラ』──いたい」
先程の繰り返しの如く手刀を落とされたアズサは、頭を抑えながら──手加減されているから別に痛くは無いが──抗議するような目でカオナシを見る。
『他の人が居るところで俺の名前を出すなって言ってるだろ』
「……ごめん。てっきりもう、打ち明けたんだと思って」
『だとしたら態々顔を隠したりしてねぇし、彼奴らも"カオナシ"って呼ばないだろ』
「……それもそうか」
──以上のやり取りから分かるように、アズサはカオナシの正体を知っている人物の一人である。
彼等が出会ったのは、カオナシ──リンがまだ黒服との契約期間中、諸事情によりとあるクソバb……ゲマトリアが支配する自治区へと赴いたのが切っ掛けで知り合っていた。
その後も幾度か顔を合わせたり、共に行動をしたりしていたある日──リンが、便利屋カオナシとして活動していることを知ったのであった。
◇
「──なるほど、そんな事があったんだ」
何故アビドスの生徒と一緒にいるのか、ブラックマーケットにはどういった理由で訪れたのかを問われたカオナシは、アズサに簡単に説明した。
それに対する彼女の反応は、割とあっさりとしたものであった。
──アズサは、既にリンがカオナシとして行動している理由は知っている。
アビドスを襲うヘルメット団の背後にいる黒幕の正体は判明しているにも関わらず、黒幕であることの証拠を集めなければいけないというのは面倒だなと思う反面、巨大な組織が相手である場合は明確な証拠が無ければはぐらかされ、却って自分が不利になる為に、今回の様な行動を取らざるを得ないという事も理解していた。
……しかし、それでもひとつ解せない点がある。
「……カオナシ、先程から話を聞いてる限りだと、アビドスの生徒たちに黒幕の正体は教えてないみたいだけど、どうして?」
『……知ったら、証拠もなしに突撃しかねないからな。もしそうなれば、どんな不利益を被ることになるか分からん』
"こうだと思ったらそのまま突っ走りかねない危うさがあるからな"──そうぼやくカオナシに対して、アズサは
(……人の事言えない気がすると思うのは、私だけかな)
……気付かれないようにジト目を向けながら、そのような事を考えていた。
◇◇◇◇◇
「……見つからないね」
『……そうだな』
調査開始から早数時間、二人は全くと言っていいほど、証拠となるものを見つけられないでいた。
……いや、全くと言うのは語弊がある。二人はヘルメット団が違法火器を仕入れていた店を発見したが、購入資金の入手ルートは見つけれていなかった。
正直言って仕入先が見つかった所で、あくまでも店側は売買をしているだけであり、アビドス襲撃に関与している訳では無い。
購入資金の入手ルートについては、大体の予想は着いているものの……それもまた、所詮はただの予想でしかない為、黒幕であるカイザーを追い詰める役には立たない。
"使用武器そのものが、カイザーの息がかかったものであればここまで面倒な事にならなかったものを……"と内心で悪態を着くカオナシ。
しかし、そのような事を考えていた所でどうしようも無いと、意識を切り替えようとした時
──"クゥ…"と小さな音が隣から聞こえてきた。
「私じゃない」
『……まだ何も言ってないんだけどな。……腹減ったし、どっかその辺で食い物買ってくか』
「うん、カオナシがそう言うなら私は構わない」
◇
「──カオナシ、あれは何?」
袖をクイクイと引っ張られたカオナシは、アズサが指を指す方へと視線を向けると──魚を象った金型に生地を流し込み、餡子やカスタードを包み込んだ和菓子を売っている屋台が目に映る。
『あれは、たい焼きだな』
「たい焼き……」
『食べたことないのか?』
「……名前だけは聞いたことあるけど、見るのは初めて」
屋台をじっと見つめるアズサ。カオナシが"食べるか?"と訊ねれば、彼女は一切の間を置かずに"コクリ"と頷いた。
「いらっしゃい」
「いちご味が1つ欲しい」
『餡子を10個』
「「!!?」」
……
「ま、まいどありー!」
程なくして注文したたい焼きを受け取った二人は、食べ歩きながら調査を再開した。
「……美味しい」
目を輝かせながら、ハムハムと小さな口で食べ進めるアズサ。そんな彼女を横目に、カオナシも紙袋から取り出し食べ始める。
『……美味いな』
外はカリッと、中はもっちりとしたほのかな甘みのある生地に、優しい甘さのつぶあんが見事な調和を生み出しており、思わず"美味い"という言葉が口からこぼれる。
(まさか、こんな所にこれ程までの味のたい焼きを取り扱う店があるとは……)
"これなら、トリニティやミレニアムみたいな、もっと人の多い自治区でも充分通用しそうなのにな"──そんな考えを内心抱きつつも、一度言葉を発した後は無心でたい焼きを食べ進めていると……真横から視線を感じ取り、カオナシはチラリと目を向ける。
視線の先には、自分の注文したものを食べながらも、物欲しそうにカオナシが手に持つたい焼きを見つめるアズサの姿。
彼女のたい焼きは残り少しとなっていたため、"そろそろ良いかな"とカオナシは紙袋から、新しいたい焼きを取り出し差し出した。
「……貰ってもいいのか?」
『もちろん、その為に今は離れて調査してるホシノ達の分も含めて、人数分買ったわけだしな』
「……一人で食べるのかと思ってた」
『いや、まぁ……うん』
(別に食べきれなくは無いけども……)
そんな事を考えている間にアズサは差し出されたものを受け取ると、僅かに残ったいちご味はそのままに、カオナシから受け取った王道の餡子のたい焼きにかぶりつく。
「あっふっ」
生地に包まれていた餡子はまだかなり熱を持っており、ハフハフと熱を逃がしながらも何とか飲み込んだ彼女は──ほにゃりと蕩けたような笑みを浮かべた。
「いちごも美味しいが、このつぶつぶとした餡子も美味しいな」
"優しい甘さで、幾らでも食べられそうだ"と微笑みながらも食べ進める彼女から視線を外し、自分も残り僅かとなったたい焼きを食べ切ろうと口を開いた丁度その時──"カオナシ"と声を掛けられる。
『ん?どうし──モゴっ』
アズサへと再び目を向けた直後、たい焼きを食べようと開いた口に何かが捩じ込まれる。
"一体何を"と文句を言おうとしたが……口の中いっぱいに広がる生地といちごの味に気付いたカオナシは口を閉ざした。
「折角カオナシが買ってくれたのに、私だけ2つの味を楽しむのは忍びないから」
特に気に止めた様子も無く、餡子のたい焼きを食べ進めるアズサに対し──カオナシは深く考えることをやめ、口の中の物を食べ切る事に専念する事にした。
『……いちご味も結構いけるな』
◇◇◇◇◇
お互いに食べ終えた後、二人は調査を再開──"プルルルル"──しようとしたその時、カオナシが持つ仕事用の端末に一本の電話がかかって来た。
足を止め、相手を確認する──電話をかけて来たのは先生であった。
カオナシは共に行動しているアズサに一言断りを入れると、電話に出る。
『……先生、どうした?』
『あ、カオナシ?』
──"カイザーの集金記録、手に入れたよ"
『……マジか』
一体どうやって手に入れたのかと疑問を抱いたカオナシは先生に訊ねる。
先生が言うには、今朝カイザーへ利子の支払いをする際に学校に来ていた現金輸送車をブラックマーケット内で発見し、なんやかんやで集金記録を手に入れたらしい。
……何故か歯切れの悪い先生に疑念を抱くが、一旦隅に置いておき──先ほどから電話越しに聞こえてくる銃声はいったい何かと問う。
『えっとー……実は今、マーケットガードに追われてて……』
『……なんて?』
"何でそんな事態になっているのか……まさか集金記録を手に入れる際に何かやらかしたのか?……やっぱり後でちゃんと聞かないといけないな"──そう考えを改めたカオナシは、まずはマーケットガードを振り切るために手伝えることはないかと確認する。
『あ、それは大丈夫。もうすぐ郊外に出るし、そうしたらもう追ってこないらしいから』
『………そうか』
カオナシは"落ち着いたらまた連絡してくれ"と伝えた後、電話を切った。
「どんな要件だった?」
『あー……、カイザーの集金記録を手に入れたらしい』
「そうなんだ」
"凄いね"と、自分たちが見つけられなかった証拠を見つけたという事実に対する感心するアズサ。確かに凄いが……カオナシとしては、やはりどうしても"何をやらかしたんだ"という思いは消えない。
(……アズサには、追われてることは言わなくていいか。これ以上ティーパーティーに不信感を抱かれかねない行動は取らせない方がいいだろうし……)
『……取り合えず、先生たちと合流するか』
「了解、カオナシの指示に従おう」
──二人は先生たちと合流すべく、歩みを進めた。
というわけで、カオナシとアズサは銀行襲撃には参加していません。……前話の展開で察している方もいるかもしれないですけどね。
故に、ヒフミちゃん=ファウストという事は、今はまだ知りません。
作中にあったカオナシとアズサちゃんとの出会いの部分については、エデン条約編か番外編で詳しく書こうと思ってます。
銀行強盗の流れはカオナシやユメがいても原作と殆ど変わらないので、初めのうちは飛ばそうかなと思っていたのですが……やっぱりファウスト様の初のご活躍は見たいかなと思ったので、アンケートを取る事にしようかと思います。