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アビドスの砂漠を突き進む、対策委員会一行。……彼女たちは普段の装備に加えて、全身を覆い隠す景色に溶け込むような砂色のローブを着込んでいた。
「それにしても、よくこんなもの持ってたね〜」
『……カイザーがアビドスの土地を狙っている可能性を見出したあの日から、もしかしたらこういった事になるかもしれないと思ってな……用意していたものが無駄にならなくてよかった』
ホシノの疑問に対して、ローブを用意した張本人であるカオナシはなんて事無いように答える。
……いったいどこまで先を見据えているのか……自分たちの二倍、三倍の量の物資を持ち運びながら歩く彼に呆れと感心の入り交じった視線を向けながら、彼女達もまた歩みを進める。
この場には先生もいる為、適宜休息を取りながら突き進むこと早数十分──先頭を歩くカオナシが出した合図を目にした彼女たちはしゃがみこんだ。
「カオナシくん、何か見つけたの?」
『向こうに人影があるのは見えるか?』
「……確かに有りますね。カオナシさん、ドローンで確認しますか?」
『……いや、今はまだいい。相手の索敵に引っかかると面倒だし……万が一に備えて物資の消耗は最小限に抑えるべきだからな』
アヤネの提案を断ったカオナシは、鞄から取り出した双眼鏡を覗いて遥か遠方を歩く人影の正体を探る。
『あれは……オートマタだな。……それも、戦闘型の』
「戦闘型?採掘型じゃなくて?」
『あぁ。……腐っても大企業だしな、巡回兵くらいは当然居るか』
「ん、だったら素早く倒して──」
『バカ、物資の消耗は最小限に抑えるべきって言ったばかりだろ。……戦闘は最後の手段だ』
「…………ん、分かった」
不服そうなシロコの様子に溜息をつきながらも、しばらくの間観察を続けていたカオナシ達は、巡回兵が十分に離れたことを確認すると再び歩き始めた。
◇◇◇◇◇
「ん、向こうに何かある」
砂漠を突き進むこと約一時間、進行方向から少し右にズレたその先に向け指を指すシロコ。
彼女の指し示す方には──砂埃ではっきりとは見えないものの、何かの建造物が存在しているようであった。
"カイザーの企みに繋がる何かを見つけられるかもしれない"──そう判断した対策委員会は進路を変更、目標を謎の建造物に変えると、進行を再開する。
暫くして、目的地に辿り着いた彼女たちは……端の見えぬ程先まで有刺鉄線の張り巡らされた超広域の何かの施設を前に、立ち竦んでいた。
「何これ……?」
「何かの施設……地下資源の採掘場でしょうか?……ですが……」
「……はい。過去の地積調査では、めぼしい地下資源は何ひとつとして存在しないって調査結果が出てたはずです……採掘場だとしても、一体何を探しているんでしょうか……」
「分からない……でも、こんなの昔はなかった……」
答えの出ぬ問答を繰り返している最中に、"みんなこっちに来て〜!"と呼び掛けるユメの声が聞こえた為、会話を切りあげ先輩の元へ向かう。
少し離れた所で情報収集をしていた彼女の視線の先には──壁面に描かれた何かを示すマーク
砂に塗れ、見づらくなったそれを確認するために、カオナシ達は手で砂をはらい──タコをモチーフにしたと思われる、三角形のロゴが露となった。
そして、ロゴの真下に書かれた文字──"KAISER PMC"
……目にした彼女たちの反応は二分されていた。
どこにいってもカイザーばかりという実態に苛立ちを覚える者、そして──PMCという文字に、事の厄介さを再認識する者。
『PMCか……随分と面倒な……』
「え?PMCがどうしたのよ、何かマズい言葉なの?」
「セリカちゃん、PMCというのは民間軍事会社の事です……」
「ぐ、軍事……!?」
「……ヘルメット団の様なチンピラとはレベルが違います。本当に組織化された……文字通り、軍隊のようなものです!」
「……!」
「軍隊ぃ!?」
何故そんな存在の施設がこのアビドスの砂漠にあるのか……"いっそ、採掘場であればまだ楽だったものを"という心境を彼女たちが抱いていたその時──二機の武装したオートマタが現れた。
『し、侵入者だ!』
『至急、応援要請を──』
カイザーPMCの巡回兵と思われるオートマタが通信機器を取り出した直後──
バギャアッ!!
──二人の人物が一瞬にして相手の懐に潜り込み、己が得物を振り抜いた。
『──ガッ!?』
『いつ、の…まに……』
殴り飛ばされたオートマタは、駆動部をスパークさせながら倒れ伏し──程なくして、沈黙する。
目にも止まらぬ早業に、先生と、ユメを除く対策委員会のメンバーはいったい何が起こったのかと目を白黒させ……ユメはそんな彼女達の隣で腕を組み、"うんうん!"と大きく頷いていた。
「やるねぇ、カオナシ」
『……ホシノもな』
オートマタを沈黙させた二人──カオナシとホシノは互いを褒め合うが、その表情に喜色はなかった。
"面倒なことになりそう"という予感が二人の胸中に渦巻いており──そんな考えを肯定するように、警報音が大音量で鳴り響く。
「えっ!?何で警報音が鳴るのよ!通信される前に倒したはずじゃない!」
『……巡回兵の反応がロストした事で、向こうに異常事態が起こってることが伝わっちまったか──』
「──もしくは、既に捕捉されていたか。……何方にせよ、囲まれる前に離脱しないとね〜」
響くヘリのモーター音に、地を揺らす戦車──大規模な兵力の接近を察知したアヤネの叫びを耳にし……既に猶予はないと察したカオナシたちは速やかに離脱するため、弾薬を除いた全ての物資を降ろすと包囲されまいと全速力で砂漠を駆けていく。
実力者揃いの対策委員会にとって、カイザーPMCの兵士ははっきり言って雑魚同然ではあるのだが……如何せん、数に差がありすぎた。
こちらは十人に満たない人数なのに対し、相手は数千〜数万という莫大な兵数差に加え、戦車や軍用ヘリ等の兵器を惜しげも無く用いた上で統率された軍特有の厄介さ。
それでも決して抵抗を止めぬカオナシたちであったが……積み重なる疲労に加えて、物資が底を尽き始めた彼等の首はじわじわと締め付けられていき──
「はぁ、はぁ……」
「……ふぅ」
「キリがないなぁ、これは……」
──抵抗虚しく、包囲されてしまうのであった。
◇◇◇◇◇
絶対絶命としか言いようの無い状況を前に、セリカ達は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
((さて、どうしたものか……/うーん、どうしよっか……))
(この人数差、選択肢は一点突破しかないが……)
(でもそうしたら、間違いなく四方八方から爆撃される。……私は耐えられても、他の皆が耐えられない)
(……既に囲まれてしまった今の状況じゃ、囮になって他の全員を逃がすことも出来ない)
(それに、この場にはキヴォトスの外から来た先生もいる。……無茶な行動は、絶対に出来ない)
大切な仲間を見捨てて逃げるという選択肢は存在しない彼/彼女が葛藤している最中──一台の装甲車がこちらに近づいて来る。
他の装甲車と一風変わったそれに警戒心を抱く中、対策委員会から少し離れたところに止まると、扉が開き──
『侵入者とは聞いていたが……アビドスだったとはな』
──黒いスーツを身に纏う、大柄のオートマタが現れた。
チラッと顔見せ。奴とのやり取りまで書くと長くなりそうなので、ちょっと短いですけど今回はここまで