シャーレの地下。そこにあった物を回収し、私はここまで手伝ってくれた四人にお礼を言いに来ていた
お別れ、という事で四人からは「自分達の学園に来たら歓迎する」といった旨の内容を言われた。近い内に行ってみよう
「改めて、四人ともありがとうね」
そうして、いざ解散。という時に
「お前が先生……か」
彼は突然現れた。音も無く、気配も無く、気がついたらそこに居た。周りに居るユウカ達も驚いていることから、私だけが聞こえなかったわけではなさそうだ
「そうだけど……君は?」
「先生っ!」
彼に名を聞いた時、彼からの返答より先に、ユウカ達が私の前に庇う様に出てくる
「ど、どうしたの?」
「先生、先程行政官から聞きましたよね?彼が例の……」
「っ……なるほど」
どうやら、今目の前に居る人物が刃らしい。なるほど、名前の通り、こちらを刺す様な鋭い気配を放っている
「あなた、先生に何の用!?」
「用……か。そうだな、確認のためだ」
「確認?」
「あの女が全てを託した大人。それがどれ程のものなのか……興味がある」
そう言った彼は、どこからか布で包んだ何かを取り出した。そして、その布を解いていく。全てが解かれ、それの全貌が見える
それは確かに剣だった。しかし、剣というには明らかに傷が多い、ボロボロの剣だった
「さあ、お前の力を見せてみろ。……死兆よ、来たれ」
彼が何かを呟くと、纏っている雰囲気が更に鋭くなる
「先生!私たちの後ろに……」
ユウカ達が彼を警戒し、私を後ろに下がらせた……が
「無駄だ」
彼は既にこちらへと剣を振り下ろしていた
「うわっ!」
「「「「!?」」」」
「……ほう」
しかし、その攻撃が届くことはなかった。これは……
『先生!大丈夫ですか!?』
「アロナ!今のは君が?」
『はい。私がバリアを展開しました!』
どうやら、今の攻撃はアロナが防いでくれた様だ。それにしても、シッテムの箱というのはそんな事もできるのか……
「今のは……なるほど、"そこ"に居るというわけか」
私の手……正確には手に持ったシッテムの箱に視線を向けながら彼は何かを呟いた。よく聞こえなかったが……
「先生から離れなさい!」
そんな彼に、ユウカが銃弾を浴びせた。しかし、彼は私から距離を取ると、その銃弾を全て剣で弾いてしまった
「あの量を剣で弾くなんて……。ああもう!やられっぱなしじゃいられないわ!」
「幸い、ここに居るのは彼一人の様ですし……先生、指揮をお願いしても?」
「分かった。けど、危険だと思ったらすぐに退くよ」
そう伝え、シッテムの箱を持ち直す
(はは……想像以上だ。まさかここまでとは)
恐らくだが、あの大人に戦闘能力はない。それは最初で分かっていた。だが、"あの女"が全てを託した大人に、何も無いわけがない。……そう思ってはいたが……
(良い……良いぞ!)
なるほど、先生とはよく言ったものだ。言葉通り、生徒に道を示す事に長けているということか。あの大人が指揮を始めた途端、彼女たちの動きの質が数段上がった。まさか指揮だけでここまでの実力を引き出すとは……
(この指揮をあいつらが受けたら……)
想像するだけで笑みが溢れる。このまま戦うのもおもしろそうだが……実力の確認はできた
「用は済んだ。……また逢うことになるだろう。先生」
そう言い残し、その場から去る。あの者なら、俺を……