カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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この話の前半のリュートと会話する部分をパートナーというタイトルで単話として投稿予定だったのが600文字しかなく、1000文字制限に引っかかり投稿できず急遽次話とくっつけて投稿することになり、その調整に手間取っていました。遅れて申し訳ありません。


第16話 A組の特待生

「む」

 

「あ」

 

 ちょっと試したいカードがあるのでカードショップに行こうとバトルルームを出た所、丁度そのタイミングで隣の部屋のバトルルームから光ヶ崎リュートと神楽坂アカネが出てきた。

 

「や、やぁ。久しぶり」

 

「……そうだな。ふーん……」

 

 リュートは玄咲たちの隣で何故かアカネに頭を下げているシャルナを見て言う。

 

「君たちもペアで訓練してるのか」

 

「ああ」

 

「まぁ訓練は2人でやる方が圧倒的に効率がいいからな。今思えば最初の試験は自然にこういう知古を得る機会を与える意図もあったのかもな。ともに最初の試験を潜り抜けた経験は、強烈だからな」

 

「……そうかもな」

 

 玄咲はやたらと嬉しそうに「いいっていいって」と言ってるアカネを見ながら応答する。

 

「じゃあ、さよなら」

 

「ああ。……天之玄咲」

 

「なんだ」

 

 

「僕は君に絶対負けない」

 

 

「――」

 

 玄咲は。

 

 思わず身震いをした。

 

「――そうか。じゃあ」

 

 そして。

 

「俺も頑張らなきゃな」

 

 慣れ合いは無用とばかりに、リュートに背を向けシャルナとバトルセンターを出た。

 

「なんか、前に見た時より、強そうだったね」

 

「ああ。リュートは強いよ。1年の中じゃ一番警戒している。いや――」

 

 隣にいるシャルナを見て、玄咲は、

 

「なに?」

 

「――いや。やっぱり、一番警戒すべきはリュートだ。シャル。あまりうかうかはできないぞ」

 

「うん! もっと頑張ろう!」

 

 シャルナの方が警戒すべきかもしれない。その言葉を飲み込んだ。言ったら調子に乗りそうなので、気を引き締めるために。

 

 

 プライドの問題も、少しあった。

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ風格あるよね、あの人」

 

「そうだな。リュートは最初から警戒してる」

 

「アカネちゃんは?」

 

「え? ……まぁ、弱いってことはないんじゃないか? 正直彼女は会う度他のことに気を取られ状況ばかりでさ、あまりまともに考えたことはなかったな……はぁ、いつ仲直りできるんだろ……」

 

「……」

 

 学内廊下。カードショップへの移動中。シャルナはむつかしい顔をして少し考え込み、

 

「あのさ」

 

「なんだ」

 

「玄咲って、女の子、好き過ぎじゃない?」

 

 唐突なシャルナの言葉に玄咲はむせ込んだ。

 

「……なぜ、急にそんなことを。全然、そんなこと、ないよ」

 

「でもさ、この学校で、私も、私以外にも、基本女の子としか、喋ってなくない? 私でしょ。バエルさんでしょ、シーマちゃんでしょ、クララ先生でしょ、アルルちゃんでしょ、キララちゃんでしょ、グルグルでしょ、コスモちゃんでしょ、クゥちゃんでしょ、強く親交持った人、女の子だけだよね」

 

「偶然だ」

 

「でもさ、女の子と男の人に接するときで、全然態度違うよね」

 

「気のせいだ」

 

「本当に?」

 

「……」

 

 少しだけ本音を語る。

 

「女の子と話すと癒されるんだ。生きてるって感じがする。そりゃ緊張するけどさ、それ以上にワクワクするよ。女の子と一緒にいるとそれだけで楽しい。でも、男なら誰だってそんなもんだ。俺が特別な訳ではない」

 

「そうかなぁ」

 

「それに男と話しても癒されない。生きてるって感じがしない。緊張もしないがワクワクもしない。女の子と比べたらどうでもいい。でも、男なら誰だってそんなもんだ。俺が特別な訳ではない」

 

「なるほど。男の人と話すとき、基本物凄く淡白だもんね。物凄くどうでも良さそうだなって思ってたけど、本当にそう思ってたんだ」

 

「ああ。どうでもいい」

 

「うーん……あっ!」

 

 シャルナが前方から歩いてきて、そしてたった今すれ違った燃えるような赤髪のサングラスをかけた男子生徒を丁度いいとばかりに指さして玄咲に話しかける。

 

「今の、リュートって人と比べても、物凄く風格があって、強そうな人!」

 

((っ! 強そう、だと……))

 

 ピクッ。

 

「あの人、どう思う?」

 

「……」

 

 知ってる人間。炎条司。A組の特待生。現1年最強の男。

 

「死ぬほどどうでもいい」

 

 玄咲は即答した。

 

 ピクッ!

 

「やっぱり、男だから?」

 

「「……」」

 

 ここで頷くと女好きというレッテルを張られそう。そう考えた玄咲はちょっと小細工を弄する。

 

「いや、弱そうだからだ」

 

 シャルナが強そうだと褒めたことが、内心相当強く響いていた玄咲。玄咲は結構面倒くさい性格をしていた。玄咲たちの背後で話題に上がった男が耳をピクつかせまくる。

 

 ピクッ! ピククッ!

 

「そう? 強そうだと、思ったけどなぁ」

 

 ピク……。

 

「俺はそうは思わなかった」

 

 ピクッ!

 

「風格、凄くない?」

 

 ピックゥ……。

 

「背伸びした子供程度にはな」

 

 ピキピキッ!

 

「そうかなぁ……基準、厳しくない?」

 

 ピクピク。

 

「かもしれないな。だけどサンダージョーと比べるとやっぱり劣るし」

 

(ふざけんな! あいつと比べんじゃねぇ!)

 

「それに何より」

 

 ピク?

 

「俺はリュートの方が怖いと思っている。だから――」

 

 

「おい」

 

 

 感情の押し込められた声。肩に手がかかる。振り返る。

 

 そこに、額に血管をビキビキと張り巡らされて、サングラスからはみ出た瞳もまた血走らせて、誰の目にも明らかな怒りを全身に滾らせて玄咲を睨む男がいた。肩を握る手に、力が籠められる。

 

「バトルルームへ行こうぜ。久々に”キ”レちまったよ……」

 

「「……」」

 

 魔符士は身体能力が高いので聴力も高い傾向にあることを玄咲も、シャルナも今更ながらに思い出した。手遅れだった。

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