カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第31話 作戦会議、そして……

「よし、こんなもんかな。あーキララちゃん頑張った!」

 

 玄咲とキララ主導で作戦会議は滞りなく終了した。力を見せつけたからか誰も騒ぎ立てない。さとしも狂夜も大人しい。そして頭のいいキララが司会と作戦立案をよくこなしてくれた。玄咲の仕事はと言えばもっともらしい顔で地図と生徒を睨んでそれっぽく振舞うことだけだった。「あんた何もしてないじゃん」とキララに嫌味を言われたが、自分は適材適所の最善を尽くしただけだと玄咲は今でも自信を持って言える。その証拠に、誰からも不満は上がらなかった。むしろ歓迎する空気があった。内心結構、玄咲は傷ついている。

 

(にしても、ルールがちょっとゲームと違う。なるほど。こういう調整をしていたのか)

 

 イベントでは専用のリミットレギュレーション――カード制限で行われる。バエルは勿論禁止。他にも制限カード――1回しか使えないカードなども多数あった。それも考慮して、みんなで手持ちのカードを晒しつつ、作戦をキララ主導で考えた。キララのG組内での株が猛烈に上がった。バカは頭のいい人間になんとなくひれ伏してしまう所がある。

 

「各生徒にはイベント会場でMPポーションが2つずつ配布される。お前らぐらいのレベルなら1つ飲めば魔力が全回復する高級品だ。学年総員の集団戦ともなれば絶対途中で魔力が切れるからな。配布が2つなのは、一日にMPポーションを2瓶以上摂取すると重篤な後遺症が発生するからだ。くれぐれも過剰摂取(オーバードーズ)しないように」

 

(MPポーション。懐かしいな。HPポーションはないけどMPポーションだけあるんだよな。HP回復は回復魔法を使える、主人公やクララ先生みたいなレアなキャラの特権。逆に魔力回復はMPポーションでしか行えなかったけど。魔法でMPが回復出来たら永久機関が完成しちまうからな……)

 

 一人ゲーム知識に思いを馳せる玄咲。クロウがSDを操作しながら少し笑んで告げる。

 

「よし、ではポイント給付だ。全1年生に30万ポイントずつ配られる。各自このポイントでカードを買うなりADを改造するなり戦力を整えてくれ」

 

 最初の方に説明のあったポイント給付で教室は沸騰した。30万ポイント。月額給付ポイント程ではないが、大量ポイント。ラグナロク学園の目的は生徒を血眼で戦わせることではなく育成することなので、定期的に大量のポイントが給付される。戦う土台に立ってくれないと、まともな対戦もなりたたないからだ。ただし、外部持ち込みのカードやADの換算ポイント分給付は引かれる。換算30万ポイント以上の場合は給付はなし。30万ポイント以下でも、差額分給付が引かれる。そうやって、適宜全体のバランスを取っていくのが学園の方針らしい。

 

「私、もらえて、よかった」

「……」

「玄咲、もらえなかったね」

「……まぁな。その分、エレメンタルカードを活用させてもらうさ。他にもあれとかな」

「あれね」

 

 そのポイント給付が今日最後の行事だった。クロウが教壇に手を突き、生徒を見回す。

 

「では、解散。各自、イベント日まで修練を怠らないように。質問があればいつでも受け付ける。教室にいない時は基本職員室にいるから訪れて声をかけてくれ」

 

 珍しく糞真面目に――生徒を真剣に心配している証――教師しているクロウの号令で作戦会議が終了し、玄咲が帰りかけたころ。

 

「天之、ちょっとこっちこい」

 

 玄咲だけ教室の隅に呼ばれた。そして、クロウに耳打ちされる。

 

「糞婆からの伝言だ。一位を取れ。さもないと……」

 

「……さもないと、なんですか」

 

「退学、だそうだ」

 

 玄咲が息を呑む。クロウが優しく微笑む。

 

「安心しろ。どうせ口だけだ。退学にはならないだろう。俺は婆の手口をよく知っているんだ。ただ、一位を取らないと……」

 

「……取らないと、何ですか?」

 

 クロウは優しく微笑んだ。微笑んで、何も答えなかった。玄咲は全てを察した。殺されるのは当然、それ以上に酷い目に合わされると。

 

「お前も、気に入られてしまったな……気をつけろ、あの殺人糞婆は決して生徒の味方ではない。むしろ敵だ。そのつもりでいろ。糞! あの婆は、人類の敵なんだ。俺は、俺はいつか、あの婆を一度でいいから殺してやるのが夢なんだ! そのくらいしなければ俺が受けた屈辱には釣り合わない! 俺は、俺は本気で信じてたのに……! 見てろよ、いつか見てろよ……!」

 

「……はい」

 

 クロウの伝言と忠告と愚痴に滅入りながら廊下でバッグを手に玄咲を待つシャルナの元へ。

 

「何て?」

 

 廊下を隣り合って歩くシャルナが尋ねてくる。

 

「学園長が一位を取れってさ。でないと、酷い目に合わせるって」

 

「……」

 

 シャルナの顔がサーっと青くなる。そして、ガッツポーズ。

 

「頑張ろ! 私も、協力する!」

 

「ああ。頑張ろう。ふふ、精神の生き残りをかけたサヴァイヴだ……」

 

 シャルナに癒されながら、玄咲は下校する。

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