カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
プロローグ 裁きの光
「クラス対抗ストラテジーウォー本戦、か……」
「とうとう来たわね」
「ああ。死闘になるだろう。……バエル、俺、大丈夫かな」
「きっと大丈夫よ。今までだって超えてきた。だから今回も上手くやれるわ」
朝。日差しの中で窓の外に浮かぶバエルと話をする。一望するラグナロク学園の街並み。それが、2日前よりどこか色褪せて見える。威圧的に見える。遠くに見える。手の届かない場所に見える。まるで、自分に相応しくないものであるかのように。
別世界の景色のように見える。
玄咲はバエルに呟いた。
「……バエル。君は俺の味方だよな」
「当たり前でしょ。私はいつだってあなたの味方よ。どんなあなただって肯定してあげる。だから」
バエルはラグナロク学園の街並みに背を翻し、その黒を纏ったおぞましいまでの美貌を玄咲に近づけ、赤い瞳で玄咲の瞳を覗き込んだ。
「あなたはあなたのままでいればいいの。私はその全てを肯定する。だから、自分を信じて。自分らしくある。きっとそれが、いつだって、あなたの未来を切り開く最善の手段。だから、思いっきりやってきなさい。それはきっと最善の結果に繋がるわ」
「……ありがとう」
バエルの優しさが玄咲に勇気をくれる。白い光に晒され揺らいだ決意が固まる。玄咲は微笑みバエルに礼を言った。
「君は俺の最高の相棒だ。君がいてくれて本当に――っと」
ピンポーン。
チャイムが鳴る。いつもの時間。玄咲はバエルに申し訳なさげに微笑んだ。
「ごめん。もう行くよ」
「ええ。行ってらっしゃい。いい? 自分を曲げちゃ駄目よ。自分を――」
ニコリ。
「自分を信じて」
「――ああ。分かってる。それじゃ――」
送喚
シュン。
バエルが消える。でもその言葉は、想いは、胸に残った。だからもう大丈夫。きっと昔みたいにやれる。玄咲は窓を閉め、カーテンを閉め、ラグナロク学園の街並みを視界から閉ざして、背を背けた。目に広がるはいつもの景色。
この世界に来てからたくさんの思い出を、本当に綺麗でキラキラした輝かしい思い出を、ベッドの隅辺りに重点的に積み重ねた、今の自分のいつもの部屋。前の部屋より狭いのに、前の部屋よりずっと広い部屋。
「……」
いつもの部屋が、いつもより少しだけ眩しい。終わったあと自分が自分でいられるか。そんなことをつい考えてしまう。弱さ。そう断じて、感傷を切り捨てる。そして、部屋のドアを開けた。白い光が出迎えた。
「――行こっ! 玄咲っ!」
いつも白く光り輝いている。シャルナが出迎える。大好きな最愛の天使で堕天使。
「――ああ。行こう。シャル」
この子のためなら
まるで裁きの光のようだと思ったのは、何かの間違いに違いなかった。