カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
「はぁ、はぁ、もうすぐ、山頂だ。待ってろよ、天之、玄咲。シャルナ・エルフィン。もうすぐ、もうすぐで、やっと、やっと――全部、終わる……」
「……カミナ様。もしかして、本当は、ただ……」
「待ってろよ、殺して、やるからよォ。終わらせて、やる。全て、何もかも……!」
「カミナ様は、もう半分、心が死んでるんだわ……」
「山頂。辿り着いた。これで、これで……! やっと、やっと……!」
カミナを先頭とするF組の生徒たちが山頂に辿り着く。そして頂の光景を、目にする。
誰も、いなかった。
「――え?」
カミナは、周囲を見渡す。巨大な円形の遮蔽物一つないスペース。隠れることなどできはしない。森に隠れるほどの時間があったとも思えない。一体、どこに――。
バチッ。
「――そこかァッ!!! 天之玄咲ッ! そして
「――ね、空を飛ぶって、気持ちいいでしょ」
「――ああ。凄く、不思議な気持ちだ。世界すら飛び越えられる。そんな気分だよ」
「かもね。物凄く早く飛んだら、次元だって超えちゃうかも。玄咲の世界にも、行けちゃうかも」
「……勘弁してくれ。俺の世界には魔法がない。二度と、この大好きな世界に戻ってこれなくなる」
「そんな、嫌?」
「ああ、嫌だ。もう、一つの縁も残っていないんだ……」
「私が、一緒でも?」
「……それなら」
「それなら?」
「シャルがいる世界にいたい。君があっちの世界にいるならあっち、こっちの世界にいるならこっちだな」
「……玄咲。あまり、動揺させないで。飛行魔法は、バランスが、繊細なの。また、前みたいに、なっちゃうよ」
「うっ、ごめん……」
「……また、見たい?」
「え?」
「わわっ!」
シャルナが一瞬バランスを崩す。闇空の中、シャルナをその細腕に抱える玄咲を離すまいと、慌ててギュっと抱き締める。体が、密着する。
「ご、ごめん。今のは、なかった。忘れて……」
「あ、ああ……」
胸の感触が心地よい。だが、G組の陣地から飛んで、シャルナに抱えられている間、ずっと当たっていたので、程度の差はあれど正直今更だった。玄咲も少しずつ慣れてきている。
「でも、ありがとう。そう言ってくれて、嬉しい」
「う、うん。本音だよ――っと着いたみたいだな」
「うん。下ろすね」
F組の陣地、シャルナが降下し、玄咲を下ろす。玄咲はしばらく森の様子を伺う。そして、機を見計らって、森に入った。
「ちょっと待ってろ。釣ってくる」
「うん」
そしてすぐに戻ってきて、シャルナに抱きかかえられてまた浮上。シャルナも高レベルの魔符士なので、腕力はそこそこある。そして待つこと数十秒――。
「――来たね」
「ああ」
遥か下方、森を抜けて眼下に姿を現した人の群れを、空を飛ぶシャルナに抱えられて見下ろしながら、玄咲はADの照準を調整しつつ答えた。
「射弦義カミナが来た」
空に、人間が浮かんでいる。
黒翼を生やした堕天使に抱えられた人間が、悪魔的なデザインのADの魔力光をバチバチと迸らせる銃口をこちらに向け「天之玄咲ゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウうううううううううううううウウウウウウウウウウウウ! シャルナ・エルフィィイイイイイイイイイイイイイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいイイイイイイイイイイイイイイン! 死ねぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
カミナは即座に神威挽パーティクルレインを玄咲とシャルナに向けた。禁止カードは既にインサートし終えている。精霊神抜きでこの威力の魔法に抗うことはできない。カミナは殺戮の予感に、これまでで最も醜悪な笑顔を浮かべて、パーティクルレインの弦を引き、詠唱と同時、離した。
「
臨死の際まで魔力が搾り取られる感覚と共に、極大の黒い矢が発射された。ランク9に匹敵する威力のカードなだけあり、凄まじいオーラ。カミナは勝利を確信した。
(これで、全て終わる。奴らを殺して、未練を全部捨てて、そして、そして、僕も死――)
「ゾディアック・サンダー」