カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
「ねぇ、玄咲」
「なんだ、シャル」
山道。D組方面へと2人で走っている途中、涼し気な顔をしつつも実はちょっと必死に並走している玄咲にシャルナが尋ねる。
「今更だけど、ADって、刃先が丸いよね。これじゃ、スパって切れない。何で?」
「危ないからだ。カード状の武器を携帯出来たら不意打ちに使えてしまうだろう? だから、法律で規制されている。あくまで魔法の使用触媒として存在を許されているんだ」
「でも、ハンマーとか、釘バットとかで、ずがーんって殴ったら、危ないじゃん。あれは、規制しないの?」
「……鈍器的な用途はもう仕方ないから割り切られている。武器としての性能を削いでまで安全におもねっては本末転倒だからな。
「なる、ほど。そりゃ、そうだね。……そういえばさ、玄咲」
「なんだ、シャル」
シャルナは以前から抱いていた疑問を玄咲に尋ねる。
「玄咲ってさ、どんな魔法つかっても、出力安定、してるよね。符合魔法と、それ以外の魔法って、普通、出力に、結構な差が、出るのに、玄咲は、むしろ、どの魔法も、平均以上の出力って、感じだよね。なんで?」
「それが虹色の魔力のメリットだ。どんな魔法も使いこなせる。メタ的に言えばプレイヤーに全てのカードを平等な条件で使わせるための設定だ。ただ、デメリットもあってな。大空ライト君は符合魔法を持たない。正確には精霊魔法が符合魔法なんだが、EPの関係上普段使いができなくて、しかもボス戦はバエルっていう符合魔法とか関係ない最強カードがあるから、まぁ実質ないも同然だった。そして魔力属性も全属性使えるもののどれも半端。器用貧乏の究極だ。大層なメリットに感じるが、実際のところ符合魔法に特化した生徒の方が遥かに強力で、CMAというゲームは全力で敵のメタを張って、素質地まで7つの数値がオール7、あ、これ虹にちなんでる、と器用貧乏の究極系だった大空ライト君を必死に介護するのが基本プレイスタイルという、結構なマゾ高難度ゲーだった。ゲームに歯ごたえを持たせるための意図的な調整だったらしく、周回数が浅い内は無双感と大空ライト君の魅力を削ぐというデメリットもあるが、ぶっちゃけその意図は成功しててCMAの戦闘はかなり面白かった。敵に合わせて無数のカードを使い分ける。そのプレイスタイルが飽きないんだよな。大空ライト君はゴミだが、それでも最高の主人公だった。王道をなぞっているようでよく見たらセンスが狂ってる珍言・迷言の数々も慣れてきたら味があってくさやみたいに癖にな」
「玄咲、ゲームの話、もうやめて」
「あ、うん」
少し蛇足が過ぎたなと話を打ち切る玄咲。本筋から逸れた話はシャルナも興味を惹かれなくて当たり前だと反省する。シャルナは少し沈思黙考してから、口を開いた。
「玄咲、語るときは、ガッて語るよね。見た目に反して、基本、オタク気質、だよね」
クリティカル。
「……いや、その、うん、そういう、ところも、ある」
「ふふ、生まれる、環境が、違えば、本当にオタクに、なってたかもね」
「……そうかもしれない」
「でも、そういうところも、好き」
「う、うん。ありがとう……」
照れながら礼を言う。それからさらに走ること3分。
「……見えてきたな」
視界の先に、D組の生徒たちが5人。ADを構える。玄咲とシャルナもADを構えて、さらに加速して突っ込んだ。
「楽勝だったな」
「うん」
そして瞬殺した。