カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
「あの電波にGOGOです! 宇宙の報せです! ぴきゅるぴ! 行進せよ! 果ての果てまで!」
E組。コスモを先頭とする機人多めの集団。G組に向かって行軍するその姿はイベント中とは思えないほどのほほんとしていた。その理由は先頭に立つコスモにある。男子はその肉感的な後ろ姿に見惚れている。女子も、見惚れてはいないものの、緊張感を保てないでいる。
そして機人は、コスモに敬意を払っている
「流石コスモ様です。傑作と判断します」
「あのハイスペック。見習いたいものですね。ときめきを学べばああなれるのでしょうか?」
「当機はCOSMOLOVEです。Tシャツ着てきました」
「皆様。コスモ様に見惚れるのは程々に。今はイベント中ですので」
そしてひたすら緩み落ちそうなE組の雰囲気を、まじめな性格をインストールされたE組のサブリーダーの機人ポット・デフォールが引き締める。
「コスモ様の判断は一見意味不明なようでいて、合理的です。私の個人的な事前リサーチによるとこのイベントでもっとも危険な敵はG組。その危機感を先ほどの雷撃により全ての組が共有した。危機感のみならず切り札の喪失の認識も、また。だからコスモ様――E組は率先してG組へと向かった。今自分が動けば、他組も見ではなく行動に出るとみて。その判断は正しかった。故に今3方面同時攻撃が成立している。全てはコスモ様の計算の内なのです。のほほんと電波を撒き散らしているだけではないのです!」
ポットの言葉がE組の面々に電撃を流し込む。
「な、なるほど! そうだったのか!」
「確かにコスモちゃんは何を考えているか分からないわ。でも、言われてみると、すべての行動が合理的。実は合理主義の化身だったのね!」
「COSMO様……プラグで連結したい……」
納得し合うE組の面々。納得したがっていたのだ。ポットはふふんと胸を張る。
「ふふん。分かりましたか。コスモさまの素晴らしさが。ですよね、コスモさま。ちゃんと考えていらっしゃるのですよね?」
「ん? ああ大体そんな感じ。OKOK。オーライオーライ。流石ぽっと出、じゃなかった、ポットですね。私の行動に秘められた深淵なる考えを紐解くとは……」
「……」
あ、やっぱ何も考えてないな。自分に嘘をつくのをやめたE君の面々は、でも結局は緩やかな雰囲気のままコスモに続いて行軍し――。
「へへ、待ってたぜ」
そして接敵した。邪推してしまいそうな黄土色のドリルリーゼントが特徴的な見るからに悪そう、そしてそれ以上に強そうな見た目の大巨漢が率いる不良とバカの群れと。
G組と。
「おお。まるでうんこみたいな」
「あなたがこの群れのリーダーですか」
コスモの言葉を遮ってポットが尋ねる。
「ああ。俺がリーダーだぜ」
さとしがにやりと笑って答える。
「何を企んでいるのですか?」
ポットがさとしに尋ねる。この程度の魔符士が最高戦力のG組が、コスモにポットまでいるE組に勝てるわけがない。故に何かを企んでいるに決まっている。そういう合理思考からの質問だ。
「あ? 何も企んでねぇよ。そいつを真正面からぶっ倒しにきたんだ。俺は“ツエー”から“ヨユー”よ」
(……こいつは)
ポットは人間の嘘をある程度見抜く能力がある。呼吸、脈拍、その他エトセトラの生体反応を収集し、嘘をついている確率をパーセンテージで弾き出すのだ。ポットがその能力をさとしに行使した結果、驚くべき数値が出た。
【0%】
さとしは100%本気で言っていた。ポットは結論付ける。
(ただのバカ。警戒するに値しませんね。G組らしい生徒です。そうでした。G組はこういう人間の――
確信を得たポットはコスモに自己判断を伝える。
「あいつも、その後ろに控える奴らも
「
コスモが進み出る。さとしも進み出る。大将対決。まずは挨拶とばかりに、グローブ型のADを装着した両者は魔法も発動せず、そのフィジカルに任せた拳を全力でぶつけ合い――。
「オラァ!」
「無駄ァ! です!」
そして、さとしが吹っ飛んだ。吹っ飛ぶさとしを背景にコスモは謎にアッパーポーズを決める。
「
「ば、化け物だ。さとしが、素手で……!」
E組が行進する。G組が後退する。さとしが「ちくしょー」と言いながらようやく起き上がる――。
「うおおおおお! 後退だぁああああああああああああ! ちくしょぉおおおおおおおおお最近負けてばっかだぁあああああああああああああああ!」
さとしが叫ぶ。何の演技も浮かべず。G組が何度目かも分からない後退をする。E組は何の躊躇いもなく追撃する。ポットが叫ぶ。
「雑魚だけで固まってるうちに潰すのです! コスモちゃんは最強です! だから安心するのです!
「別に最強ではないです」
「……とにかく潰すのです!」
E組がさらに前進する。G組も反撃する。魔法を撃って牽制する。
「ファイア・ランス!」
「アイス・ハイボール!」
「ハンドレッド・メガショック!」
「サイレンス・フィールド!」
「グラビティ・ビュレット!」
「スパスパ・レーザー!」
個々の声が聞き取れない怒声のような詠唱の連打の中、もはや一々見てられないほどたくさんの魔法がE組に放たれる。防御役の生徒がしっかりと防御魔法で防ぐ。コスモは防ぎすらしない。堂々と進撃する。
「ん? 音が、途切れましたね――」
その途中、着弾音に紛れて気づかなかったが、G組の魔法の詠唱音が途切れていることにふと気づき、周りを見渡すとうっすらと半透明の結界が張られていることに気づき、そして、水滴――。
「
毒の水煙が頭上からふりかかる。そして真下からも、水色の光が立ち昇る。