カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第21話 狂夜 VS B組 ―単騎―

「んー……」

 

 G組への行軍中。アルルは耳を澄ます、までもないなと思った。左隣を歩くサリエルに確認する。

 

「聞こえるね。ギターの音が」

「はい。これは楽器型のADですね。チャージ中と思われます」

「だね。僕も同じ意見――」

 

 ギュゥン!

 

 演奏のテンポが早まる。アルルは台詞を止めて、少し待った。それからしばらくして、

 

 ギュオゥン!

 

 アルルの眼が見開かれる。気のせいではなく、演奏のビートが速まっていた。

 

「! 演奏のテンポが速まってる。最初は4ビート! 次は8ビート! そして今16ビートに変速した! 一定時間の該当ビートでの演奏の後、上位魔法とフュージョン・マジックが解禁されるロック魔法、ヴァイオレット・ビートだ! それに――」

 

 アルルはゴクリと喉を鳴らして、震えながら言った。

 

「なんて上手さだ。まるでエルヴィス。こんな技巧の持ち主がこの学校にいたなんて……!」

「アルル様……」

「はっ! じゃなかった。演奏の上手さは威力に直結する。そして長く引くほど、威力も上がる。そしてヴァイオレット・ビートは16ビート! 強烈なのがくるよ! でも、この初撃をしのげば、次同じ威力の攻撃を出す時間はない。防御魔法用意! 全力でしのぐよ!」

 

 音はもう間近まで迫っていた。身構えるB組。

 

 そして、きた。

 

 疾走する赤い影が森から飛び出してくる。ADを振りかざしている。単騎だ。アルルは即座に詠唱した。

 

超音防波壁(スーパーサウンドバリア)!」

 

 B組が防御魔法を連打する。余裕があった。一人じゃ大したことはできないだろうという、驕りとは言えない余裕が。

 

 

「――フュージョン・マジック! 紫炎怨響狂鳴波(ヴァイオレット・ハウリング)!」

 

 

 多重展開した防御魔法ごとその余裕が食い千切られた。紫炎を帯びた音の衝撃波が果て無く広がる――!

 

 

 

 

「う、うう」

 

 サリエルは取り落とした盾を拾いにクラスメイトの屍が転がる森の中をよたよた歩く。その前に男が立ちはだかり、

 

「はっはぁ! 通行禁止だァ! いい子は眠っとけ! これが俺からの子守歌だ!」

 

 ギターでぶん殴られた。サリエルのSDからブザーが鳴った。

 

 

 

 

 

「……やばいね、これは」

 

 B組の主力の一人が早々にやられた。そして、前に集まっていた生徒の殆ども。一撃で25%近く戦力を減らされた。あり得ない攻撃力。アルルが今まで見てきた人間の中でも5指に入る攻勢魔力の持ち主だと断言できた。赤髪の男が振り返る。獣のような眼光でにらみながらアルルへとギターを向けてくる。

 

「悪いがその首もらうぞアルル。約束なんでな」

 

「嫌な約束しないでもらえる? 僕もはいそうですかって負ける訳にはいかないんだよねー……畑くん。今から君がサブリーダーね」

 

「分かったっぺ。幸いおらもリーダーもサリエル様の後ろにいたからほぼ無傷だっぺ」

 

「防御魔法は破られちゃったし、HPも減ったけどね。まだやれる。みんな、そうだよね! 一番の難所は超えた! さぁ、反撃の番だよ!」

 

「そ、そうだ。アルル様がまだあんな元気だ!」

 

「それにチャージは切れた。もうあの攻撃は放てない! 今度はこっちが数の利で蹂躙する番だァ!」

 

 アルルの声に叱咤されて、B組全員にたちまち活力が宿る。狂夜は凶暴な笑みの裏で思う。アルルは余裕を含ませた笑みで狂夜に宣言する。

 

「火撥狂夜、だっけ? 噂以上だね。でも、もう勝ち目はないよ」

 

「悪いが俺も負ける訳には行かない。勝って、そしてこの戦場を任せてくれた天之に勝利報告をするんだ……!」

 

「ッ!」

 

 天之玄咲の名前が出た瞬間、アルルはなんか納得してしまった。そして、同時怒りに駆られた。

 

(B組纏めてこの男一人で十分かな……ってコト!? な、舐めてる……!) 

 

「――ぶっ倒す! 君も、彼も!」

 

「やってみろ! きついのは承知、だが俺にも負ける気は毛頭ない!」

 

 1人と1組が激突する。

 

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