カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
「ハァ、ハァ」
キララは荒い吐息を吐く。G組はE組の現在の人数差はほぼ互角。そこまで、持ち直した。ケミカル兵が奮闘してくれたお陰だ。現在は全員沈黙しているが。タイムリミットもあるが、キララの人を人とも思わぬ策の餌食になったせいでもあった。
そしてそのキララもまた、集中力の補充のため、ケミカルを自らに注射していた。他の生徒より上等な素材を使ったケミカルだ。
その成果は、リペアモードを使って尚、呼吸の乱れたコスモの姿だ。
「……やりますね。リペア・モードの効き目が、落ちてきました。治りきらない。魔法も万能ではないので」
「き、キヒヒ。キララちゃんはちゃんと強いの。分かった? 分かったよねー? ねええええええええええええ!!!?」
「あなたも、もう大分限界ですね。MPポーションも使い果たしてましたし――そっちの彼も」
「……いってぇ……」
さとしは左腕を骨折していた。何回か骨折したが、その度に回復魔法を使える青髪のギリ美少女に治療してもらっていたのだが、はぐれてしまった。なので、怪我しっ放しだ。
今、さとしとキララの傍にいる生徒はコスモだけだ。それだけ、双方数が減った。
「さとし、まだ、やれるよねぇ!? 一矢くらい、報いようか!? もう策なんかないないいらない! ありったけをぶつけようかあぁああああああああああああああ!」
「へ、へへへ、へっへへへへへ! そうだなぁ! やっぱり最後は俺らしく、メガ・ドリルだァ!」
「アイアン・モード!」
コスモはさとしのドリルをときめきパワーを消費して一瞬だけ硬化した黒い腕で受け止めた。そして、拳を振るう。
「あなたも、強かったですよ。人間とは思えない、硬さでした!」
ズドン!
さとしの額に拳が直撃する。リーゼントがかち割れて夜叉のような長髪になる。
しかし、倒れない。
「む!? こ、堪え、た……?」
「――隙ありだぜ。オラァ!」
さとしが額で受け止めたコスモの右腕の肘の内側にメガ・ドリルを叩きこんだ。
「ぐっ!?」
手応え、あり。骨が折れる感触。コスモの顔が歪む。
「この!」
「ぐはっ!」
再度逆の手で振るわれたコスモの拳に吹っ飛ばされたさとしのHPがとうとう0になる。気絶する。コスモが拳を引き終わらないタイミングで、キララが詠唱する。残りの魔力を使い切ってフュージョン・マジックを発動する。
「
(拳を引き戻す暇がない――! それにこの攻撃、あれを使うしかない――! 上等! 覚悟、完了です!)
「――パワー」
折れた右腕で、コスモは思い切り地面を叩く。
「ゲイザー! っ!!!?」
拳を起点に地面から立ち上った光の衝撃波がフュージョン・マジックごとキララを飲み込む。
「くっ……!」
だが、相殺し切らない――!
「……リペア・モード……」
フュージョン・マジックを相殺仕切れず、全身半麻痺状態で地面にぶっ倒れたコスモは何とか口だけ動かして魔法を発動する。青い光に体が包まれる。骨折した左腕がくっつく。麻痺も少し回復する。HPが5から20まで回復する。だが、それだけだ。未だ、重体。だが、コスモはもうリペア・モードを発動しない。
もう、そのときめきパワーが残っていない。
(コスモの超必殺技――パワー・ゲイザーで魔力が持っていかれましたね。もう少し、残すつもりだったのですが。しかし――)
パワー・ゲイザーの直撃を受けて遺体となったキララを見てコスモはようやく安堵の吐息を零す。
(ようやく、倒せましたか。強い、というか、厄介な敵でした。ずっと味方の陰に隠れて、指示を出して、間接的な攻撃しか行わず、コスモの対極みたいな存在でした。オリジナリティの危惧は杞憂でしたね。彼女はコスモとは異なる、立派な一つの人格でした。でも……そうですね。強かった。認めましょう。あなたもリーゼントの彼もまさしく強敵でした。そしてとても人間らしかった。心、輝いてましたね。おかげでコスモの体はもうボロボロ――ぐっ!)
コスモは立ち上がろうとしてバランスを崩し倒れる。脳裏に、キララから何度も受けた麻痺毒の魔法が過る。特に最後の魔法の影響が色濃い。加えて、
(ときめきパワーが、足りませんね。これじゃ、もう満足に戦闘も行えません。危機的、状況です。早く、味方と合流して、ときめきパワーを補充しなければ……)
……む)
「こっちだー! いたぞー!」
「あ! さとしとキララがやられてる! くそっ! マジかよ!」
「だけど、相手もボロボロだ! 勝てるぞ!」
G組の男子生徒が3人接近してくる。コスモはよろめき立ち上がり、ファイティングポーズを取る。
(おちおち寝てもいられませんか……)
そして、ボロボロになりながらも3人を迎撃した。ときめきパワーは残り少ない。