カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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26話納得のいく話に仕上がったので投稿し直しています。内容は活動報告に上げてる没話とほぼ同一のもの。これが最終稿。この1週間、作者の都合で本当色々振り回してしまい、本っ当に申し訳ありませんでした<(_ _)>


第30話 狂夜 VS B組 2 ―ムーンライト伝説―

「アイアムスーパーマァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!」 

 

「ははは! 最高だね君! こっちのテンションまで上がってきたよ! BGMの才能あるよ!」

 

「ほざけぇえええええええええええええええええええええええええ! 俺はいつだって主役! いつかエルヴィスをも超える超superstarになる男だ!」

 

「へぇ? やっぱエルヴィ()()()()()()? でも猿真似じゃ無理だよ超え()()()!」

 

 アルルが緩く韻を踏んでヒプノシス・マジックを発動する。だが、状況にそぐった芯を喰ったDisがそれなりの威力を生む。

 

「ぐぅぅううう! サウンド・バリア!」

 

 狂夜が超音波防壁を張ったアルルへの攻撃を中断し、防御魔法を発動する。円形状のバリアがアルルの攻撃を防ぐ。バリアが破れ狂夜が吹き飛ぶ。着地を刈ろうと、宙を飛ぶ狂夜に魔法が殺到する。狂夜は着地する寸前、己のAD――地獄遊戯ラヴィ―ロックを地面にたたきつけた。

 

「サウンド・バズーカ!」

 

 放射状に放たれた無形の攻撃が全ての攻撃を掻き消す。攻撃による防御。さらに減衰された威力の衝撃波が何人かの生徒に直撃する。だが、HPを0にするには及ばない。狂夜が舌打ちする。

 

「Noiseに等しいパーカッション(打楽器)。それじゃなれないヴァンガード(先駆者)!」

 

「ッ!」

 

 再び狂夜にヒプノシス・マジックの衝撃波が襲い掛かる――。

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……」

 

「流石に一人は舐め過ぎだって。これで分かったでしょ?」

 

 息を切らす狂夜にアルルは宣告する。

 

「君の攻撃力は凄い。家柄でね、今まで色んな魔府士を見てきたけど、君以上の素質を持った人は世界を見渡してもそういないよ。それに素早さも。点の攻撃は全然当たらない。バッタみたいにピョンピョン跳ね回ってさ。でもさ……」

 

 20メートルの距離でマイクと、事実を突きつける。

 

「防御力、低すぎ。面の攻撃に切り替えたとたん、防御魔法を使う頻度が増えたね。でも、この人数差で後手に回ったらすり潰されるだけだよ。今の君の姿がそれを証明してる。もう挽回の目はない。この状況、チェスで言えばツークツワンクって奴だよ。ん? この表現前も使ったな……」

 

「ハァ、ハァ、ク、クク」

 

 狂夜は笑う。その意気は全く衰えていない。その赤い眼で真っすぐアルルを見る。

 

「俺はお前にだけは負ける訳には行かんのだ」

 

「? なんで? 僕、君と何か因縁あったっけ?」

 

 

 

「俺は、金持ちが嫌いなんだ」

 

 

 

「……」

 

 浅薄で卑しい理由。人によってはそう感じるだろうなとアルルは思った。

 

「……そっか」

 

 だが、アルルは、優しく笑った。

 

「僕は君のこと、嫌いじゃないけどね」

 

「ふん」

 

 狂夜は鼻を鳴らして応じて、血まみれの体でギターをアルルに向ける。

 

「俺もお前の人格は嫌いではない。全然な」

 

「……」

 

 アルルは、ニコリと笑った。狂夜が一瞬見惚れるほどの美しい笑みを。

 

「……そっか。OK。君も、結構いい男だね」

 

「……ふん。まぁな。伊達にMCムーンライト・セレナーデを名乗っていない」

 

「ッ! ……思い出した! ムーンライト・セレナーデ! 超絶技巧で知られるメイクギタリスト! そうか、君が……!」

 

「ああ。そして、これからはMCムーンライト・セレナーデのステージだ」

 

「? どういう意――」

 

 

 

「月を見たら俺を思い出せ」

 

 

 

 狂夜がギターを左腕に垂れ下げ、右手で頭上に輝く月を指さす。

 

 そしてその月を、瞳に入れた。

 

「く、くく、くくくくく……」

 

 狂夜の体は変身する。犬歯が尖る。爪が伸びる。筋肉が引き締まったまま盛り上がる。骨格が、一回り大きくなる。そして――。

 

 

 

「――オンステージだッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 その身に纏う魔力が、爆発的に増大した。視覚化できるほどに。もはや、1年生のレベルではない。

 

(これは、まるで、サンダージョー。いや、流石に彼ほどではない。でも、このまま成長していけば、限定的な状況下なら、もしかしたら――!)

 

 

 

 

「! キャー! MCムーンライト・セレナーデの変身よー! キャー! 偶然立ち会えるなんて感激―!」

 

 

 

 

 E組との戦闘中はぐれて森を彷徨い歩くうちにB組方面まで辿り着いたMCムーンライト・セレナーデファンクラブ会員第一号の月夜澄子が感極まって叫ぶ。B組の面々はちらっと一瞬だけ視線を向けて澄子を無視する。そして狂夜は。

 

 精悍さを増した端正な顔に、一瞬笑顔を浮かべる。

 

「はきゅん!」

 

 澄子が気絶する。残り9%のHPが0になる。誰も、気にしない。

 

 狂夜の存在感に圧倒されて、それどころではない。

 

 

「う、うわぁああああああああああああああああああああああああああああ!」

「あっ! 馬鹿!」

 

 狂夜のプレッシャーに耐えられなくなった生徒の一人が狂夜に突進する。その手に持つ蛇をかたどった鞭をふりかざす。

 

「フュージョン・マジック! 蛇崩伸貶(バイパー・ウィップ)!」

 

 

 

 

 

 

「――――サウンド・バズーカ!」

 

 

 

 

 

 

「――化け物じゃん」

 

 ――一撃で、狂夜の半径30メートル以内にいた生徒が、アルルと畑耕士以外、全員やられた。狂夜に突進した生徒は死んだ。アルルの超音防波壁も壊れている。アルルの表情が苦り切る。

 

(ウェアウルフ、ね。まさか月下でそんなレア種族と当たるなんてね……! つか学園長、D組の鳥人といい、絶対意図してこの時間帯、環境に設定したでしょ! ヤバい。普通に殺したい……!)

 

「――三日月、30%か。まぁ、十分だろう――さぁ」

 

 ――月を宿した瞳から黄色の光を放ち、狂夜は不敵に笑う。

 

「MCムーンライト・セレナ―デの野外ライブだ。楽しんでいけ」

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