カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第31話 狂夜 VS B組 3 ―16小節―

 ウェアウルフ。

 

 月をその目に捉えることで強化形態へと変身する種族。平均的に攻撃力と素早さが高い。変身はノーデメリットではなく、次の日激しい筋肉痛に襲われる。月狼族と呼ばれる魔物の性質を受け継いだ、レアな種族だ。

 

 絶対に月の下で戦うなと言われる種族でもある。

 

 

 

 

 

 

「お前らの声援(悲鳴)が俺に力をくれるぅううううううううううううううううう!」

 

「ぐっ、ぐぐっ……!」

 

「俺が月光蝶になるまであと何分かなぁあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「だっぺーーーーーーーーーーー!」

 

「かっぺくん!」

 

 狂夜の攻撃をよくいなして防いでくれていた畑耕士のHPがとうとう0になる。B組の防御の要の離脱。アルルは即座に叫んだ。

 

「みんな私の後ろに! そして防御魔法を前方に一転集中!」

 

「――サウンド・バズーカ!」

 

 当初の40%まで減ったB組の生徒たちがアルルの超音防波壁に防御魔法を重ねる。一瞬でパリンパリンと貫かれる。しかし何重にも展開された防御魔法はアルルの超音防波壁で防げるまでサウンド・バズーカの威力を減衰させた。罅割れた超音防波壁の中で、アルルは呼気荒げ汗を滲ませて狂夜を睨む。

 

「アアーオ!」

 

 ギャン!

 

 黄色い眼を爛々と輝かせる狂夜がギターを搔き鳴らしつつ、犬歯を剥いた。

 

「――もうすぐ、16ビートだ」

 

「ッ!」

 

 ヴァイオレット・ビートは特殊なカードだ。ランク4。闇&炎属性。ロック魔法。効果は魔力と身体能力の上昇。ヴァイオレット・ビート、4ビート、8ビート、16ビートの3枚組で構成され、一定時間の演奏後、上位カードの発動が可能になる。そして、奏でるべきビートのリズム速まる。高難易度になる。そして16ビートに至った場合のバフ効率はランクからしたら破格。そして何より――。

 

怨響紫炎狂鳴波(ヴァイオレット・ハウリング)で壊滅させてやる」

 

 フュージョン・マジックが解禁される。3枚のヴァイオレット・ビートを素体とするフュージョン・マジック。16ビート時のみ発動可能で、発動後はまた4ビートから16ビートまであげなければならない。厳しい発動条件とリスクが課されているだけあってその威力は圧倒的。それを、化け物じみた攻性魔力を持つ狂夜が放つ。

 

 それはB組の敗北とほぼイコールだ。

 

「か、開幕のあれを、強化状態のあいつが打つのかよ!」

「無理無理、死んじゃう!」

「化け物だよ! なんだよあいつは! なんでリーダーじゃないんだよ! G組だけ生徒の質が狂ってるぞ!」

 

 アルルと同じ結論にたどり着いた生徒たちが騒ぐ。アルルはその生徒たちの様子も考慮して、冷静に判断した。

 

(……残された手は一つしかないね)

 

「みんな。僕にありったけのバフを。16小節で僕が迎え撃つ。その後は死にもの狂いで時間を稼いで」

 

 B組全員に、言霊を宿した言葉で、宣言する。B組が落ち着きを取り戻す。

 

「……確かに、アルル様の16小節なら、いけるかも」

「これだけの人数がいるんだもの。バフをかければいけるわ!」

「そうだ! アルル様だって化け物なんだ! 俺の代わりにあいつをやっつけてくれるぜ!」

「OK。騒がなくていいからなるはやで」

 

 本当に時間がないのでアルルは焦って言った。

 

「ああ!」

「任せて!」

「頼んだぜ!」

 

 B組全員のバフがアルルに集中する。アルルが七色の魔力の輝きをその身に宿す。さらにMPポーションを呷りMPを全回復させてから、罅の入った超音防波壁を強化された魔力で張り直す。

 

「超音防波壁――スゥ」

 

 そして、バースを吐き出す。

 

 

 生き死に賭ける

 リリック並べる

 醜い羅列

 でも必死なラベル

 

 

 ――B組の仲間が次々蹴散らされていく。自力に差がある。当たり前の帰結。

 

 

 怯え震えさざめく喚く

 意地も勇気も尽き果てかける

 その果てに残った言葉で

 作る絆のJewel Cartel!

 

 

 あっという間に方位を突き破る。狂夜がサウンド・バーストを発動する。アルルの超音防波壁が軋む。だが、緊張ゆえにたどたどしかったアルルのバースが、大好きな韻を踏んでいる内に、得意の横文字フロウを取り戻してゆく。その顔に笑顔を浮かべる。

 

 

 Carten CallさFuckin Dog!

 醜い羅列? 大いに結構!

 This is my True Soul! Now!

 Master PieceにR・I・P!

 

 

 

 

「ヴァイオレット・ビート、16ビート!」

 

 狂夜がヴァイオレット・ビート16ビートをの詠唱を終える。そして、ADを振りかぶる。

 

 

 Climax コーデは剥き出しの魂!

 ぶつけ合おうか底なしのEnergy!

 

 

 超音防波壁がぶっ壊れる。剥き出しになった狂的な笑顔がぶつかり合う。狂夜が思いっきりADを振りかぶり、何の躊躇もせず振り下ろす。アルルが最後の2小節を唱え終える。

 

 

「フュージョン・マジック――怨響紫炎狂鳴波(ヴァイオレット・ハウリング)!」

 

 

 

「これが最後のHIPNOSIS MAGIC!!!

 FOREVER MYSOUL IN THE RYME MUSIC!!!!!」

 

 

 

 虹色の衝撃波と紫炎の衝撃波が衝突する。極大の爆発が天を衝く――!

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