カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第32話 シャルナ VS B組 1 ―フュージョン・マジック―

「……僕の、勝ちだよ」

 

 三日月を遮って頭上に立つ、SDの3%という数字を見せてくるアルルを見上げ、狂夜はふっと笑った。体が元に戻っていく。

 

「……ふ、ふふ。俺の負けか。抗魔力の差――俺の弱点で最後は競り負けたか。まぁいい。不思議と清々しい気分だ」

 

「僕も。人数差考えたら素直に喜べないけどね、それでも君との戦いは凄く熱くて、うん、清々しい気分」

 

「そうか……ぐっ!」

 

 狂夜の体がぴきーんと引きつる。アルルが心配げに声をかける。

 

「ウェアウルフの副作用の筋肉痛? 大丈夫?」

 

「だ、大丈夫じゃない。死ぬほど、痛い。だから、使いたく、なかったん――だ」

 

 バタ。

 

 狂夜は気絶した。クールな外見のわりにちょこちょこ3枚目が混じる狂夜の無様な姿を見て、アルルはつい、可愛いと思ってしまい――。

 

「くす」

 

 微笑んで、頭を撫でた。そして立ち上がり。

 

 森の一角に、声をかけた。

 

 

「出てきなよ。シャルナちゃん」

 

「……」

 

 シャルナが木陰から姿を現す。

 

 

 

 

 

 

 

「ホワイト・ハイヒール!」

 

 クラスメイトから回復魔法を受けながら、アルルはシャルナに尋ねる。

 

「なんで加勢しなかったの?」

 

「絶対巻き添え、喰らうから。あと、あの人が切れる、から」

 

「ああ。なるほど。彼、味方も敵も関係ないってタイプだもんね」

 

「って、玄咲が、言ってたから」

 

「……」

 

 アルルは少し引っ掛かりを覚えるも、言い回しの問題かと深くは突っ込まない。

 

「OK。理解。それで、今回復魔法受けてる僕を放置してる理由は?」

 

「……対等な条件でね、戦う」

 

「……優しいんだね。でも、甘いよ。僕なら今すぐ攻撃をしかける。どんな状況・手段を取ろうともね、プライドや罪悪感に駆られてもね、敗北だけは駄目なんだよ。それが戦いなんだ。敗北が許されない。そんな立場でずっと戦い続けてるママから教わったことだよ。余計なお世話かもしれないけど忠告。もっとシビアに判断した方がいい」

 

「……かもね。でも、私にも、考えがある」

 

「考え?」

 

 シャルナは決意を込めた瞳でアルルを見る。

 

「レベルって、勝利の実感が大きいほど、上がりやすいでしょ?」

 

「うん。そうだね――そういうこと?」

 

「うん」

 

 コクリ。

 

「万全のアルルちゃんを倒して、強くなる。未来のための糧にする。私は、強くならなくちゃ、いけないの」

 

 絶対の意志を込めて、シャルナは言い切った。アルルが楽し気に笑う。

 

「――上等。覚悟決まってるね。強い眼だよ。シャルナちゃん、いいね。痺れる」

 

「ありがと」

 

「そろそろ始めようか。無駄口は好みじゃない。あとは殴り合う言葉だけあればいい」

 

 回復魔法でHPを100まで戻したアルルがシャルナにマイクを向ける。シャルナはエンジェリック・ダガーを手の中で1回転させてから、アルルに向けた。

 

「うん。そうだね。やろうか」

 

「……最後に、今更だけどさ、シャルナちゃん。一人でやるつもり? 1対1でみたいなナイーブな遠慮私はしないけど」

 

「うん」

 

 シャルナは気負わずフラットに言い切る。

 

「一人でも、勝つよ。流石に、B組全員、ってのはきついけどね」

 

 シャルナがB組全員を見渡して、ADを握り締める。

 

「これだけ、削ってもらえば、あとは私一人で、やれる]

 

「――ふ、ふふ」

 

 アルルは獰猛な笑みを浮かべて、ADを構える。

 

「OK! 叩き潰す! 君も、君の彼も、狂夜くんも、とことん僕を舐めてかかるよね! それだけはね! 正直、ずっと、ムカついてる! さぁ、本当に始めようか! みんな、戦闘準備!」

 

 狂夜との戦いを経てノリにノったアルルと、激闘を経て覚悟の決まったB組が臨戦態勢を整える。全員、狂夜との戦いを経て、心身ともに一回り強くなっている。

 

「ブラック・フェザー」

 

 シャルナもまた己の生命線たるカード魔法を発動する。飛行と超速戦闘を可能とする黒翼が背中から生える。

 

「フュージョン・マジック――」

 

 そしてさらに、フュージョン・マジックを重ねがける。

 

白夜幻創天照白刃(ダークネス・エルフィン)

 

 エンジェリック・ダガーが白い闇を噴き上げる。黒翼が禍々しい形に変じていく。

 

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