カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第50話 最後に残ったのは

【リーダーが残り一人になりましたので、只今を持ちましてイベントを終了いたします。皆様お疲れさまでした。イベント結果の詳細は後日報告します。優勝はG組です。おめでとうございます。イベント終了後は各自解散。各所に教員による治療スペースを配置する他、教員が各生徒の見回りに行きます。動ける生徒は治療スペースへ、動けない生徒はそのままお待ちください。死者は全員回収後、学園長による蘇生を行います。繰り返します。只今を持ちましてイベントを終了いたします――】

 

 ――スピーカーから音が鳴る。イベントは終わった。後は教員が手を焼いてくれるらしい。玄咲は張りつめていた気をようやく緩め、深く深く、息を吐いた。一気に脱力し、思わず地面に尻をつく。シャルナがその傍にぱたぱた駆け寄り、己もまたその隣にぺたんと尻を下ろす。

 

「――玄咲、やったね」

 

「ああ。やったな。勝った。取り合えずこれで、1年の中では最強って言っていいんじゃないのか」

 

「そだね。今は、そういう気分に、浸ろっか」

 

「うん。でも、みんな強かったなぁ……」

 

 最後の最後までイベントを生き残ったただ2人――玄咲とシャルナは地面に隣合って座り、空を見上げる。綺麗な星が、いつの間にかたくさん生まれていた。

 

「……ああ、これで本当に終わりだ。長かったなぁ。大変だったなぁ。疲れたなぁ……」

 

「うん……滅茶苦茶、疲れたね。もう、死にそ」

 

「確かに死にそうだ。でも――やったな」

 

「うん、やった。気持ちいい、ね……」

 

「ああ。シャル。これで終わりだ。……流石に、疲れたな」

 

「うん。疲れたね」

 

 玄咲はその場に寝転んだ。シャルナも当然のように寝転ぶ。達成感と心地よい疲労が全身を満たしている。2人で手を繋いで星に満ちた夜空を見上げる。一生忘れない星空だろうなと二人は思った。

 

「今日、この瞬間を、俺は一生忘れないよ」

 

「私も。絶対、永遠に、忘れない」

 

「うん……本当、疲れたな。もう、このまま、寝ようか」

 

「そだね。玄咲」

 

 シャルナが寝返りを打つ。そして身をギュッと寄せてくる。

 

「お休み」

 

「うん。お休み」

 

 意識がすぐに遠のく。このイベントはいろいろあり過ぎた。カミナ。クゥ。コスモ。リュート。全員と、心身を削る戦いを繰り広げた。ゲーム換算でEP消費1とはいえ精霊を2回も召喚した。人生の中でもトップクラスの眠気が玄咲を襲っていた。

 

「くー、くー……」

 

 シャルナはもう寝た。とても心安らぐ寝息。その後を追って玄咲も眠りの世界に落ちかける。その寸前、シャルナの愛しい顔が目の前にあって。

 

「シャル……」

 

 玄咲はシャルナを自分の意志で抱き締めた。宝物を抱くように己の胸に掻き抱く。シャルナもまた寝たまま抱き締め返してくる。同等以上の強さで、ギュッと。

 

「もう……いつも……抱き締め返して……くるね……」

 

 もう意識が不明瞭で言葉も聞き取れない。ただ忘我の中で幸せだけを感じながら眠りにつく。

 

 やがて小さな二つの寝息が夜天の下に生まれた。

 

 

 

 

 

 シャルナと重なり眠る玄咲の手首でSDが淡い光を放つ。そこには青い光でこう書かれていた。

 

【イベントシュウリョウ。コジンMVPオメデトウ!】

 

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