カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第3話 ダンジョン・サバイヴァーズ

 ラグナロク学園別棟。

 

 1階。教室を幾つかぶち抜いて作ったような巨大な部屋の前に人だかりが出来ている。活気があった。

 

「ダンジョン・ハンターズはこちらでーす!」

 

「おい、あそこだ。行こうぜ」

 

「ええ。鉄板ルートだもの。間違いないわ」

 

 1年生2人が人だかりに混ざる。人だかりの中にはアカネとリュートもいる。玄咲は喧騒を後目に校舎入り口近くの登り階段を上った。シャルナは一度ダンジョン・ハンターズの喧騒を名残惜し気に見た後、玄咲に続く。

 

 

 

 玄咲はひたすら階段を上る。4階、5階。シャルナが遠慮がちに尋ねる。

 

「ねぇ、玄咲。やっぱり、無難に、あっちでも、いいんじゃ」

 

「……シャル」

 

 玄咲はシャルナの説得にかかる。

 

「ダンジョン・ハンターズは大所帯だ。そんな所で俺とシャルナが上手くやっていけると思うか」

 

「うっ」

 

 シャルナは30%説得された。

 

「総部員数500人超え。ラグナロク学園最大の、学園公認の半システム化したパーティー組合。それ故規則は厳しい。強制的に能力相性のいい者同士でパーティーを組まされることもある。シャルナが他の男――いや、俺達は複雑な立場だからな。性格相性の悪い生徒と組まされたりしたら少々面倒だ。だからダンジョン・ハンターズはない」

 

「……うん」

 

 シャルナはさらに30%説得された。

 

「その点ダンジョン・サバイヴァーズは部員数2人。リーダーとサブリーダーしかいない。2人きりだ。前述の問題はこの時点ですでにクリアしている」

 

「2人、きり……」

 

 シャルナはさらに40%説得された。合計100%説得された。

 

「ああ。2人きりだ。何より、ダンジョン・ハンターズから独立してダンジョン・サバイヴァーズを立ち上げた真央先輩は学園随一のダンジョン探索技能の持ち主。そんな相手から少人数ゆえ集中して指導を受けられる。いいこと尽くめだ。シャル。ダンジョン・サバイヴァーズに入ろう」

 

 シャルナはさらに20%説得された。オーバーキル。120%説得されたシャルナは即答で頷いた。

 

「うん。ダンジョン・サバイヴァーズ、入る」

 

 シャルナはチョロかった。

 

 

 

 

「真央、また入部断ったんですね……」

 

 ダンジョン・サバイヴァーズ。

 

 ラグナロク学園別棟の隅っこの狭い一室。中央を占拠する長方形の木製テーブルに2人の生徒が着席している。

 

 一人は黒沢真央(くろさわまお)。肩口をショートカットの黒髮が撫でるしなやかな体躯の女生徒だ。体型の割に胸は大きく、制服を内から丸く盛り上げている。活力のある表情は人を引き付ける魅力に満ちている。そして何より、髪の内から人ならざる耳が2対生えている。ダンジョン・サバイヴァーズの部長だ。

 

 もう一人は灰丸心亜(はいまるここあ)。灰色のやや長めの髪で左目を覆い隠したやや内気な雰囲気の漂う女生徒だ。だが美少女。真央とは系統の違うタイプ。性格も。だが、2人は不思議と気が合った。足りないものを補い合っているのかもしれなかった。心亜は胸の前で指を重ね合わせ部長――黒沢真央に呆れ気味の視線を向けた。

 

「うーん、にゃんていうかな。しっくりこないんだよねー。楽しい空間で、一緒にいて楽しい人と私は探索したいの」

 

「わがままですねー。流石真央です」

 

「私はぴんと来る人しか取らにゃいよー……。朝声かけた子が誰か来てくれるといいんだけど――おっ。また誰か来た」

 

 部室の前に辿り着いた足音を聞きつけ真央は姿勢を正した。頭の後ろに組んでいた手を膝に置き、まじめな表情を作る。仮にも部長。気まぐれで有名な猫人の亜人といえど、それくらいの隠蔽工作(分別)はつけられた。

 

 副部長の心亜と共に心臓をドキドキさせながら向ける視線の先、扉が開いた。

 

 ガチャ。

 

「失礼しま」

 

「来たーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 

 真央は立ち上がり朝一目で気に入った目つきの悪い男と全身白ずくめの少女に勢い指を突き付けてそう宣言した。この2人は絶対面白い。真央の直観がそう叫んでいた。

 

 2人は目を開け口開きポカンと真央を見返していた。Uターンしようとした少女を男の方が慌てて引き留める。心亜が真央の横で眉間に指付きため息を吐いた。

 

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