カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第5話 学園ギルド

 学園迷宮ヴィズラビリンスは学園の地下深くに広がる学園管理のダンジョンだ。

 

 危険性や施設整備の観点から本校舎ではなく、ダンジョン棟と呼ばれる別棟の地下にダンジョンはある。最初からそこにあったダンジョンの上に校舎を建てたのだ。学園長が最深階のダンジョン主に直々にお願いをしているのでダンジョン内の管理は万全。不測の事態は起こらない安心安全なダンジョンが実現している。死傷事故などの不足に入らない事態は普通に起こるが。

 

 ダンジョン棟内部。

 

 真央を戦闘に地下階段を下っていると、その後ろの灰丸心亜が玄咲とシャルナを振り返って、

 

「ここ、授業で行きましたか?」

 

「はい」

 

「なら細かい説明は省いて必要ありませんね?」

 

 灰丸心亜の確認に玄咲とシャルナは頷く。先頭の真央が下り階段の突き当りの鉄扉のドアノブに手をかけ、3人を振り返る。

 

「この奥が学園ギルド。っても知ってるか」

 

 そして扉を開けた。

 

 ガチャリ。

 

 照明具の光が内側から溢れ出た。

 

 

 

 

 

 学園ギルド。

 

 ダンジョン1階入り口付近の壁を学園長自らぶち抜き拡張工事した巨大空間だ。多くの生徒が利用するため巨大化した。入り口付近は一辺100メートル程の正方形空間。だが、本当に巨大なのは隣室のモンスター倉庫で、1キロ四方の空間が広がっている。通常の冒険者ギルドとはかけ離れた巨大ギルドだ。

 

 新入生がうようよしている。人の狭間を縫って歩きながら心亜が二人に語る。

 

「ついでだから復習しましょう。施設の扱い方をざっくりとでいいので諳んじてください」

 

「あ、はい。ダンジョン潜入予定時刻の登録。ダンジョンカードの貸し出し。討伐モンスター素材の預かり。それに応じた報酬の分配。転移魔法陣の使用……ざっと思いつくのはそれくらいでしょうか」

 

「うん。十分。ダンジョンカフェの利用なんかもできるけど……どうでもいいですね」

 

 ダンジョンカフェは受付横の木製のバーのような飲食店。酒は頼めないがミルクやサンドイッチは頼める。ダンジョン由来の食材を多用したランチも提供している。ダンジョン帰りの客や、潜入前の会議に使われる場所だ。100席以上席がある。カフェと名乗りながら実態はほとんど巨大飲食店だ。

 

「どうでもよくないよー。私心亜とダンジョン帰りにカフェでホットミルク飲みながら反省会するの大好きだしー」

 

「訂正します。カフェは超重要施設です。超、超、超重要です」

 

「はい」

 

「そうですね」

 

 玄咲とシャルナも真央と心亜のキャラを把握し始めていた。コミュ力の高い自由奔放な気分屋とやや百合っ気のある真面目っ子だ。加えて言えばゲーム知識が確かならば真央は心亜の感情をただの友情だと勘違いしている。そして気づくこともない。

 

(……尊い)

 

「それじゃ、受付ちゃちゃっとしちゃおっか」

 

 4人は受付へと向かう。

 

 

 

 

 

 学園ギルドの入り口横に建設された長方形の施設。

 

 ギルドハウス。

 

 木製の扉を開け通ると正面進んだ先に受付カウンター。4人並ぶギルド嬢の一人に真央が近づく。

 

「ようこそ学園ギルドへ」

 

 青と白を基調とした清潔感のある制服に身を包んだギルド嬢がニコッと笑う。胸の名札には宇佐美と書いてある。真央は慣れた様子で応対する。

 

「4人。3時間。11階までで」

 

「かしこまりました。4人。3時間。11階までですね」

 

 ギルド嬢がアイパッドのようなリードデバイスに情報を記入していく。

 

「それでは生徒カードの挿入をお願いします」

 

 真央、心亜、玄咲、シャルナの順に生徒カードを挿入する。受付嬢が解説する。

 

「これで情報のリンクが完了しました。規定時間が過ぎても帰還しなかった場合はSTでSDの現在地を調べ、教員が直交することになっています。死体となっていた場合は死体を回収します。くれぐれも魔物に死体を跡形もなく食べられる、ということがないように気を付けてくださいね」

 

 真面目な忠告だ。蘇生は死体がないとできない。

 

(ゲームでもマンイーターを筆頭とするイーター系の敵に敗北すると蘇生叶わずゲームオーバーとなったっけ。大抵の場合倒された時点でリセットするからゲームでは大したデメリットではなかったが当たり前だが現実じゃ大問題だよな)

 

「特にイーター系の大口の魔物には気を付けてください。雑魚ですが人を食います」

 

「……」

 

 シャルナが無言で身震いする。

 

「3時間後までに帰還をお願いします。これはダンジョンカードです」

 

 受付嬢は今度は8枚のカードをカウンターに置いた。

 

「ダンジョンカードです。異界たるダンジョンは通常の100倍の魔力に満ちています。ダンジョンカードはそのダンジョン内でのみ使える特殊な高出力カードです。こちらがストレージカード。1km四方の次元貯蔵庫を内蔵したカードです。非生物にかざして対象を収納するイメージを持ちながらインベントリと唱えると発動します。出すときはリジェクト+名前。オールリジェクトで全排出です。こちらがエスケープカード。リターン・エスケープの掛け声で入り口に転移します。1人1枚ずつお渡しします。ダンジョン探索の生命性となるカードなので絶対なくさないようにしてくださいね」

 

 2枚1組ずつ4人はカードケースにカードを仕舞った。

 

「以上です。では、入り口、あるいは10階層毎の転移ゲートからダンジョンに潜入してください。転移ゲートはあちらの部屋にあります。ワープゲート、ジェネレートの掛け声で転移ゲートが起動します」

 

 11から21、31と91までの数字が書かれた扉がある。数字が転移先。ボス部屋の次の階層だ。そこにも転移魔法陣がある。ボス部屋を攻略してその次の階の魔法陣から一度帰還しないと転移ゲートは解放されない。転移ゲートは学園ではなくダンジョンマスターが用意したものだ。そういうルールになっているらしい。

 

「んー、今日は久しぶりに入り口から行こうかにゃ。新入生もいるし、今日は様子見! 来て!」

 

 4人はダンジョンの入り口に向かう。入り口は扉になっていた。真央が手をかける。

 

「そいじゃま、行こうか。1層なんて散歩みたいなものだから心配しなくていいよー」

 

 2人のダンジョン探索が開始する。

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