カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第7話 ボス

 第7階。

 

 ダンジョン内の小部屋に宝箱を発見した。

 

「あ、宝箱だ。空けよ」

 

 パカリ。

 

【ランク2 インダスト・メモリー】

 

「ゴミ、上げる」

 

「あ、はい……」

 

 玄咲はゴミを受け取った。1層程度の宝箱に価値のあるものなど滅多に入っていないらしい。

 

 

 

 

 

 第9層

 

「あ、ゲンサック」

 

「クゥ! に、コスモ!?」

 

「ぶいっ、ぶいっ!」

 

 9層にてクゥとコスモの2人タッグと玄咲たちは出会った。玄咲は二人を指さして尋ねる。

 

「??? なんで、2人が一緒にいるんだ?」

 

「なんか、気が合って。コスモちゃんとは友達だし。それに私は遠距離特化で」

 

「近づく敵は全てぶっ飛ばします」

 

「コスモちゃんはこの通りゴリゴリの脳筋――近接型だから能力相性もいいでしょ? だから、一緒に潜ってる」

 

「なるほど。確かに相性はいいものな」

 

 ゲームでも2人同一パーティに組んだ時の相性はシンプルながら強力だった。クゥが真央と心亜を見て鋭く瞳を尖らせる。

 

「ゲンサックはまた新しい女の子と一緒にいるんだね」

 

「……偶然だ」

 

「はいはい。そういうことにしといてあげる。じゃね、ゲンサック」

 

「コスモと一緒に行きましょう」

 

「はいはい」

 

「おお。意外と力強い」

 

 クゥに引っ張られてコスモが退場する。真央がジト目を作る。

 

「……君、もしかしてそういう目的」

 

「違います」

 

「本当に?」

 

 シャルナの援護射撃。矛先は玄咲。

 

「……本当、は、ちょっと真央先輩に会うのを楽しみにしていた……」

 

 三者沈黙。最初に口を開いたのは真央だった。

 

「……ま、まぁ私は美人だからね。にゃはは! じゃ、先急ごうか! 学園生活を無駄にするのは勿体ないからね」

 

 真央が明るく笑いダンジョン探索を再開する。それだけで気まずい雰囲気が吹き飛ぶ。流石部長、と玄咲は真央への尊敬の念を改めた。

 

 

 

 

 学園迷宮ヴィズラビリンス。

 

 第1フロア第10階層。

 

 ボス部屋の巨大な扉前。

 

「言い忘れてたけど1年生二人で戦ってもらうから」

 

「え」

 

 初耳だった。

 

「大丈夫大丈夫。君たちなら余裕余裕。じゃ、行ってらっしゃい~」

 

「はぁ……」

 

「聞いて、ないね」

 

「真央先輩は気まぐれだから」

 

「ボス部屋、オープン! さ、レッツゴー!」

 

 真央がボス部屋の扉を開き2人の背中を押した。

 

 

 

 

「フシュゥウウウウウウウ……」

 

 半径100メートルにも及ぶ巨大な空間は土の床と岩の壁で構成された闘技場のようだった。

 

 対戦相手はデスケルベロス。3つ首の4足獣だ。成人男性より巨大な体躯は50メートル離れた玄咲視点からでも威圧感を生んだ。牙と爪は鋭く尖っている。

 

「気を付けてねー! 魔力体で出来てる魔獣の攻撃は抗魔力である程度減衰できるけど普通に痛いからね―! あとフュージョン・マジックは使用禁止ねー! 楽勝になり過ぎちゃうからー!」

 

 真央が閉じたボス部屋の扉にもたれかかりながら激励を送る。玄咲はシュヴァルツ・ブリンガーを握った右手を上げて答えた。

 

「大した敵じゃないのですぐ屠ります」

 

「――玄咲が、そういうなら、大丈夫、だね」

 

「ああ。行くぞシャル」

 

「うん。行こ」

 

「グガァアアアアアア!」

 

 ケルベロスが吠える。玄咲とシャルナは同時に駆け出した。

 

 

「ブラック・フェザー」

 

 シャルナはブラック・フェザーをここまで使ってこなかった。常時発動型で魔力消費が少々嵩むため、あと使う程の危機が訪れなかったため、探索中一度も使わなかったのだ。シャルナがその真価を真央たちの前で今日初めて発揮する。

 

 ケルベロスの数倍の速度で飛翔したシャルナが一瞬でデスケルベロスの頭上を取る。

 

「……え?」

 

「は、早っ――」

 

 2人が驚いている間にも戦闘は続く。

 

「ダーク・エッジ」

 

 シャルナがケルベロスの首を一つ落とす。絶叫。怒りに駆られた残り2つの頭部がシャルナを噛み殺そうと振り返りかけ、その途中でさらに首が一つ落ちる。残る一つの首がシャルナに噛み付こうろするが、

 

「ダーク・エッジ」

 

 シャルナが再度エンジェリック・ダガ―を翻す。デスケルベロスの最期の首が跳ね飛んだ。

 

 戦闘は終わった。

 

「あれ、威力高過ぎない?」

 

「クリティカルですね。あの黒い閃き、間違いないです。……道中も、やたら連発してましたが、狙って出せるのでしょうか」

 

「っぽいねー……うん。戦闘センスの塊だね二人とも。こりゃ本当に教わる側かもなー」

 

 ブラック・フェザーを解除し、デスケルベロスの死体をエンジェリックダガーの矛先でツンツンしているシャルナに玄咲は歩み寄る。

 

「シャルナ一人で十分だったな」

 

「玄咲がいるから、安心して、戦えるの」

 

 そう言ってシャルナは微笑む。玄咲はシャルナの成長を喜んだ。

 

 

 

 

「お疲れー。凄かったよ。君たち、本当強いね」

 

「ありがとうございます」

 

「こっちこそ入部してくれてありがとう。君たちみたいな有望な新人が入ってくれて嬉しいよ。それじゃ忘れないうちにダンジョンカードで死体回収しようか」

 

「はい。えっと、ダンジョンカードを取り出して――」

 

 玄咲はデスケルベロスの死体に近づき、ダンジョンカードをかざして詠唱した。

 

「インベントリ」

 

 ギュオン。

 

 カードに死体が吸い込まれた。

 

(……ゲームでも散々ご都合主義と突っ込まれた設定。現実化してもご都合主義にしか見えないな……。一応ダンジョン内は通常の100倍の魔力に満ちてるから外の世界じゃ使えないダンジョンカードが使えると説明づけられれてはいるが)

 

「OK。じゃ、変えろっか」

 

 ボス部屋の先の階段を4人は下る。

 

「ボス部屋を出てすぐの所に転移魔法陣があるんだよ。一度帰還したら次から学園ギルドからワープ出来る。今日はもう帰って次から11階層に潜ろうか」

 

 

 

 

「「あ」」

 

 ばったり。

 

「……やぁ」

 

「あ、ああ。久しぶり」

 

「こんにちは。アカネちゃん」

 

「うん。こんにちはシャルナちゃん」

 

 ボス部屋を出たところで玄咲とシャルナはリュートとアカネに遭遇した。そして真央と心亜は、

 

「ケビン……!」

 

「真央か。本当に自分でパーティーを作ったのか。ふん。くだらない遊びだな」

 

「遊びで結構。ダンジョン探索なんてのは遊びなんだよ。ふん!」

 

 ダンジョン・ハンターズのリーダー、ケビン・レイナードと向き合っていた。

 

(……ここで出会うか。予想外だな。ゲームとは違う状況。どうなることやら……)

 

 ゲーム同様、2人は何やら因縁を持っているらしかった。

 

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