カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第8話 勝負にゃ!

「真央。ダンジョン・ハンターズに戻ってくるんだ。僕が必ず君を輝かせる」

 

「大きなお世話だよ。もう私に関わらないでくれるかな。ケビン」

 

「それは無理だよ。僕は君が戻ってくるまで君の説得を続けるつもりだよ」

 

「気持ち悪いからやめてくれないかにゃー……本気で」

 

 ケビンは切なげに瞳を細めた。ケビンはアメリカンモデルのような金髪イケメンだ。たくましい顔と体をしている。ガチムチだ。だが、どこか少年のような憧憬をその顔に宿している。だから切なげな顔をすると耽美が宿る。だが、その耽美に感じ入る感性の持ち主は今この場に一人もいなかった。ダンジョン・ハンターズだったら男女問わず歓声が上がっていることだろう。

 

 ケビンが切ない顔のまま真央を見つめる。真央は嫌そうに顔を背けた。

 

「真央……どうしても戻ってくる気はないんだな」

 

「しつこいにゃー……私は私の作ったダンジョン・サバイヴァーズで楽しくやってるから戻ってくる気はないって」

 

「楽しくやるだけじゃ駄目だ。真央。苦しみから逃げる限り君に成長はないよ。僕はそんな君を見たくない。僕の指導の下もっと苦しむ君が見たいんだよ……そして、苦しみを乗り越えた先の景色を知って欲しいんだよォ……真央……」

 

 ケビンは胸に手を当てて今日一切ない表情で真央に訴えた。真央は鳥肌の立った両腕を抑えて玄咲の後ろに隠れた。頼られた玄咲の心臓が跳ねる。やる気を出す。

 

「新入生! ケビンを追い払うにゃ!」

 

「はい」

 

「玄咲?」

 

 玄咲は進み出てケビンと相対した。ケビンの表情から切なさが減る。

 

「僕は真央の今後に関わる大事な話をしている。下がり給え1年生」

 

「真央先輩は嫌がっている。下がるのはあなただ。ケビン・レイナード」

 

 玄咲は目にパワーを込めて威圧した。ケビンは表情から切なさを消した。

 

「……君、名前は」

 

「天之玄咲」

 

「そうか。君がか。……真央の指導はどうだい」

 

「最高です」

 

「もっと具体的に」

 

「しっくりきます」

 

「もっと具体的に」

 

「参考になります」

 

「……なるほど。言葉に出来ないほど稚拙だったのを何とか庇っている。そう言う訳か」

 

「違います」

 

「やはり真央に部長なんて務まるはずなかったんだ。真央。戻ってきなさい。君たちもだ。まとめて僕が面倒を見てあげよう。悪いようにはしないよ……彼女には指導の才能がないんだ」

 

「むっか〜〜〜〜!」

 

 ビキビキ!

 

 切れた真央が前に出た。

 

「やいケビン! 1年生は私の指導が完璧だったって言ってるだろ! 私は何だってやればできる子なんだよ! それをあんたに証明してやる!」

 

 真央がケビンに指を突きつける。

 

「1週間後、ダンジョンアタックで勝負だ! 1年生同士で競わせて勝ったほうが指導力が上! 自明の理だ!」

 

「ね、ダンジョンアタックって、何?」

 

「要するにただのタイムアタックだ」

 

「そっか」

 

 玄咲の返答にシャルナが微笑む。ケビンはため息をつき、緩く首を振って切ない顔で真央を諭す。

 

「……そういう所だ。1年生は私達の私闘の道具じゃない。そのような発言が出る時点で君は指導者の器じゃない」

 

「うっ!」

 

「いえ、やりましょう先輩」

 

 玄咲が張り切る。ゲーム通りの展開。ならば遂行しなければいけない。そういう考えが根底にある。まだちょっとゲーム知識に囚われている。

 

「俺は平気です。先輩の指導力を見せつけてください」

 

「こ、後輩……!」

 

「……君には悪いが私には乗る気は」

 

「いえ。ケビン部長。僕が出ます。僕が彼とやります。やりたいんです。やらせてください」

 

 リュートが進み出て参加を申し出る

 

「君か。……彼と、因縁でもあるのか」

 

「はい。僕は何だって彼に勝ちたいんです。この機会、逃したくない」

 

「……」

 

 ケビンは少し考えてから頷いた。

 

「この戦い、君の成長に繋がりそうだ。ならばやる価値がある。真央、前言撤回だ。受けて立つ」

 

「……ああ。やろう。この勝負、私が勝ったらもう私に付き纏うのは諦めて貰うからね」

 

「ならば、私達が勝ったらダンジョン・サバイヴァーズはダンジョン・ハンターズに併合させてもらう。真央。君は私が導く。君の穴を僕が埋めて見せる」

 

「ね、玄咲。これ、私も、参加する、流れだよね?」

 

「うっ! ……すまない。正直、無意識に頭数に数えていた」

 

「いいよ。私は、何だって、玄咲に、ついてくから」

 

「シャル……!」

 

 玄咲はシャルナを一瞬本物の天使に幻視した。

 

「よし! 話は決まったにゃ! ケビン! お前との縁をこれで永遠に断ち切ってやる!」

 

「っ!」

 

 ケビンは本日最大の切ない顔をした。

 

「……それでは、また1週間後。私の元に来るのを楽しみにしてる、真央。2人とも、行くぞ」

 

「ねぇリュート。これって私も参加するの?」

 

「当たり前だろ。艱難辛苦には血汗塗れの笑顔で立ち向かうんだよ」

 

「……あなたちょっとケビン部長に通ずる所があるわよね」

 

「そ、そうかな。照れるな…」

 

「ええ……」

 

 3人はボス部屋を出てすぐの所にある転移魔法陣から帰還した。真央は3人に笑顔で告げる。

 

「よし! 私達も帰ろっか! 大丈夫! 君たちの腕なら勝ったも同然! 1週間後にはあいつの吠え面が――」

 

「はっ! 真、真央。我に返った今ようやく気付いたのですが……」

 

「何? 心亜?」

 

「ダンジョンアタックって4人パーティで行う競技じゃないですか。あと2人1年生集めないとそもそも勝負すらできませんよ……!」

 

 真央の笑顔がピシリと凍った。

 

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