カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
ダンジョン15階。
第2層。
原生林エリア。
大自然がテーマのエリアだ。360度を大自然に囲まれている。緩やかな密林だ。色彩濃度の濃い草木が生い茂っている。視界は閉ざされるという程ではないが見づらい。しかし出てくるモンスターは1層と比べてもそこまで強くはない。フィールド攻略能力を見るエリアだ。コスモを先頭、真央は最後尾に置く6人は原生林エリアを全く苦も無く攻略していた。それも、真央が殆ど手出し口出しすることもなく。
前方、木々の上からイエローバナナモンキーが飛び降りてくる。全身黄色のバナナモンキーの上位固体だ。デフォルメのような可愛らしい猿顔のバナナモンキーと違ってリアル調の醤油顔をしている。本能的に殴りたくなる顔。雑魚にしか見えない顔だがその戦闘能力はバナナモンキーの比ではなく、人間をたやすく撲殺する。ゴリラの腕力に猿の身軽さ。それがイエローバナナモンキーだ。原生林エリアの中では強敵に分類される。ゲームでは悪趣味な悪ふざけと揶揄され蛇蝎の如く嫌われたモンスターだ。
イエローバナナモンキーが鉄以上の硬度を持つバナナを先頭のコスモ目掛けて振り下ろす。
「バナナナナッ(死に晒せ!)!」
「ふん」
ガキン。
コスモがアイアンモードになるまでもなく素手でバナナを受け止める。
「バナナッ(馬鹿な)!?」
「ふん、です!」
「バナッ――(最後にバナナ、食べたかっ――)]
コスモが魔法すら使わずイエローバナナモンキーの顔面を一撃で爆散させた。真央と心亜はもう何度目かも分からない異常な光景に慣れつつもやはり驚きの気配がある。
クゥの眉がピクリと動く。かと思えば素早く己のAD破風纏廻アームズウィングを頭上に向ける。
ランク1・風属性・銃魔法
「ウィンド・スナイプ・バレット」
ズガン!
「グシャァッ!」
空から急降下嘴攻撃をしかけようとしてきた鳥型モンスターメリコンドルが地面にめり込むことすらできずに爆散した。風の揺らぎを感じたクゥが先制攻撃を仕掛けたからだ。
「ふっ……私は一発の銃弾……」
「それはどちらかと言えばコスモの台詞では」
「えっ?」
「おっと、また電波が。気にしないでください」
「うん。先急ごっか」
「そうですね」
コスモとクゥは先陣を切りガンガン進んでいく。全く止まる気配がない。手持無沙汰なシャルナが玄咲に話しかける。
「クゥちゃん、狙撃じゃなくても、攻撃力、おかしくない?」
「1年の中では狂夜くんに次ぐ攻性魔力の持ち主だからな」
「それは、強いはずだね……」
「でないとカードバトルで戦えないからな。あっ、2人とも、ちょっと立ち止まってくれ」
コスモとクゥが素直に立ち止まる。玄咲は前方の1点に狙いを定めて、
「ダークバレット」
地面に着弾。すると、地面の下から網状の蔦が頭上へと引きあがっていき、頭上で織を形成した。網籠の罠だ。クゥとコスモが驚く。
「ゲンサック、何で罠が分かるの?」
「勘」
「野性的ですね。ワイルドです。格好いいです」
「ふ、ふふ、罠の処理は任せておけ。おっと、ダークバレット」
「ピグッ!」」
玄咲が茂みにダーク・バレットを放つ。悲鳴が上がる。真央が近寄って悲鳴の主を引っ張り出す。豚型のモンスターレアピッグだった。真央が快哉を上げる。
「これ、絶対に自分からは人前に姿を現さないレアモンスターのレア・ピッグだ! レアで焼くと美味しいんだよ! よく仕留めたね!」
「敵の気配察知は得意なんです。俺の数少ない特技の一つです」
「グッド! 帰ったらレアピッグでステーキ作ってあげるよ! 魔物の調理は得意なんだ!」
「本当ですか! 楽しみです!」
全く苦戦することなく、また真央の人柄もあり、ダンジョン探索は終始楽しい雰囲気のまま進む。コスモが近寄った敵を迎撃し、空からの敵はクゥが全員撃ち落とし、玄咲が不意打ちの類は通さず、ルート取りや知識の補強は真央が行う。完璧だった。完璧な連携がそこには築かれていた。シャルナはふと気づいてしまった。
(あれ? 私の出番は?)
「……」
同時、心亜もまた同じことを思っていた。ずっと最後尾で沈黙していた。