カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
翌日。
第3層。21~30階層からなる氷雪エリアを特に苦戦することなく踏破し、第30階層。
ボス部屋。
「30階のボスはアイスロック・ドラゴン。硬い体と広範囲に渡るブレス攻撃を筆頭とする強力な攻撃が厄介な強敵だよ。防御魔法が大事になってくるね。少し手強いから最初は私も協力して――」
「すいません先輩。一つ試したいことがあるのでいいですか?」
「ん? いいけど、何?」
「ダンジョン内って禁止制限カードとかないじゃないですか」
「にゃいね」
「だから悪魔神バエルのカードを使ってみたいなって」
「お! いいね! 私も一度見てみたかったんだよ。伝説の精霊神のカード。やっちゃえ!」
「はい!」
「玄咲、やめた方がいいよ」
「でも、たまにはバエルにも暴れさせたいじゃないか」
「……うん」
シャルナは一瞬で折れた。バエルへの恩が抵抗力を奪っている。
「じゃ、開けるよー」
「はい! そうだ! 久しぶりにディアボロス・ブレイカーも使うか!」
「それはやめて」
「え?」
「やめて」
「うん」
玄咲は素直にシュヴァルツ・ブリンガーにバエルをインサートした。真央が扉を開ける。
そして玄咲は逃げ場のないボス部屋へと悪魔神バエルを解き放った。
「召喚――悪魔神バエル」
アイスロック・ドラゴンは10分ほどバエルの玩具になった。
「ふー、楽しかった♪ 玄咲、ありがとう! 私を暴れさせてくれて」
「う、うん。これからも定期的に暴れさせるよ。いいガス抜きになるだろう」
大暴れできたバエルはご機嫌だった。人目を配慮してかサンダージョーを殺したときよりも随分大人しい。それでもグロテスクではあったが、全然許容範囲内だった。
バエルも少しずつ成長している。
「あ、そうだ。私クゥちゃんとコスモちゃんに言いたいことがあったんだった。ちょっと話させて」
「いいよ」
「えっ」
「むっ」
バエルが笑顔でクゥとコスモに近づく。クゥとコスモはじりっと、身を引いた。
「そんな警戒しなくていいわ。私はただお願いしにきただけなの。ね、2人とも……」
バエルが2人と相対する。そしてその肩に手を乗せた。
「玄咲と――友達として仲良くしてね?」
ミシ!
「……はい」
「……了解です」
「OK。これ絶対だから。じゃ玄咲。もういいわよ」
「ああ。送喚バエル」
玄咲は送喚したバエルのカードを見て感慨深げに目を細めた。
「やっぱりバエルは出会った当初より格段に優しくなったな。俺とコスモちゃんたちが仲良くなれるよう配慮までしてくれるなんて。……本当、変わったよ」
「……うん。そうだね」
「ふふ。ああ、バエル……」
愛おし気にバエルのカードを撫でる玄咲。少しだけ、その場にいたシャルナ以外の全員の好感度が下がった。