カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第16話 ルディラ・メルキュール。そして……

「聞いたか。ダンジョン・ハンターズとダンジョン・サバイヴァーズがダンジョンアタックするらしいぜ」

 

「ケビンと真央がか。まぁ驚きはしねぇよなぁ。あの2人なら」

 

(ダンジョンアタック……興味ないですね)

 

 水銀色の長髪に作り物めいた美貌。しかしどこか冷たさを感じる無表情を張り付けた美少女がラグナロク学園の2年生が通う教室の廊下前を歩いている。神の彫像物の如き美しさ。美以外の全てがその構成要素からはじき出されている。スカートから伸びる完璧なバランスの細足が廊下を叩く。しなやかな手が水銀色の髪を掻き分ける。その体躯は2年生にしては、いや、1年生にしても小さめだ。しかし、完成された美が放つ存在感が少女を決して小さく見せない。むしろ実体以上に大きく見せている。そのクールな容姿と立ち振る舞いと合わせて相対するものに問答無用の威圧感を与える。天使の天之明麗を差し置いてミス・ラグナロクにまで選ばれたおぞましい程の美貌の少女――ルディラ・メルキュールはたまたま聞こえた会話を自分には関係のない与太話と切り捨て雑談を交わす生徒の横を通り抜ける。

 

「いや、どうやら互いの部の1年生同士が戦うらしいぜ」

 

「へぇ、そりゃ面白そうだな。真央とケビンが戦ったら真央が勝つに決まってるからな」

 

(――1年生)

 

 ルディラはさりげなく廊下の窓に手をつき外を覗くふりをして耳を澄ます。会話を交わしていた二人がビクッとするも、会話を再開する。

 

「で、でさ、ハンターズからは光ヶ崎と炎条の神童2人がタッグを組んで出るってよ。しかも残りのメンバーも理事長の娘の神楽坂アカネと学園長の縁戚の神鐘マルタ。どっちも血統書付きの天才だ」

 

「なんだよそれ。ダンジョン・ハンターズのレイプで終わるじゃねぇか」

 

(――レイプ、ですか)

 

 ルディラは少しだけ、その流麗なラインを描く眉尾を歪めた。2人はルディラから離れるよう移動し始めるも会話は続ける。

 

「いや、真央の方も凄いメンバーを集めてきた。あのクラス対抗ストラテジーウォーで断トツ1位を取った天之玄咲に次点のシャルナ・エルフィン。それに特待生のクゥとコスモとかいうよく分かんない2人。まぁ特待生だから弱いってことはねぇだろうよ」

 

「ラグナロク学園の特待生だからな。しかし、その天之玄咲って奴は入学時からずっと目立ってんな。変な星の下にでも生まれてきたのかねぇ」

 

「厄災の星――」

 

 その辺りで会話が聞こえなくなる。ルディラは前髪にかかった髪をそのガラス細工のような指で払い、静かに言った。

 

「……一応、見に行ってみますかね」

 

 

 

 

 

「会長。ダンジョンアタックの件私マター(担当)で処理しておきましたよ。今回は開催するに十分なバリュー(価値)があると判断してダンジョンの該当階層を貸し切りにしました。これで当日は予定通り開催できます」

 

「ありがとうございます。ふふ。楽しみですねぇ」

 

 生徒会室。テーブルと椅子がある部屋。会長専用椅子に座る生徒会長の天之明麗は書記の凛子に任せていたダンジョンアタックの件の報告を受けて朗らかに微笑んだ。副会長の赤羽軽子が鼻を鳴らしてそっぽを向く。

 

「あいつが出るからかご機嫌ですね。会長」

 

「軽子。天之くんはいい子ですよ。逆に軽子は何故天之くんのことが嫌いなんですか?」

 

「はぁ!? あんな見るからに悪人面、好きになれる訳ないでしょ! それだけです!」

 

「ジェラシー、も理由には含まれていそうですが」

 

 凛子が書類を机の上でとんとんと整えながら澄まし顔で言った。軽子は凛子に顔を赤くして怒鳴る。明麗が笑う。穏やかな生徒会室の日常がそこには展開されていた。

 

 窓の外の太陽に明麗は呟く。

 

「天之くん。期待していますよ。頑張ってくださいね」

 

 

 

 

 

 

 カードショップ。

 

「とうとう、ランク7カード、引き換えるんだね」

 

「ああ。ADの改造にポイント費やして懐が寂しくなってきたから中々踏ん切りがつかなかったがようやく決まった。交換するのは勿論100万ポイントのカード。この」

 

 ショーケースに並んだカードの1枚を玄咲は指さした。

 

「アルテマ・ソウル。ランク7帯最強のフュージョン・マジックの素体カードだ」

 

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