カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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5章本編最終話。あとはエピローグを3話投稿して5章は完結です。


第21話 決着! 大団円!

 学園ギルド。

 

 観客席。

 

「1時間30分……!? おい、光ヶ崎と炎条の2人が負けたぞ!?」

 

「嘘だろ……コスモ、それにクゥとかいう下級生、ノーマークだったがヤバいじゃねぇか。よく考えたら婆がわざわざ外部からスカウトしてきた特待生なんだからヤバくねぇ訳がねぇじゃねぇか畜生! ああ、俺のポイントが……」

 

「あんた、何賭け事に手出してるのよ。殺すわよ」

 

「天之玄咲も前評判通り流石の腕前だったな。そしてその恋人の女も。一番勝利に貢献してたんじゃないか?」

 

「ミスリル・ゴーレムを一発でぶち殺してたしな。痺れたぜ」

 

「光ヶ崎と炎条も全然劣ってなかったんだけどな。あのキャリーがデカすぎたぜ。途中経過よく見えなかったけど」

 

「つーか、あの男、すげぇ羨ましい体勢になってたんだが。ナニもしてねぇよな?」

 

「あーあ。才能の差感じるなぁ。今年の1年生は優秀だなぁ……」

 

「2年はなー、ルディラがいるんだが、ルディラしかいねぇしなぁ……」

 

「……」

 

 上級生たちが口々に感想を言い合う。そんな中、最後列でポツンと一人で配信を眺めていたルディラはもう用は済んだとばかりに立ち上がり学園ギルドの出口へと向かう。

 

 銀色の瞳を覆うその長い前髪を搔き分けながら、

 

(私に足りないものを補えるのはあの中だとやはり――まぁ結論を出すのは早計ですか。もう少し考えてみましょう)

 

 

 

 

 

 

 

 

「負けた、か……」

 

 ケビンは配信画面右下に表示されている1:30、すなわち1時間30分という数字を見て天を仰いだ。その横では真央が手を上げて大喜びしている。心亜も喜んでいる。

 

「わーい! 勝った勝ったー! 流石後輩くんにゃー! にゃはははは!」

 

「良かったですね真央! これからも一緒にいられます!」

 

「……真央」

 

「にゃはは。何だにゃケビン。気分がいいから負け犬の遠吠えなら聞いてやらないことも――」

 

「成長したな。僕は君を少し見くびっていたようだ。すまなかった」

 

 ケビンが真央に頭を下げる。真央は目をパチクリとさせた。

 

「確かな指導の痕跡を彼らの動きの中に見た。それは君の癖とも呼べるものだ。……私は無責任で我儘で気分屋な君に人の上に立つ役割は務まらないだろうと思っていた。私の下にいた方が成長できると思っていた。でも、それは間違っていた。君は確かに、部長としての責務を果たしていたし、人間として大きく成長していたよ……眩しいよ真央」

 

「ケビン……ま、まぁ、私も努力したからな。当然だよ」

 

「そうです。私が毎日指導の仕方を真央に教えたんです。真央は頑張ったんですよ。自分のせいで下級生をダメにしたらいけないからって凄く必死に頑張っていました。レベルも上がりました。不安も抱えていました。それでも……内心の不安や努力の痕跡を欠片も見せずに毎日頑張れる真央だから私は大好きなんです! 我儘だし気分屋だけど、真央は本当は凄く努力家なんです! 大好きなんです!」

 

「こ、心亜ぁ……!」

 

「……そうか。そうだったな。私もだからこそ――いや、何でもない。真央」

 

 ケビンはふっと笑い、切なくも爽やかな笑みを浮かべた。

 

「応援している。困ったことがあったら何でも言ってくれ。力になる。じゃあな。真央……Say Good Bye For You.Forever、とは言わないよ……」

 

 ケビンは切ない背を見せつけながらギルドを後にした。去り際、振り返ることなく手を振った。

 

「……ま、本当に困ったら相談くらいしに行ってやるにゃー」

 

 真央は何となくそういう気分だったのでケビンに手を振り返した。

 

「……そうですね。それがいいですよ」

 

 どこか幼さの抜けない愛しい友人と、決して悪人ではないケビンの心情を考えて、心亜は優しく微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 学園ギルド。

 

 玄咲たちはリュートたちとカフェテラスで食事をしながら健闘を称え合っていた。カードバトルの勝ち負けではないからかどこかライトな雰囲気。リュートが大好物のチーズバーガーをパクつきながら喋る。

 

「おめでとう。天之玄咲。また君に負けてしまったな……」

 

 玄咲はダブルバーガーを食べながらリュートに応える。隣でスープスパゲッティを啜っているシャルナに視線をやりながら、

 

「俺たちに有利な条件だったからな。シャルがいなかったら分からなかったさ」

 

「……私の、お陰……」

 

「ああ。シャルのお陰だ」

 

「……ふ、ふふ……」

 

「嬉しそうねー……でも、凄かった。それに比べて私はイマイチ活躍できなかったなー……」

 

 玄咲、シャルナ、リュート、アカネが一つのテーブルにつき仲よく話合っている。もう一つのテーブルではクゥ、コスモ、司、マルタがフードバトルをしている。正確には司とコスモが勝負している。ホットドッグの包みがうず高く積みあがっていた。現在、コスモが優勢。

 

「ぐっ! こいつにだけは負けられねぇ。役割の被ってたこいつにだけは負けられねぇんだよォ! 俺は誰にも負けねぇんだ! オラァホットドッグ追加だぁ!」

 

「個人的にアメリカンドッグって酷い隠語だと思うのですよね……あなたはそこんところどう思いますか?」

 

「知るかァ! そもそもアメリカンってなんだよ!?」

 

「罪業の化身、ですかね……あ、ホットドッグ10個追加で。彼が全部食べるそうです」

 

「!? うっ……ト、トイレ!」

 

 司がトイレに駆け込む。中々出てこない。その間にホットドッグが10個運ばれてくる。その内の一つを手に取りマルタは口に運んだ。もぐもぐと咀嚼し、ごっくんしてから一言。

 

「……馬鹿なの」

 

「ホットドッグって美味しいね。あなたもそう思うでしょ?」

 

「え? あ、うんなの」

 

「ところでさ、この肉どこで取れるの? 自分でも作りたいんだけど」

 

「……知らないの」

 

「そっか。狩り場は秘密なんだね。あとで店員さんにも聞いてみよっと。もぐもぐ……うん。本当美味しい。お代わり!」

 

「コスモあと50個はいけます。ダンジョンアタック勝利祝いにただなんてこの学園は気前がいいです!」

 

「……こいつら、どっちも極めつけの変人なの。疲れるの。司早く戻ってくるの」

 

 司が戻ってきたのは20分後だった。それからさらにしばらく8人で会話した。そして会食の終わり際、司がしみじみと言った。

 

「……今日はさ、楽しかったぜ。思えばリュートと一緒に戦うなんて初めてだったかもな」

 

「そうだな。僕もその、楽しかったよ」

 

「まぁ、終わってみればイベントみたいで悪くなかったわ」

 

「なの」

 

「うん。ゲンサックの色んな一面も見れたし楽しかった」

 

「コスモも楽しかったです。この学園に来てから基本ずっと楽しいです!」

 

「……シャル。楽しかったか?」

 

「うん。玄咲といると、いつも楽しいよ」

 

「……そうか。それなら良かった。……今日はもう帰ろうか」

 

「うん!」

 

 ――それから8人は店を出た。途中まで一緒に帰り、寮で別れ、それぞれ別の夜を過ごし、それぞれ別の夢を見て、そして――。

 

 

「――おはよ、玄咲。今日も一緒に、学校、行こ!」

 

 また、同じ朝を迎える。

 

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