カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
ルディラ・メルキュールは空を見ていた。
空には光がある。高く高く飛ぶ光。雲と同じ高さにある。しかしその存在感は別格。当然だ。光と同じ空にあるただ高空に浮かぶだけでどこにも辿り着かない浮雲の行方に思いを馳せながら、ルディラは空を眺め続ける。
「あの人は大変ですね。……私も来年は大変になるのでしょうか」
天使のいない空にただただ雲が浮かんでいる。ルディラの美貌を彩る水銀色の髪が薄光を放ちながらふわりと浮かんだ。ルディラは己の感情が昂っていることに気づき、目を閉じ心を鎮めた。
髪が垂直の角度を取り戻す。
「……全く、面倒くさいですね」
ルディラは
ルディラはそういう人間だった。
「……眩しいですね。太陽は」
だから、ルディラの視線を落とした。地上へと。
(あ……)
そこには、ルディラが最近注目している男子生徒がいた。いつものように木陰の下のベンチに座って恋人とお弁当を食べている。ルディラは手すりに肘をつき頬杖をついて嘆息した。
「……また、彼女と一緒にいるのですか。いつも一緒にいますね。別に人の好みをとやかく言うつもりはありませんが……
人のいない場所を求めて屋上を訪れたルディラは、風を浴びつつラグナロク学園の小都市染みた景色を眺める気分転換にも飽きたので後者に戻ることにした。背を翻しかけて、最後にルディラはもう一度空を見る。もう天使はいない。あっという間にどこかに飛び立ってしまった。
おそらく、魔獣を退治するために。
魔獣――。
「……また、思い出してしまいました。次の試験、誰と組みましょうかね……」
ルディラは前髪に隠れた銀色の瞳をタイル張りの地面に落としながら給水塔の下の階段へと歩む。その脳裏にふと、数日前に見たダンジョンアタックの景色が蘇る。
「……
無人の階段にカツーン、カツーンと冷たく乾いた足音が響く。そのミス・ラグナロクにも選ばれた程の孤峰の美貌にかかる銀髪をそのおぞましい程完璧なラインを描くしなやかな指で払いながらルディラは呟いた。
「《彼》ですね」