カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第4話 魔獣退治試験2

「次、野営地について。野営地はドロミテ大樹海の近くに巨大なものを設けている。やや簡素だが全員を収容できる巨大宿舎を用意している。試験中はそこで宿泊することになる。

 

 ここに書いてある通り試験は毎日9:00から19:00の10時間行われる。夜は絶対出歩くんじゃないよ。ドロミテ大樹海の夜間行動は自殺行為だ。絶対やめろ」

 

 強い口調でマギサが禁じる。マギサがそこまで念押しすることが危険性を際立たせていた。絶対時間内に帰還し、夜は出歩かないようにしよう。多くの生徒がそう決意した。

 

「次、パートナー制度。この試験は1年生と上級生が一人ずつパートナーになって受けてもらう。成績下位の1年生は2人一組となって成績下位の上級生と組んでもらう。

 この制度、色々異論はあるだろうがね、37年間試行錯誤した上でこの制度が一番死傷者を抑えられたし生徒が成長したんだよ。また改良する可能性はある。だが今はこれが私の最善解なんだ。だから不満は承知の上で従ってもらうよ」

 

(……パートナー制度。この試験最大の特徴。さて、誰と組むか。そもそも誰が俺と組んでくれるかな……真央先輩と組む可能性が濃厚だな。ゲームでも割と鉄板ルートだったし)

 

 玄咲が最も興味のあるパートナー制度に対してやや色気を出して煩悩してる間にマギサの説明は次に移った。

 

「次、魔物の討伐ポイントについて。魔物にはそれぞれ等級に応じたポイントが設定されている。魔物を狩ってその討伐を証明すると刈った魔物に応じたポイントがもらえる。ポイントの内訳はSDで見れるようになっている。その他のメニューに試験という項目が追加されている。その中のポイントという項目だ。確認しな」

 

「あ、ほんとだ」

 

「すげぇ! 追加機能だ! SDは謎に万能だぜ!」

 

 生徒たちが言われた通りにする。玄咲とシャルナも言われた通りにした。

 

 SDに魔物の等級とポイントがスクロールを挟んでずらりと表示された。

 

 

 

SSS 1000万

SS 500万

S  100万

A  10万

B  7万

C  5万

D  3万

E  1万

F   5千

G   10

 

 

 

「GってゴミのGじゃね?」

 

 誰かがそんなくだらないことを言った。シャルナが玄咲に尋ねる。

 

「ね、G級って、どんな魔物?」

 

「でかいだけのビッグダンゴムシとか、ノロノロ触手を動かして臭い匂いを発するだけのノロノロラフレシアとか、出会うと幸運が訪れるといわれるラッキーバタフライとか、基本無害な魔物だ。キャンキャンドッグはギリF級だ」

 

「……納得」

 

「ゴキブリンは雑魚だが醜悪過ぎるのでF級だ」

 

「……納得」

 

「後輩くん本当詳しいねー……」

 

「前年通り大物狩りが大量得点の鍵ですか……」

 

「ポイント表はいつでも見れる。説明再開するよ。続いてSDのキャプチャーという項目をタッチしな」

 

 言われたとおりにするとSDがスマホのカメラ機能のような画面に切り替わった。キャプチャーモードだ。

 

「魔物に焦点を合わせて下部の円を押しな。それでキャプチャー完了だ。魔物を勝手に解析してくれる。死体ならポイント獲得。死体じゃなければデータ消去だ。各々オンリーワンの魂格の情報を参照にしているからね、ちゃんと個体差を識別できる。人の討伐した魔物をキャプチャーして、なんて考えるんじゃないよ。点数に計上されない上、違反行為としてペナルティーを課す。また、他人の獲物を横取りしてキャプチャーする行為も禁止だ。過去を見るくらい私には朝飯前なんだ。不正は絶対バレると心得ておきな。いいね?」

 

「すいません! 複数人で倒した場合はどうすればいいんですか?」

 

「……一応ポイントの配分機能がある。リンクってボタンがあるだろ。他人とSDをリンクさせられる。あとはポイント配分を決めてキャプチャーすれぱポイントが事前に決めた比率の通りに配分される。そのケースは完璧な解決策が思いつかなくてねぇ、こういう措置になった。システムに多少の穴があるのは自覚してる。ただまぁ、何かトラブルがあったら私があとから見て無理やり解決すれば何とかなるだろう。他にキャプチャー機能に対する質問はあるかい?」

 

 ない。

 

「この機能は少し不完全なんだが、今の魔工学科の技術力ではこれが限界で――」

 

「ね、玄咲。SDって、地味に、技術力、おかしくない?」

 

「……そうだな」

 

 困ったときのSD頼み。この世界でもその原則は変わらないらしい。玄咲は安心したような不気味なような不可思議な気持ちを見下ろすSDに抱いた。

 

「最後に、試験の合否についてだ」

 

 マギサの説明が最後の段階に移る。不吉な文章が並んだ最後の文に。

 

 

・合格条件は3日間の生存。

・失格条件は本人、またはパートナーの未帰還

※試験中の死者は定刻に蘇生させ試験に復帰させる。ただし未帰還の場合は例外とする。

 

 

「今回の合格条件は凄く簡単だ。生き残るだけでいい。ポイントはあくまで2次的報酬。合格には絡まない。1日のノルマである10万ポイントは稼いでもらうことになるが……まぁ、10万ポイントなら1年含めて誰でも稼げる。だからこれは尻まくって隠れ続けるって選択肢を取らせないためのおまけだ。戦う意思さえあれば問題にならない。だから、そう! 本当に生き残るだけ! サヴァイヴするだけでいいんだ! 私はそこまで妥協した! だからお前たち――」

 

 壇上にダンと手をつきマギサは生徒たちをその鷲鼻の上の魚のようなギョロ目でまるで殺しかかるような迫力でもって睨めつけた。

 

「絶対生きて帰ってこい! 私はね、こんな試験を課しといてなんだが私の大切な生徒《駒》を失うのは我慢ならないんだ……!」

 

「――」

 

 マギサの見せた思わぬ、そして激しくもそれ故に真剣味を帯びた愛の咆哮は生徒たちの胸を強く打った。あのマギサにもちゃんと人情がある。生徒たちの中には胸を熱くし涙さえ流している生徒がいた。ケビンがその筆頭だ。

 

(……生徒()、か)

 

 玄咲は生徒のルビを正確に把握して1人乗り切れない思いだった。あとそんなに我慢ならないならやらなきゃいいのにと思った。

 

 

 

 それが最後の説明だった。その後はヒロユキが無難に纏め上げて説明回が終わった。そして教室に帰ったあとはクロウのHRを受けてそれも終わり――。

 

 2人の新たな放課後が始まる。

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