カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
【屋上】
試験日前の完全休息日。
ラグナロク学園の年間を通して最も過酷な行事である魔獣退治試験に備えて体を万全の体調に整えるための休日。この日はバトルルームも休業となり、教職員含めた全学校関係者にとっての休養日となる。全生徒が回復魔法を受けさせられる、無意識下の疲れまで取り、ハードな試験で万全のパフォーマンスを発揮させるための一日だ。この日があるかないかで生徒たちの生存率は大きく変わる大事な一日だ。
「とうとう明日試験ですか。長いようで短い2週間でしたね……」
ルディラは今日も屋上にいた。回復魔法を受け終わった後は自由時間。屋上の縁に肘をつき頬の柔肉に手を当てルディラは呟く。
「慌ただしい。本当、慌ただしい……」
この2週間、本当に慌ただしかった。誰も彼もが、必死だった。全力だった。だから、どこにも行き場がなくて、人のいない所で過ごす所が多くて、だから今もこうして屋上にいて、そして最後の一日までラグナロク学園は慌ただしくて、騒がしくて、ラグナロク学園の生徒たちは上から下までみんな。
全力疾走で生きて、輝いていて。
「……」
ルディラは制服の胸部をギュッと掴んだ。そして、いつものように、屋上から人で溢れた校舎へと戻って。
なんとなく、今度の試験のパートナーの姿でも探してみる。
黒い姿がよく似合う、己がクロと名付けたパートナーの姿を。
【校舎】
「クロ」
「……ルディラ先輩」
最終日。やはり、少しくらいルディラと打ち合わせをした方がいいのではないかと思いその姿を探し屋上へと足を運んでいた玄咲は屋上への階段を昇っている途中でルディラと出会った。ルディラに少し驚きの気配がある。
ルディラはゴホンと咳払いし、その整った髪を一撫でして、それから少し髪を魔力で揺らしながら言った。
「奇遇ですね。丁度探しに行こうとしていたところです」
「俺もです」
「何? ……それは」
ルディラはスカートの端を握って、顔を逸らした。
「いい心がけです。クロにしてはやるではないですか」
「……まぁ、最終日なので」
玄咲も顔を逸らした。ルディラの美貌を務めて意識しないようにするためだ。玄咲の脇を通り過ぎて階段を下るルディラが言う。
「それでは、クロ」
「はい」
ルディラがその常に憂鬱そうな美貌を振り向かせ、その手を差し伸べて、これから運命を共にするパートナー――玄咲へと告げた。
「カフェテラスにでも行きましょうか。次の試験の打ち合わせをしますよ」
試験が、始まる。
明日から第8章