カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
夕方。
「おはよ玄咲!」
昼寝をしっかり取り生命力を回復した玄咲は食堂でシャルナと顔合わせ。玄咲は一瞬で暖かな気持ちになった。
「おはよう、シャル」
「おはようございます、天之くん。ルディラちゃん」
当然のように明麗も声をかけてくる。
「おはようございます。会長」
「……おはようございます。2人とも」
玄咲、そして続いてルディラも、行儀よくお辞儀をして挨拶を2人に返す。それだけで、自然と視線が集まる。それら一切合切を無視しルディラは食卓についた。玄咲も続いて、
「ここ、空いてるよ」
「あ、うん」
シャルナの右隣に座ろうとして、
「私の隣も空いてますが」
ルディラの一言にシャルナと凍った。場の空気と一緒に。
結局機転を働かせた明麗によりルディラは明麗と、玄咲はシャルナと隣り合うことになった。上級生は上級生同士という理屈だ。早い者勝ちという理屈も付け加えられた。ルディラは剛して反することはなく、「そうですね」と返し普通に明麗の隣に座った。
玄咲と向かい合う形で。
「……」
「……」
「さ、注文しましょうか」
「そうですね。注文しましょう」
4人はそれぞれ異なる商品を注文した。
明麗がマスタードサラダ。
玄咲が醤油ラーメンサラダ
シャルナが塩ラーメンサラダ
ルディラがステーキサラダだ。
明麗が突っ込む。
「なんかルディラちゃん、合わせてきましたね」
「サラダくらいに抑えておいた方がいいと実感したまでです」
「確かに。いい傾向です。もっと変わっていくといいですね」
「まぁ、そうですね」
「天之くんの影響でしょうか」
「クロは関係ないです」
ルディラは断じた。玄咲は落ち込んだ。シャルナはあだ名呼びを訝しんだ。明麗がパンと手を叩く。
「さ、朝食をしっかり食べて、2日目の試験に備えましょうか! しっかり行われるそうです。――っと」
ズドォオオオン……と足音。明麗は立ち上がり、厳しい顔つきで言った。
「来ましたね。食事を食べる暇もなかったですね」
遠くに王魔種の群れが見える。ラグナロク・ペンションの前に揃いだったラグナロク学園の生徒たちが口々にその光景への感想を口にする。
「ちょっとあれ、サウンド・ノイジーズじゃん。僕あの魔物種嫌いなんだよねー……」
サウンド・ノイジーズ。楽器とロボットを融合したような見た目。夥しいノイズを撒き散らしながら行進している。
「ふん。どんな敵だろうと勝つだけだ」
悪魔王アスモデウス。黒い巨大な人形の悪魔。その周囲には蒼炎の人魂が幾つも浮かんでいる。
「あれは、機械種ですね。コスモはあれ程醜悪な電波を感じたことはありません……」
機械王ゴア・ドグマレロ・ゼロ。史上最も不幸な人類アナヒラを生んだ、残虐の化身。
「ジズ。ガルダの親の敵――!」
災鳥ジズ。王殺しの災害とまで称された怪鳥。空を回遊して魔性の風を産み出している。
「ひゃー、でっけぇなぁ。俺の先祖はあんな奴と戦って勝ったのかよ……」
奇形醜ゴロー。その全長は全ての王馬種の中で圧倒している。その頭は災鳥ジズと同じ高度にある。
「スペース・ノイド。宇宙より飛来したと言われる謎の多い、しかし強力な魔物……」
スペース・ノイド。人のようで人でない見た目が多種多様に行進している。空にはUFOと呼ばれるスペース・ノイドが搭乗する強力な飛行物体。圧倒的な科学力を有すると言われている。
「綺麗、だけど、凄く、怖い、オーラ出してる……」
堕天使ルシファー。超常の美しさを持つ現代においても人気の高い王魔種。しかし、実際に目の当たりにすればその美しさは全て恐怖に転換される。おぞましい魔力を身に纏っているからだ。
「あれは、魔符士の天敵。剣聖アベル以外には倒すことが不可能とさえ言われた魔物か……」
黄金の騎士。その鎧に中身はない。ただ、呪われた鎧だけが夥しい悍ましい光を放っている。離れた所にいてもその存在感は圧倒的だ。
他にも、天之神社で見た王魔種などが並んでいる。まるでこの世の終わりのような光景。1体を除きマギサの敵ではないだろう。しかし、そのマギサが、
「あいつらを突破しヘクターを倒しアイギスの復活を防ぐ。それが私たちの勝利条件さ。さ、教師も含めたラグナロク学園全員VS王魔種の群れ。ようやく今年の生徒に相応しい試験になった。さぁ、試験開始さ!」
不条理を生徒たちに突きつける。既に生徒たちも事情を了解している。理解している。
戦ってあれらの敵を打ち倒すしかないのだと。
明麗が先陣を切る。
「――行きましょう。そして生きましょう。私がダンジョンを攻略します。それまで持たせてください。すぐに戻ってきます。だから、どうか」
明麗の背には光の翼。ライト・ウィング。羽ばたき、飛び立つ。
「誰もロストしないでください。行ってきます」
未来を切り開くために。
「――ま、やるしかないわね。明麗にあそこまで言われたら」
「そうですね。ダイ・ハードな課題ですがやり遂げるとしましょう。それが私たちのタスクです」
軽子と凛子が口にする。誰もがその思いを共有する。シャルナが玄咲に力強く言う。
「私、あの堕天使の所担当。クロウ先生もいる。必ず、また会おうね」
「ああ。必ずだ。それじゃ、ルディラ先輩」
「はい。それでは」
ルディラが頷く。その目に宿る恐怖を、確かな意志で押し殺して。
「行きましょう。誰も私の敵ではありません」
最強のジョーカーが、その力に伴う意志を宿して、ドロミテ大樹海に一歩を踏み出す。
――果て無き深淵が待ち受ける大樹海。
そこに確かな勇気と巨大な力。
そして足りないもの全てを補ったパートナーを伴って。
少女は大きな、そして確たる一歩を踏み出した。
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