カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
クゥと司が相性差もあり快勝を収めている頃。
他の生徒たちはそれほど快調には戦っていなかった。
Side アルル
「糞、あいつらガンガンうるせぇ……!」
「サウンド・ノイジーズ。音楽効果で仲間にバフを、敵にデバフを掛ける面倒なモンスター。しかし、実際に対面するとそれ以上にノイズみたいな演奏がシンプルにメンタルにくるぜ……!」
サウンド・ノイジーズは演奏を行いながら戦う楽器型のモンスターだ。その演奏は仲間を強化し、敵の魔法を弱体化させる。集まれば集まる程、演奏すれば演奏するほど手強くなる厄介なモンスターたちだった。
だが、当然対抗策もある。そのためにこの場には楽器型ADの使い手が集まっている。
その中には当然アルル・プレイアズも含まれていた。アルルがサウンド・ノイジーズたちの演奏を掻き消すようなあらん限りの大声で詠唱を行う。
「Noize蔓延るbattlefield。全部黙らすRapp Skillで!」
言霊の籠った音がサウンド・ノイジーズたちの音を魔力毎塗りつぶす。そして、共に放たれる衝撃波がサウンド・ノイジーズたちを吹っ飛ばす。さらに、
「スキルで凌駕はSo easy! ならば負ける道理なしNoizeese!」
2小節。先ほどより強力な攻撃が飛ぶ。アルルのAD天歌刻韻ライブ・マイクは既に金色の光を纏っている。それは魔法を発動している合図。
フュージョン・マジック【
それがアルルの発動しているフュージョンマジックだった。その効果はヒプノシス・マジックの進化系。4小説ならば4小説。8小節ならば8小節を完了しなければ魔法が発動しない取り回しの悪かったヒプノシス・マジックの欠点を克服し、2小節完成する毎に魔法が発動する仕様になっている。さらに、当然ながら小説毎のその威力もまたヒプノシス・マジックを凌駕する完全上位互換の魔法。アルルがさらに8小節まで刻む。アルル達の元に殺到していたサウンド・ノイジーズたちが大幅に数を減らす。
そして、さらに16小節目。
「Last Verseさ騒々しいKing! 120%でOne shot One kill!」
虹色の光の衝撃波が見上げる程でかい、戦場にて最大のサウンド・ノイジーズへと遅いかかる。ピアノを手に持つそのサウンド・ノイジーズはアルルの16小節にかき鳴らす騒音で答えた。
ギュラン! ドゥリリリリリリリリリリリリンイ!
音と音がぶつかり合う。そして尚、アルルの16小節は騒音を打ち消し、サウンド・ノイジーズたちの王へと直撃した。サウンド・ノイジーズの王のピアノの鍵盤が一部かけ、よろめく。
それだけ。
異音にて相殺されたアルルのヒプノシス・マジックはそれ程に威力を減衰されていた。魔力場に音によって干渉し強力な魔法へのデバフ効果をかける。それがサウンド・ノイジーズの特徴。音魔法はもっともそのデバフを受けにくい魔法だ。出力によっては掻き消せさえする。しかし、サウンド・ノイジーズたちの王――王魔種ピアノティクス・ノイジーの騒音を掻き消すのは並大抵の音力ではなし得なかった。
「……きついね。でも、もっと声張り上げてくよ」
「はい! アルル様への攻撃は全て私が防ぎます。だからアルル様は有効打にならなくてもひたすら歌い続けてください。それが、サウンド・ノイジーズへのもっとも効果的な妨害効果になります」
「アルル様は私たちが守る!」
アルルのパートナーのウリエルとその妹のサリエルも当然のように同じ戦場にいる。アルルはその種族特性の言霊の力でサウンド・ノイジーズに抗い続ける。言霊のお陰で、そのマイクで張り上げる声は単純な魔法効果以上にサウンド・ノイジーズへの抗性が高く、戦場の中心の一人になっている。しかし、戦況は五分五分。そこから動かない。
「ちっ、やべぇな」
「そ、そうだね。せめて、凍介がいれば」
楽器型ADの使い手ゆえにアルル達と共闘しているアルカディスターズの2人、偉打川錬瓦と影食朽葉が顔を青くして見合う。残り2人、氷室凍介と火撥狂夜の姿はその場にはない。
「仕方ねぇよ。もっとやべぇ奴を引き付けてくれているんだ。その間に、何とか倒してぇな」
「そ、そうだね。ヒヒっ、どこも、修羅場だね。私たちは私たちでやれることやんないとね……! それに、凍介ならきっと大丈夫だよね」
「ああ。凍介なら」
偉打川錬瓦は激しい戦闘音が響き続ける別の戦場へと視線をやって、全幅の信頼を置いた瞳で頷いた。
「絶対大丈夫だ。あいつが負ける筈ねぇ。負ける筈ねぇよ」
ポタ、ポタタタ。
「……しくったな」