カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第6話 ターゲット・コスモ

「おおおおおおおお!?」

 

「ピギュルルルルリリリリリリ」

 

「何あの王魔種? コスモちゃんのことずっと追ってくるけど? 機械種だから!?」

 

「分かりませんが明らかに何らかの理由がありそうです! コスモ、ピンチです!」

 

 機械王ゴア・ドグマレロ・ゼロ。機械種の王魔種。巨大なコアに触手のような管を無数に伸ばしたような見た目で浮遊しつつ、その管から光線を撒き散らしながらコスモ達を追跡してくる。他の生徒たちも迎撃に張り切るが、

 

「うお、こいつ、管の先からバリア張ってくるぞ!」

 

「しかも的確に迎撃してくるし攻撃もしてくる! 機械だけに凄まじい精度だ! 迂闊に近寄れもしねぇ!」

 

「どうすりゃいいんだよこんな敵。フュージョン・マジックも平然と防がれたぞ! 馬鹿強ぇ!」

 

 その残虐さばかりが取り立てされる機械王ゴア・ドグマレロ・ゼロであるが、単体の魔物としても王魔種だけありしっかり強かった。コスモに注力しているから被害が少ないだけで、本格的に他の生徒たちをターゲットしていれば死者の山を築いていたことだろう。

 

「今日のコスモはジェット・モードです! 加速魔法を二重掛けすることで何とか逃げ延びています! 加速装置後付け搭載です!」

 

「私は素で走ってるけどね! 猫科の亜人で良かったと今ばかりは本気で思うよ! っ!?」

 

 真央が表情を変える。進行方向。その先に現れた魔物を見て。

 

「大型の恐竜型モンスター!? やっば! 挟み撃ちじゃん! コスモちゃん! 一か八か横に避けて」

 

「ピギュロロロロロロロロロロロ!」

 

 光が走った。その光はゴア・ドグマレロ・ゼロから発されたものだった。その光は二人の間を走り、大型の恐竜型魔物の額を貫いた。恐竜型魔物は即死した。2人は知らないことだったが、即死した魔物は恐竜種の王魔種だった。ゴア・ドグマレロ・ゼロの戦闘力は下位の王魔種とは比べ物にならぬレベルにあった。真央は驚く。

 

「!? 仲間の魔物を殺した! いや、魔物同士で争うことは珍しくはない。ただ、今この状況でってのが何か不気味だね……」

 

「コスモが思うに恐らくコスモを狙う外敵と判断したから殺したのではないかと。なんとなくですがそう思うのです」

 

「あー……確かにそんな感じだね。何だろう。あの魔物の異常な執着は」

 

「コスモに聞かれても分かりません!」

 

「それはそう。ていうかどうする? 戦う!?」

 

「……そうですね。案外、戦ってみれば活路が開けたり」

 

 振り向いたコスモの鼻先をビーム光線が撫でた。

 

 コスモの鼻先から煙が出る。コスモはくるりと身を翻し、再び脱兎の構えを取る。

 

「無理です。多分、私たちでは叶いません。あの魔物強すぎです」

 

「そう? 接近すればギリギリ、ってそれはやっぱ危険か。どうしたもんかね……!」

 

「今は電波の赴くままに逃げます! なんとなく、今は逃走が正解な気がするのです!」

 

「そうだねー。接近戦主体の私たちとは相性がちょっと悪いね。いきなり現れて追ってくるんだから困るにゃー……!」

 

 2人は当初恐竜種の王魔種の討伐に赴いた。そこに、ゴア・ドグマレロ・ゼロが現れ、コスモを追いかけ始めたのだ。それからまともな対策も打てぬままひたすら逃げ続け今に至っている。コスモが呟く。

 

「コスモのときめきエネルギーの消耗が激しいです。そろそろ、何らかの対策を打たないとヤバイですね……」

 

「……一か八か戦ってみようか。案外何とかにゃるかもよ。私もコスモちゃんも強いんだ。案外接近できればポンコツかもしれないし、このまま逃げ回るよりは――」

 

 

 

運命占術(フェイトクラシック)運命宣託(ルートアルファ)流固相写(モード・レッド)

 

 

 

 それは2人がそんな会話を交わしている最中の出来事だった。

 

 

 

「星の巡りよ、確定せよ」

 

 

 

 

悪性反転麻薬水(バッドトリップウォーター)超抜電絶神経毒(パラケルスス)

 

 

 

 機械王ゴア・ドグマレロ・ゼロの頭上からキラキラと輝く水の束が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 ゴア・ドグマレロ・ゼロの体は超精密高密度の電地神経で練り上げられたマキナ・ネットワークで構成されており、あまりにも繊細な設計がなされていた。

 

 それ故、そのマキナ・ネットワークをズタズタに引き裂かれると、途端に機構が破綻し何もできなくなる。機能停止に堕ちる。機械種としてあまりに完成されたが故の弱点だった。王魔戦線時代。これと言って変哲のない普通の魔符士に後れを取ったのも、その弱点を突かれたからだった。

 

 さらに、不覚を取った原因としては、

 

「ミランダ・スー先輩……」

 

「おお、キララ助士……!」

 

 ミランダ・スーの存在にあった。木の上から降りてきたミランダ・スー、そして死水キララの2人に真央とコスモが駆け寄る。

 

「2人が組んでたとは、驚きです」

 

「何? あんたこの人の占い受けたことあったの?」

 

「まぁ、一度だけ。それより、いったい何が起こったんでしょうか。かつてコスモが喰らったような魔法がただ炸裂したにしては、どうにも効果が大きすぎるような気が……」

 

「あー、それは多分この先輩の魔法の補助のお陰。凄いんだよ。既定路線の未来。それを確定した未来へと補強する効果、だっけ。つまり、状態異常攻撃を確定させられちゃうの。凄いよね」

 

「それって、結構な万能魔法なのでは……」

 

 コスモの質問にミランダが答える。

 

「いえ、そうでもないです。星の巡りにない事象は確定させられませんから。だからとても限定的な力。でも。星の巡りに含まれる事象なら、結果をコントロールする力、と言い換えてもいいかもしれませんね。相手にとって最悪の未来を選んだり、ね」

 

「ミランダ先輩の魔法は相変わらずよく分かんないけど凄いにゃー」

 

 ミランダ・スーは首を横に振って沈痛な表情を作った。

 

「いえ、大した能力じゃありません。最悪、だけど最善の未来、そう言った未来は私の占いでも避けられません。結局起きることは起きてしまうし、それを防ぐ術はない。何故なら最善だから。……ほら、もうすぐ起きますよ」

 

「え?」

 

 ピッギュ、ルル。

 

 死に体のゴア・ドグマレロ・ゼロ。その瞳が僅かに発光し、

 

「アナ、ヒラ」

 

 コスモに真っすぐ向けられて、次の瞬間、電波を発して、

 

「――ピギュ」

 

「え?」

 

 

 

「ピギュルピ」

 

 

 

 

 

 

「――まって」

 

 

 

「止まって、コスモ、ちゃん……」

 

 

 

「ピギュ、ルピ……」

 

 血に染まった己の拳。それを見て、ようやく正気に戻る。そして、ときめきエネルギーがいつの間にか使い果たされていることに気づく。だからこそ、止まったのだろう。

 

「真央、せんぱ――」

 

 真央の腹は空洞になっていた。それは己の為した所業。他にも、周囲に魔符士の死体が転がっている。自分がやったらしい。それに気づいたコスモは、真央に謝ろうとし、そして、その刹那、

 

「ぴきゅ、る、ぴ――」

 

 ――ときめきエネルギーを完全に消耗し切り、コスモもまた死亡した。地面に倒れ伏したコスモの上に、真央もまた倒れ伏し、そのまま息を引き取った。

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