カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
同刻。玄咲とルディラは突如遠方で発生した極大の魔法攻撃の余波に戦慄していた。ルディラが戦々恐々玄咲に尋ねる。
「あれは、何でしょうか」
「おそらく、狂夜くんの魔法ではないかと。丁度満月ですから」
「満月? ああ、ウェアウルフでしたね。だとしても、ええ……? あれ程の魔法を放てるものなのですか……?」
「まぁ、放ててますから。あのモードになった狂夜くんは学年最強です」
「……あなたたちの学年、戦力がおかしくありませんか? あんな魔法私だって放てるかどうか」
「まぁ、一応金の世代と呼ばれていますからね――ルディラ先輩」
「はい」
玄咲が魔物を発見する。ルディラが対応する。亀種の大型魔物――王魔種。そいつを討滅するついでに襲われていた生徒を助ける。
「あっ」
「……ルディラ」
襲われていたのは水姫リサだった。どうやら魔物に敵わず殺されかけていた所らしい。リサは気まずさから口をつぐんで何も言わない。玄咲は無言で背を翻した。
「行きましょう」
「あ、はい。……それではリサ。お元気で」
「ッ! わ、私は、あっ」
ルディラと玄咲は別の戦場経へと走っていく。リサはその背に力なく手を伸ばし、そして項垂れて、呟いた。
「私は、私は……ただあなたと……」
「この洞窟、ですか」
明麗は単身、奈落と名付けられたダンジョンへと赴いていた。
「ライト・ウィング」
いつものように飛行魔法を発動し、大穴の中へと赴く。下る。下る。光の翼で闇を切り裂き降下し続ける。その途中、
「……魔物の、気配? これは、この大きさは」
明麗の視界の先。大穴の底の闇から何かが競り上がってくる。それは巨大な顔だった。競り上がり、明麗と対面し、
「我は究極の闇をもたらすもの。汝に死を与えん」
そう告げた。明麗はその名乗りから相手の正体を看破した。
それは明麗もよく知る魔物だった。王魔写真館に飾ってある。巨大な堕天使。後の世において小アイギスと呼ばれた魔物。
その名は堕天王サタン。
アイギスを除く王魔種の中で最強と呼ばれる王魔種だ。
「究極の闇をもたらすもの――堕天王サタン! まさか、それ程の魔物までもが――」
「汝に死を与えん」
「ッ!?」
闇の入り口のような大穴の底から手足も姿を現す。明麗は躊躇うことなく切り札を切る決意をした。
「この相手には全力を出す必要がありそうです。召喚――」
ランク9・光属性・エレメンタルカード。
「虹麗王天照」
闇の中に生まれた光が明麗の身を包む。
「ダークネス・エッジ!」
シャルナの振るったエンジェリック・ダガーが堕天使型の魔物――堕天使ダンタニアンの心臓部を穿つ。全身口だらけのその異形が瞬く間の邂逅で死体と化す。さらに身を翻し、シャルナは後方へとエンジェリック・ダガーを振るう。
「ミギョォオオオオオオオオオオオオオオ!」
後方から迫っていた太った体のあちこちから毒蛇を生やしている堕天使型の魔物――堕天使ポティスが毒蛇の群れごと黒い衝撃波に叩き斬られる。さらにシャルナは宙を舞い続ける。その度悲鳴が上がる。明麗仕込みの空中戦闘技術が今まさに花開いていた。
シャルナを誰も止められない。捉えられない。
「もう1、匹!」
「グサッ!」
強敵揃いの堕天使族の魔物が次々と屠られていく。
「ダークネス・レーザー・エッジ!」
「マギョッ!」
近寄ってきた堕天使族の魔物を遠間から斬り殺す。クロウはシャルナとまた別の場所で堕天使族の魔物と戦っていた。そして、今この戦場の中心であった。何事もなくこの場の魔物を殲滅しかける。その矢先。
「ッ!? この、気配――」
天に、美しき6枚2対12翼の翼が翻る。その持ち主は極点の美しさを身に纏っている。知っている。あまりにも有名なその堕天使の名前を知らないものなど、この学校にはいはしない。
「堕天使、ルシフェル……!」
「人間、如きが。図に乗るなよ」
ルシフェルが翼を広げ、そして羽ばたかせる。膨大な魔力が渦巻き、そして羽根型の魔力光となって地上に降り注いだ。