カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
堕天使ルシフェルとの戦いは熾烈を極めた。
「――戦闘術は眼を見張るがな」
宙に浮かび、戦場を一人睥睨するルシフェルが嘆息する。
「脆弱な人間の弱点というべきか。本人が弱すぎる。だから」
ルシフェルの左右に黒白の渦が巻く。そこから、無数の黒白の魔弾が飛び出した。
「くっ!」
裁き、躱し、いなし、しかしさばききれない攻撃が一発、クロウの肩を掠る。
「オーバーキュア!」
すぐに回復魔法が飛ぶ。それだけで即座に建て直しただ一発の被弾で攻撃を防いだクロウは見事だった。しかし、
「――魔力、切れてるぞ?」
「ちっ!」
舌打ち1つして最高級ポーションを一つ飲み干す。2本目。もうあとがない。そして、空を飛び、遠距離攻撃手段を持ち、本人自体もごく高い知性を有し隙の類を見つけられない、聖魔戦争において魔王サタンに次ぐ王魔種として名を馳せた伝説の王魔種ルシフェルの力は伊達ではなかった。ラグナロク・ウェポンでもぶっ放せれば。王魔種を恐れるあまり人類を滅ぼせる威力まで進化した古代兵器群を一瞬思い、そしてすぐに首を振って自嘲する。そんなものは今ここにない。あるものでやるしか――。
「ミギョォオオオオオオオオオオオオオオ!」
「っ!? 雑魚じゃねぇ奴がちょろちょろうぜぇな!」
異形の堕天使。全身から棘が生えた偉業と言うよりもはやオブジェとでもいうべき魔物堕天使ヴァッサゴが体から棘を飛ばしながら陸上選手も書くあるやという速度で両手を抱擁の形に広げて不格好のままただ脚力だけで速度を出している生物学な気持ち悪さを内包した動きで爆速で迫りくる。クロウはその魔物を刹那の交差で4つに叩き斬った。体に刻まれた十字に沿ってヴァッサゴは4つのブロックに等分され地に崩れ落ちた。しかし尚も速度は止まらない。そして死亡と共に棘が爆散する。クロウは舌打ちをして捌くも、
「ガッ!」
一撃、肩に被弾する。頭上では、一切の躊躇を知らぬ堕天使がクロウに再度攻撃を仕掛けていた。
「終わりだ」
「糞ッ! 糞ばばあーッ! てめぇ死んだら地獄に落としてやるから覚悟――」
――黒白の閃光が。
「――この魔力」
背後から迫りくる。ルシフェルは振り向きざま攻撃を放とうとして、
「同種、私と同じ? いや――!?」
「フッ!」
「――人と交わった穢れ血の亜人の出来損ないか!」
やめた。攻撃を魔力障壁に転化する。閃光の一撃は魔力障壁を貫くこと敵わなかった。しかし、即座に離脱し、それ以上の深追いはしない。ルシフェルは舌打ちをして地上を見下ろした。
「大丈夫、ですか」
地上に降り立ったシャルナ・エルフィンが背後のクロウにそう問う。クロウは即座に答えた。
「おいシャルナ」
「はい」
「俺のダークロウを使え」
クロウは見ていた。
その刹那の交錯を。ルシフェルの表情に一瞬混じった焦りを。
速度、戦闘技能では上回っている。攻撃を寸断させ防御行動を取らせる攻撃力がある。僅か1年のシャルナ・エルフィンが。あの最強クラスの王魔種相手に。
クロウは一筋の光明を見た。だからシャルナに即座に言った。
「おい、シャルナ」
「はい」
「俺のダークロウを使え」
「何で!?」
「お前ら30秒持たせろ! それくらいできるな!?」
「よ、余裕だ!」
「攻撃は届かねぇ。だが防御だけならなんとか……!」
攻撃が飛ぶ。その最中、クロウはオールリジェクトし、
「悪いが説明する暇はない。とにかく」
ダークロウをシャルナに託した。
「託したぞ。情けない教師ですまん」
「――はい! オールリジェクト!」
シャルナも即座に応え、エンジェリック・ダガーをクロウに預け、ダークロウに己の全てのカードをインサートした。
(……シャルナ、お前はもう俺より強い。信じられないだろうがな。魂成期の魔符士の能力はそれだけ圧倒的なんだよ。それにお前はあの生徒会長の訓練を受けた。補正値400台の速度域を知っている。なら、使いこなせるはずだ。ダークロウを。さぁ)
シャルナが己のカードをダークロウに装填し終える。そして、
「フュージョン・マジック――」
(天之が俺より強いと凄まじく情けない顔で零していたお前の実力を見せてみろ。シャルナ。今この場――)
詠唱する。
「
(お前が最強だ)
黒白の閃光が宙に解き放たれる。