カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第14話 ルディラの本気。そして……

「ぐ、おおおおおおおおおおおオ!」

 

「アクア・ハイプレッシャー!」

 

 ルディラはヘクターを圧していた。余裕ではない。楽勝ではない。しかし、一人で戦い、確かに優勢を保っていた。それはルディラの確かな成長、そしてポテンシャルの高さを示していた。

 

「なんだ、この魔力ハ。何故アイギスと同じ波動をしていル。一体何故」

 

「アクア・ハイプレッシャー!」

 

 ルディラは会話の間も持たず、また端から聞いておらず、ただひたすらに魔法を撃ち続ける。

 

「グオオオオオオオオ!」

 

 ヘクターは死廻術に特化し過ぎた魔導士だった。それ故、通常の魔法戦闘は苦手だ。興味もない。それでもルディラと曲がりなりにも渡り合えているのはヘクターの地力の異常な高さを物語っているが、それでも劣勢は劣勢だった。

 

 通常の魔法戦闘で勝ち目はない。 故にヘクターがいざという時に頼るはやはり死廻術であった。

 

「甦れ。死滅し魂どもよ」

 

 ヘクターが詠唱するとあちらこちから植物の魔物が復活し、ルディラに襲い掛かった。ルディラはその対応に追われる。

 

「くっ、アクア・ハイプレッシャー」

 

 範囲魔法で植物を叩き潰す。ルディラは強力な魔法を使えるが、ルディラ自信はあくまでか弱い存在でしかありえない。それも人並以下の運動神経に抗魔力というピーキーさ。一撃でも喰らえば負ける。そのような状況下故、対応が後手に回る。ヘクターはさらに植物の魔物を蘇らせる。四方八方から現れる植物魔物に翻弄されるルディラ。ある時、ルディラは撃ち漏らしをした。

 

「しまっ――」

 

 撃ち漏らした植物魔物がルディラに襲い掛かる。もう駄目か。そう思った矢先、背後から詠唱が響いた。

 

「フュージョン・マジック――」

 

「――リサ?」

 

儀礼反鏡水(オーバー・リチュアル)

 

 儀礼魔術。事前にセットしておいた魔法式と組み合わせて使うことにより通常の数倍の威力を放つ強力な魔術。背後から飛来した強力な水弾が植物魔物を撃退する。ルディラは突然の闖入者に驚き振り向く。

 

「リサ! どうしてここに」

 

「どうでもいいでしょ今そんなことはっ!」

 

 ルディラをずっと追跡しておりたった今追いついたリサは鋭く叫んだ。ルディラは確かにと思った。誤魔化された。さらにリサは告げる。

 

「私、本当はずっとあなたとただ仲良くなりたかった。だから、あなたに謝らないといけない。そのために」

 

「っ! リサ、後ろです!」

 

「えっ?」

 

 ルディラの叫びにリサが後ろを振り向く。するとそこには迫りくる植物型魔物。そして、

 

「ガッ!」

 

 リサは串刺しになった。鋭い植物の枝の先が血に塗れてリサの胸先から姿を見せている。

 

「きゃぁああああああああああああああ!」

 

 ルディラは叫んだ。そのルディラにリサは叱責する。

 

「ルディラッ!!!!!! 前を向きなさい!」

 

「ッ!」

 

 その声には叱咤の響き。全力のリサの叫びにルディラは瞳を揺らした。

 

「あなたも魔符士でしょっ!!!! なら、前を向いて、戦いなさい!!!!!! 全部、いつものように理不尽にぶっ潰してしまいなさい!」

 

「……はい」

 

 ルディラはもう振り向かない。背後で吐血音。おそらく、死んだ。でも、振り向かない。

 

 代わりに。

 

「フュージョン・マジック――」

 

 前を見る。

 

水泡奏砕銀(メルクリオ・プレッシャー)

 

 そして、ヘクターの展開した植物型魔物を水銀の魔法波動の衝撃で全滅させ、そしてヘクターをも吹き飛ばした。それは、今まで放ったルディラの魔法の中で最も威力の高い魔法だった。

 

 

 

 

(この感じ、ランクが上がりましたね……それに、感情の高ぶりも加味されてますか……)

 

 フュージョン・マジックを先ほど放った時はヘクターを仕留めきれなかった。それが今回の一撃は決定打になったのは、ランクアップに、感情の昂揚による魔力出力の強化のお陰だろうなとルディラは推測する。注意深くヘクターの動きを見ながらポーションを飲んで魔力回復をしていると、聞きなれた声が横から飛んだ。

 

「ルディラ先輩」

 

「! クロ!」

 

 やっぱりクロ――玄咲は勝って帰ってきた。そしてまた己も。ルディラはやや胸を張って玄咲を迎えた。そして同時に、

 

「玄咲!」

 

「ッ! シャル!」

 

 シャルナ・エルフィンもまたこの場に翼を翻し降り立った。同時、玄咲のテンションが明らかに高くなる。ルディラは憮然とした表情で玄咲に声かけようとしたその矢先、

 

「ク、ククク……」

 

「ッ! アクア・メガボール!」

 

 ドガァアン!

 

 ルディラの放った魔法がヘクターに直撃する。ヘクターは死に掛けながらも、笑いを止めない。そして言った。

 

「もう、遅イ。私は時間稼ぎさえしてれば良かっタ。やられるのは計算外だガ、まぁ復活の方は間に合っタ。ギリギリ、ナ。フフ、夜中に移動しておいテ本当に良かっタ。まさかあの堕天王サタンまでやられるとは、ナ――」

 

「? 何を言っているのですか? 復活? 一体――」

 

 

「ルディラ先輩ッ! 早く地下に魔法を放ってください! 早く!」

 

 

 玄咲は叫んだ。もう間に合わないかもしれない。ゲームではヘクターはこの地下で王魔種の復活の研究をしていた。それを阻止するために大空ライトくんはヘクターと戦った。もし、ヘクターがこの場所で同じ研究をしていたとしたら。今から復活するのはおそらく、いや、確実に――。

 

「王魔王アイギスが復活する前に早く!」

 

 アイギスだろう。ルディラは慌てて反応し、地面にADを向けた。

 

「アクア・ハイプレッシャー!」

 

「もう――遅――イ」

 

 満足げなヘクターの声。事切れる。ルディラが魔法を放つ。そして――。

 

 

 

 

 

 

「――ようやく俺様の復活か。よくやったヘクター。褒めてやる」

 

 魔力煙を破り、地下から、声がした。

 

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