カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第15話 アイギス復活

 王魔王アイギス。

 

 王魔種の王の名を授けられた、種族不明の魔物。魔物離れした高い知能と全ての王魔種で最高と言われる魔力を持ち、そして何より醜悪で矮小な性格をした、誰もが口を揃える史上最強の魔物だ。

 

 そして、その姿は――。

 

 

 

 

「――美しい」

 

 ルディラの声だ。アイギスを見た第一声がそれだった。アイギスは人並外れた美貌を持つ人型をした魔物だった。魔物と言われなければ人間だと信じてもおかしくない。そして、超常の美貌の持ち主だった。

 

 ただし、その背から無数に生える巨大な白い蛇のような頭のついた触手の醜悪な見た目が、その美貌の印象を大きく変じさせている。異形の化け物。一言でそう言い切れはしないが、外観の印象を総じるとそういう感想に落ち着く。やはり、人の領分に収まる見た目ではない。その美も、異形部分も。

 

 そして、アイギスは裸だった。真白の肌。長い白髪。凝縮された魔力の影響により常にゆらゆらと漂っている。顔は完璧に近い美貌だが、その内面の醜悪さにより各パーツが微妙に歪んでおり、美しさと同時にそれ以上の怖さを見るものに与える。魔物の王たる風情がその風貌には十分に満ちていた。恐怖。そう。美しいのに見るものに恐怖を与える姿。それこそがアイギス。王魔王と呼ばれた魔物の姿だった。

 

 ルディラが口をパクパクさせる。完全にアイギスのオーラに圧倒されている。恐怖に乱された感情がその髪の毛をざわざわと揺らめかせる。まるでアイギスのように。シャルナも完全に圧倒されている。

 

(やばい。こいつはやばい。今まで見たどんな敵よりもヤバイ。早く)

 

 玄咲も流石に圧されていたが、それでも即座にポケットから一枚のカードを取り出し、冷静に今取り得る最善の行動を取る

 

「武装解放――ディアボロス・ブレイカー」

 

(バエルを最大出力で召喚しないと)

 

 

 ()()()()()()()()()

 

 

「ッ! なんだそのADはぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 アイギスの背後の触手が一本閃いた。次の瞬間。

 

「ガッ!」

 

 玄咲の手首が飛んだ。

 

 それは最悪なことにSDを巻いた手首だった。

 

 バエルのカードをもろともに飛ばされた。もうバエルを召喚することすら敵わない。次の攻撃が来る前に玄咲は辛うじて詠唱する。

 

「召喚――夢幻牢メリー!」

 

 シュヴァルツ・ブリンガーにインサートしていた最強の防御手段を。一時凌ぎと分かっていながら。

 

「あ? なんだこのガキ。この防壁。なんで俺様に壊せねぇ。壊れろよこの糞がぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

「ひ、ひぃいいいいいいいいいいいいいいいなのぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

 メリーは触手の乱撃とアイギスの恐ろしいオーラにこれまでで最大の悲鳴を上げながらもしっかりと防御壁を貼ってくれている。その間に玄咲はポケットから一枚のカードを取り出し、

 

「玄咲、大丈夫!?」

 

「ああ。すまないが、カードを入れ替えてくれ。回復魔法を使う」

 

 痛みに顔をしかめながらシャルナに頼む。シャルナは頷き、即座に動いた。

 

「うん! せっかくだからこのダークロウにインサートするね!」

 

「? なんで教官のADを――いや、今はどうでもいいか。ありがとう。ダークネス・ヒール」

 

 ギュイン!

 

 一発で手首が生える。だが、まだ傷が残っている。2発目。その傷も完全に癒える。あっという間の完全再生。補正値400の出鱈目な効力にやや驚きながら、玄咲は顔を青くしたまま、唸る。

 

「最悪だ――バエルのカードを飛ばされた。今の俺たちじゃどうしようもない」

 

「ど、どうしますクロ!? 流石に私にも分かります。あの敵には、勝てない」

 

「そうだな……一か八か賭けに出るしかない。先輩」

 

「はい」

 

「メリーの防御壁が切れる前に合図をしたら最大出力の攻撃をしてください。一応俺も援護射撃をする。シャル」

 

「はい」

 

「その間にダークネス・エルフィンでバエルのカードとディアボロス・ブレイカーを回収しに行ってくれ。それしか手はないと思う」

 

「……うん。分かった」

 

「賭けになりますね。それも、生死を掛けた物凄く危険な賭け。でも、それしかないようですね」

 

「げ、玄咲。早くどうにかするの。メリーの精神が持たないの。あんな敵聞いて無いのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

「すまない。メリー。……よし。合図をしたらまずルディラ先輩が攻撃をして――」

 

 玄咲たちが作戦行動に出ようとしたその時。

 

 視界の端にチラリと白い光が瞬いた。かと思えばその光はあっという間に縮尺を縮め、人の輪郭を取り、

 

「――待たせましたね。天之くんたち。後は、」

 

 そして、玄咲たちの前に降り立った。触手をその手に握るADで纏めて撫で切りにしながら。アイギスが悲鳴を上げる。

 

「ぐぉおおおおおおおおおお! 痛ぇえ! 糞、何もんだ!」

 

「天之明麗。ラグナロク学園生徒会長。そして」

 

 アイギスが触手を当たり前のように再生する。しかし苦痛に歪んだ表情をするアイギスに、己のAD偽天照覧奉麗泰明剣(ぎてんしょうらんほうらいたいめいけん)大禍津切之命(おおまがつぎりのみこと)を向けて明麗は宣言した。

 

「あなたを討滅する者の名前です」

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