カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第16話 天之明麗

 天之明麗。

 

 レベル99。

 

 天使。

 

 ラグナロク学園の生徒会長。

 

 そして、世界最強(マギサを除く)の魔符士の一人に数えられる規格外の魔符士である。

 

 

 

 

 

 

「玄咲」

 

「ああ」

 

「会長が、来た。これで、成功率、上がったね」

 

「え? ああ。そうだな」

 

「ちょっと待ってください。会長の姿あれ何ですか? 何を纏っているんですか?」

 

「ああ。あれは精霊神装です」

 

「精霊神装?」

 

「はい。ランク9の精霊虹麗王天照の装備形態です」

 

 

 天之明麗は精霊神装を身に纏っていた。

 

 それはディライダーとはまた異なる装着型の精霊。明麗は今流麗なラインを描く光の装甲を纏った状態にあった。体の各部を覆い、魔力的にも超強化するメカ少女じみた形態をしている。それはゲームでも明麗の切り札だった。精霊装着状態。EP1という低燃費で使え全ステータスを7倍にするという規格外のバフ効果を塗布する最強クラスの精霊の1体だった。バエルには及ばずとも、ゲーム的には精霊神とも互角にやり合える強性能の精霊。それが虹麗王天照という精霊で、今明麗が纏っている精霊だった。

 

 精霊神装を纏った明麗が、補正値400のADを構えて、さらに詠唱する。

 

 ランク10・光属性・剣魔法

 

「デステニー・ソード」

 

 ――それはかつて玄咲が勇者ADを使って発動した魔法など児戯に思えるほどの圧倒的な魔力密度の魔法であった。アイギスが震える指で明麗のADから立ち上る光の剣を指差す。

 

「おい、何だその魔法。知らねぇぞ。あのカーンの野郎の魔法よりやべぇじゃねぇか。おい、ちょっと待て。ちょっと待てよ……」

 

「待ちません。今ここで――殺す」

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 アイギスが触手を振るう。それは先ほど玄咲に振るった触手よりも尚速い速度で明麗に振るわれた。一瞬の後、光の煌めきが剣閃の跡を残光として残し、

 

「――遅い」

 

 アイギスの職種は明禮に届くことなく全て一撃でデステニー・ソードにより容易く切り落とされた。

 

 

 

「凄い……」

 

 シャルナが呟く。凄い。まさしく凄いとしか言いようがない光景だった。明麗の背には光の奔流のような白き光の翼が生えている。その正体はフュージョン・マジック【光翼晴蒼天翔白刃(スカイブルー・ライトウィング)】)。シャルナの白夜幻創天照白刃(ダークネス・エルフィン)と同系統の空中戦闘用魔法。ただし、使われているカードのランクが軒並み高く、シャルナの白夜幻創天照白刃(ダークネス・エルフィン)の比でない出力を誇る。その魔法を使ってここまで来たらしい。なので、戦闘開始時からずっとフュージョン・マジックも発動している状態にあり、さらにランク10の攻撃魔法と精霊カードの強化。5スロットフルに使って戦う最強形態が今の明麗の姿。その戦闘力は人の域を超え、王魔種如き雑魚とも比べ物にならぬ域に達している。そう。

 

 あの王魔王アイギスと互角以上に戦える程に。シャルナが呟く。

 

「あれ、一度だけ見せてくれた。ああなると、もう戦闘とかじゃなくなっちゃうの。ただ瞬殺されるだけで、戦いにもならなかった」

 

「あ、ああ。本当に凄い。今の明麗先輩は――っと」

 

 玄咲は口を噤んだ。本来知ってはならないことを言いかけたからだ。明麗のステータスは普通はマックスが10の所オール20の規格外。そして勇者カーンのステータスはオール100。5倍の差がある。(ちなみにルディラは魔力だけ100で他が1というピーキーなステータスをしている)。だが、虹麗王天照の効果で今の明麗のステータスはゲーム基準なら7倍のオール140に達し、勇者カーンを越えている。それに加えて当時の基準を遥かに凌駕する補正値400のAD偽天照覧奉麗泰明剣(ぎてんしょうらんほうらいたいめいけん)大禍津切之命(おおまがつぎりのみこと)の存在。さらにやはり当時の基準を遥かに凌駕する技術で作られたランク10のカードデステニー・ソードの存在。その3つを加味した時、明麗の強さはもはや勇者カーンを凌駕する域にあることを玄咲だけは知っていた。もちろんカーンにも光の精霊神というチート精霊がついてるので単純に強さ比較はできないが、素のスペックで今の明麗が上回っていることは間違いなかった。

 

 それは、防戦一方のアイギスの姿からも見て取れる。アイギスは情けない程に明麗に圧倒されていた。

 

「ぐ、おお。そんな馬鹿な。この時代にあのクソガキ以上の存在なんている訳がない。アベルといい、あんなチートみたいな存在が2人といるはずないんだ。それなのに、なのに、なんだそのADは! カードは! 精霊は! 俺にちっとは無双させろよォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

「あなたが無双したらそれだけで死者が出る。だから、何もさせずに終わらせます。それが私の役目!」

 

「糞!」

 

「逃がさない!」

 

 アイギスは空に飛んだ。膨大な魔力の持ち主であるアイギスは魔力操作の応用で短時間なら空を飛ぶことさえできた。しかし、それは握手だった。

 

 空は地上以上の相性を誇る明麗のフィールド。そこに逃げ込んだ時点でアイギスは詰んでいた。

 

「――見えますか。この地に広がる景色が」

 

 戦いの最中、最後に明麗はアイギスに語り掛けた。アイギスは高空より地に一瞥を向ける。

 

「あ? ――何だ、これは」

 

 ――そこには各地にて倒れ伏し死体を晒す王魔種たちの姿があった。かつて世界を蹂躙した数ある王魔種の中でもトップクラスに強力な王魔種の姿さえそこにはあった。それらが、この短時間に、ほぼ全て殺されている。まさか、あの13神までやられたのではないか――そんなことさえ考えるアイギスに、明麗は語る。

 

「人間は進化しました。それはかつてのあの時代の惨劇を繰り返さないため。そして、その進化の軌跡がこの死体たちです。もはやあなたたち王魔種は人類の脅威ではなくなったのです」

 

「そんな、馬鹿な。俺様が、俺様の配下たちが、こんな馬鹿な――!」

 

「遠慮なく時代の塵に還りなさい。アイギス。かつて最強だった魔物よ」

 

「そんな馬鹿なぁああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 明麗が剣を光速で振るう。アイギスの体に無数の剣閃が刻まれる。それが最後の攻撃だった。

 

 アイギスの体がバラバラになって地に堕ちていく。明麗はフッと息を吐き玄咲たちの下へと降り立っていく。

 

「……作戦、いらなかったね」

 

「ああ……」

 

「相変わらず化け物ですね。会長は……」

 

 呆然と天上を見上げる3人の下に、明麗はいつもの笑顔で手を振って勝利の凱旋を行った。

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