カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
その後は残った王魔種を討滅して、死体となった生徒たちを学院総出で探し集める作業が待っていた。
教師はもちろん生徒たちも駆り出され、全てが終わった頃には誰もが憔悴しきり、その日はみな泥のように眠った。
マギサは翌日大満足な様子を見せてこの試験が無事全員合格――つまり全員生存となった旨を告げた。あれだけの乱戦を繰り広げた後にしてはいっそ奇跡的な数字であるが、それを喜ぶ余裕のある生徒は一部だけだった。そんなことより早く帰りたい。そんな考えが多くの生徒の胸の内を締めていた。
そして、試験終了から1日の休息期間を置いて、ラグナロク学園の生徒たちは行きと同じくカードトレインで学園に帰る運びとなった。
【カードトレイン】
「今回の試験は本当もう帰ってこれないんじゃないかと思ったねー」
カードトレインでの帰校中。行きと同じくキララ、雫と向かい合わせの席になった玄咲とシャルナは、キララの言葉に深々と頷いた。
「ああ。アイギスが現れた時はもう駄目かもしれないと本気で思った」
「うん。一か八か、賭けに出るしか、ない所だったね……会長が、いなかったら、どうなってたか、分からないね」
「ああ。本当に会長様様だった。流石ラグナロク学園の頂点に立つ生徒会長だと思ったよ……」
「ふーん、そんな凄かったんだー。キララちゃんの所も大変だったけど、流石に天之くん達には負けるなー。あ、ドロミテチップスくださーい」
行きと同じくドロミテチップスを4人で齧りながら、今度は話題が雫へと向かう。
「そういや雫、あんた何してたの?」
「え? うーん……私、水姫リサって先輩と組んだんだけど、独断行動が酷くてね。結局一人で生存競争繰り広げてる機会の方が多かったかな。良く生きて帰ったなって自分でも思う」
「えっ」
水姫リサのパートナーは水名月雫だったらしい。驚く玄咲の前、キララも感嘆の息をつく。
「はー……あんたってやっぱ妙にスペック高いよね。よくあの状況で一人で立ち回れたよね」
「そりゃ、死に物狂いだったけど意外と何とかなったっていうか、ほら、私もラグナロクが学園の1年生の中では上澄みの方じゃない? それくらいできるよ」
「ほーん……やっぱたくましいわ、あんた」
キララは雫に関する話題をそれで締めた。また、話題は別の生徒に移り変わる。
「あ、そう言えば知ってる? さとしの奴、王魔種の討伐に大活躍したらしいよ。詳しいことは知らないけど、試験前張り切ってただけのことはあるよ。あ、ほら、あそこで自分でも喧伝してる」
「そうか。さとしもか。……多分、例年に比べて相当優秀なんだろうな。俺たちの学年は」
それはゲームと比べても、という意味も籠っている。ゲーム時点でのさとしではおそらく王魔種相手に健闘を繰り広げるなどできなかったはずだ。その言葉の含みには当然ながら誰も気づかず、しかし玄咲の言葉には3人ともが同意した。
「そだねー……司くんとかクゥちゃんとか殆ど一人で討伐したらしいからね。本当、凄まじいやうちの学年」
「私も、頑張った」
「ああ。シャルナも大活躍だったらしいな。凄い凄い」
「えへへ」
「……嬉しそうだねー。にしても、本当、何事もなく帰って来れてよかったよ」
「そうだねー……本当」
地平成の彼方。大荒れに荒れたドロミテ大樹海の緑から視線を外し、太陽が昇るラグナロク学園のある方角を窓越しに見やりながら、雫は嘆息して笑みを浮かべた。
「何事もなく、無事に帰って来れてよかったよ。ラグナロク学園に」