カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

322 / 322
エピローグ1 帰還

 その後は残った王魔種を討滅して、死体となった生徒たちを学院総出で探し集める作業が待っていた。

 

 教師はもちろん生徒たちも駆り出され、全てが終わった頃には誰もが憔悴しきり、その日はみな泥のように眠った。

 

 マギサは翌日大満足な様子を見せてこの試験が無事全員合格――つまり全員生存となった旨を告げた。あれだけの乱戦を繰り広げた後にしてはいっそ奇跡的な数字であるが、それを喜ぶ余裕のある生徒は一部だけだった。そんなことより早く帰りたい。そんな考えが多くの生徒の胸の内を締めていた。

 

 そして、試験終了から1日の休息期間を置いて、ラグナロク学園の生徒たちは行きと同じくカードトレインで学園に帰る運びとなった。

 

 

 

 

 

【カードトレイン】

 

「今回の試験は本当もう帰ってこれないんじゃないかと思ったねー」

 

 カードトレインでの帰校中。行きと同じくキララ、雫と向かい合わせの席になった玄咲とシャルナは、キララの言葉に深々と頷いた。

 

「ああ。アイギスが現れた時はもう駄目かもしれないと本気で思った」

 

「うん。一か八か、賭けに出るしか、ない所だったね……会長が、いなかったら、どうなってたか、分からないね」

 

「ああ。本当に会長様様だった。流石ラグナロク学園の頂点に立つ生徒会長だと思ったよ……」

 

「ふーん、そんな凄かったんだー。キララちゃんの所も大変だったけど、流石に天之くん達には負けるなー。あ、ドロミテチップスくださーい」

 

 行きと同じくドロミテチップスを4人で齧りながら、今度は話題が雫へと向かう。

 

「そういや雫、あんた何してたの?」

 

「え? うーん……私、水姫リサって先輩と組んだんだけど、独断行動が酷くてね。結局一人で生存競争繰り広げてる機会の方が多かったかな。良く生きて帰ったなって自分でも思う」

 

「えっ」

 

 水姫リサのパートナーは水名月雫だったらしい。驚く玄咲の前、キララも感嘆の息をつく。

 

「はー……あんたってやっぱ妙にスペック高いよね。よくあの状況で一人で立ち回れたよね」

 

「そりゃ、死に物狂いだったけど意外と何とかなったっていうか、ほら、私もラグナロクが学園の1年生の中では上澄みの方じゃない? それくらいできるよ」

 

「ほーん……やっぱたくましいわ、あんた」

 

 キララは雫に関する話題をそれで締めた。また、話題は別の生徒に移り変わる。

 

「あ、そう言えば知ってる? さとしの奴、王魔種の討伐に大活躍したらしいよ。詳しいことは知らないけど、試験前張り切ってただけのことはあるよ。あ、ほら、あそこで自分でも喧伝してる」

 

「そうか。さとしもか。……多分、例年に比べて相当優秀なんだろうな。俺たちの学年は」

 

 それはゲームと比べても、という意味も籠っている。ゲーム時点でのさとしではおそらく王魔種相手に健闘を繰り広げるなどできなかったはずだ。その言葉の含みには当然ながら誰も気づかず、しかし玄咲の言葉には3人ともが同意した。

 

「そだねー……司くんとかクゥちゃんとか殆ど一人で討伐したらしいからね。本当、凄まじいやうちの学年」

 

「私も、頑張った」

 

「ああ。シャルナも大活躍だったらしいな。凄い凄い」

 

「えへへ」

 

「……嬉しそうだねー。にしても、本当、何事もなく帰って来れてよかったよ」

 

「そうだねー……本当」

 

 地平成の彼方。大荒れに荒れたドロミテ大樹海の緑から視線を外し、太陽が昇るラグナロク学園のある方角を窓越しに見やりながら、雫は嘆息して笑みを浮かべた。

 

「何事もなく、無事に帰って来れてよかったよ。ラグナロク学園に」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

スキルレベルしか上がらない一般身体能力学生が迷宮に挑んだら(作者:石田フビト)(オリジナル現代/冒険・バトル)

迷宮という存在が当たり前となった現代社会で、冒険者になろうとしている青年がいた。▼何か高尚な理由があったわけではない。▼ただ生きるためには、母を楽にさせるためには金が必要だった。▼されど一攫千金も莫大な名誉も求めずに。▼永遠と続く薬代を稼ぐことだけを希望として。▼その青年は一人、迷宮へと足を踏み入れる。▼……はずが、何故か個性的な女性達と関わり合い、彼自身も…


総合評価:2107/評価:8/連載:47話/更新日時:2026年08月10日(月) 21:12 小説情報

ソル&ヴァルキリー:かませ騎士に転生した俺、破滅回避のため落ちこぼれヒロインを育成していたらいつの間にか天才と呼ばれてしまう(作者:マテリ-AL)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

全51話・約32万字/完結済み▼毎日20:18更新▼『ソル&ヴァルキリー 』。神の代弁者・魂導者(ソル)となり、戦乙女(ヴァルキリー)を空へ育て導くヒロイン育成系学園RPG。▼これは、そんなゲームの世界で、▼「戦乙女という空を飛べて広範囲殲滅魔法を使える存在がいるのに、騎士になる意味はあるのか……?」▼と考えてしまい、魂導者となったやられ役のかませ騎士、ルシ…


総合評価:6469/評価:8.45/完結:52話/更新日時:2026年05月09日(土) 10:18 小説情報

【一巻発売中】たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚(作者:いらえ丸)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 KADOKAWA様より、本作の書籍版一巻が発売されました。▼ 書籍版には大量の加筆とウェブ版にない新章がございます。よろしくお願いします。▼新題:たのしい異世界ハクスラ生活、あるいは超紳士的英雄譚▼旧題:ロリコンと奴隷少女の楽しい異世界ハクスラ生活▼ 異世界でロリハーレム作る。▼ そんなロリコンの夢、叶えます。▼※注意▼ 旧タイトルの通り、本作にはロリコン…


総合評価:48286/評価:9.13/連載:340話/更新日時:2026年08月22日(土) 21:00 小説情報

くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト(作者:土縁屋)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

わたし、華亥ムラクモ♡ 自分語りが大好きな、どこにでもいる普通の女の子♡▼魔法少女として世界の平和を護ってたんだけど、やっと平和になったと思ったら異世界追放!? 許せムラクモ……これもお前が強すぎるが故だぜ……なんつって。▼飛ばされた先は剣と魔法のファンタジー世界。だってのになんだか近代的なの。下手すりゃわたしの世界より文明的なんじゃない? 夢こわれる。▼そ…


総合評価:1192/評価:8.12/連載:65話/更新日時:2026年08月23日(日) 18:00 小説情報

転生先が悪逆非道の血みどろ騎士モンスターで詰んだ男、過酷な迷宮で救いを見つける(作者:飛び回る蜂)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼ 異次元地下迷宮『ダイダロス』。その地下深くに転生してしまった哀れな青年。▼ 『血みどろ甲冑』と呼ばれるモンスターとなってしまった男はダンジョンを彷徨う。▼ まともな食事もとれない、モンスターだらけで会話もできない、死体だらけのダンジョン薄暗いダンジョン。▼ 長い時間をかけてさまよい続け、やがて希望を見つける。▼ モンスターと人、その狭間に生きる男は今日も…


総合評価:9573/評価:8.54/連載:82話/更新日時:2026年07月10日(金) 20:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>