カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
3日間の休日を挟んで数日後の登校日。
校門を少し過ぎた場所、入学式で噴水が上がっていた場所にて。
「やっと、帰って、きたね」
「ああ。やっとだ。今回の試験は流石に帰ってこれないんじゃないかと思った瞬間が何回かあったな」
「うんうん。あのアイギスって、魔物と、遭遇した時、とかね。それとポイントも、大量に手に入って、良かった」
「ああ。もうポイントが尽きかけてたからここで大量補給出来てよかったよ。王魔種がSSSランクに数えられたことでちょっとポイントのインフレし過ぎた感もあるがな。1体1000万ポイントだからな。ルールでパートナーと2分しても相当な量だ」
「そだねー……あっ」
いつものように玄咲と登校していたシャルナは、見慣れた後姿を発見し声をかけた。
「クララ先生。おはよう、ございます」
「あら、玄咲君、にシャルナちゃん。おはよう」
「おはようございます」
3人で談笑しながら歩く。話題はもちろん、3日前の魔獣退治試験の顛末だった。
「まさか、他国にまで知れ渡るニュースになるなんてね。ラグマで売ってる新聞にも載ってたわよ。王魔種復活もラグナロク学園によるその野望は阻止されるって。まぁ、冷静に考えたらニュースにならない訳ないわよねー」
「はい。王魔種というかあのアイギスまで復活しましたからね。本当、何事もなく収まって良かった。」
「本当、無事に帰って来られたのは、奇跡、だねー……今回は本当に、死ぬかと、思いました」
「う、うん。その気持ちは凄くよく分かるわ。私も最前線で戦ってたけど死ぬ思いだった……職員会議でもやり過ぎだって声が絶えなかったわよ。学園長はいつも通り平然としてたけどね……やっぱあの人凄いわ、色々と」
「あはは……でも」
苦笑の後、シャルナは万感の思いを籠めて、快晴の空を見ながら、呟いた。
「帰って、来れましたね。やっと。ラグナロク学園に」
「ああ。もう体感時間としては半年以上、というと言い過ぎかもしれないが、とにかく尋常じゃなく長い時間が経った気がする。本当に、ズタボロでも帰って来れて良かった」
「そうね……長い時間が経った気がするわね……でも」
クララはドキリとするような笑みを浮かべて、玄咲に、そしてシャルナに、一連の出来事を締めくくる言葉を返した。
「――ラグナロク学園に帰って来れて本当に良かったわね!」
【勇者国ミストブレイブ】
勇者国ミストブレイブ。天下一符闘会の出場国にしてプレイアズ王国の数少ない同盟国の一つ。その国の頂点に位置する神皇レイラは神皇室にてその手に新聞を持ちながら、その部屋にいるもう一人の人間に話しかける。
「王魔王アイギスの復活――予言が当たったわね。リーン」
「はい。本来なら僕が討伐する使命を帯びていたのですが、かの国のラグナロク学園の生徒会長がその場にいたとなれば、私の代わりに討伐したとしても何らおかしくはないでしょう」
「そうですね……頼もしい限りです。彼女は。勇者の血を継ぐあなたをしてそこまで言わしめるとは。彼女もまたイレギュラーということでしょうか」
「そうですね。エルロード聖国打倒においては欠かせない戦力の一人と思います」
「ふふ、あなたもそう思いますか。リーン・スパーク」
「ええ。ただ、レベル100に至っていないことだけが気がかりです。エルロード聖国の第一使徒やマナディックの修験者等、レベル100に至りし者は皆化け物揃いですから。もちろん僕も含めて。今のこの世界においては本当に恐ろしいのは魔物ではなく他国の魔符士――それこそ、かのマギサ・オロロージオ有するプレイアズ王国がその威圧だけで長年国を存続させてきた時期があるように、ね」
リーン・スパーク――かの勇者カーン・スパークの血を継ぐ存在である勇者国の切り札にして、レベル100に至りし存在は面白そうに新聞の記事を眺める。
「王魔王アイギスもやはり今の世に置いては危機ではなかった、か。やはり、符闘会こそが各国の武の頂点が集まる規格外の祭典。今のこの世界において最も警戒すべきは他国の魔符士、ですね」
「はい。リーン・スパーク。あなたにも期待していますよ。必ず今度の符闘会優勝して、エルロード聖国の野望を挫くのです」
「御意に。まぁ、チーム戦なので僕だけの力で優勝とは行かないのが苦い所ですがね、出るからには全勝しますよ。誰が相手でも、ね」
金髪の美貌の青年リーンは、その秀麗な顔に決意を宿して、レイナに深く重々しく頷いた。