カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
「カー、ド?」
シャルナが呟く。玄咲は頷いて、祠に飾られたカードを手に取った。
「ああ。このカードこそが」
そして玄咲はカードに刻まれた名前を読み上げた。
創造神フェルディナ
「創造神フェルディナのエレメンタルカードだ。良かった。ゲーム通りこの祠に祭られてて」
「これもゲーム通り、なの?」
「ああ。CMAのターニングポイントになるイベントだ。ここでCMAの世界観が大きく明かされ少しずつ物語がシリアスになっていくんだ。……早速だが召喚するぞ」
「あ、うん。召喚、するんだ……」
「ああ。当然だ。と、その前に」
玄咲は己のSDにチラと視線を落とし、詠唱した。
「簡易召喚――悪魔神バエル」
「!!?」
シャルナがギョッとする。玄咲の隣に極黒の美少女悪魔神バエルが簡易召喚される。もちろんシャルナには見えない。しかし、その存在感はバッチリと伝わっている。バエルがチラとシャルナを一瞥するも特に何か言及することもなく、いつもより少しシリアスな表情で告げる。
「そっか。とうとうここに来たのね。あのポンコツ神が引き籠るこの外界から隔絶された祠に」
「ああ。バエルにとっても感慨深い場所だろう。そしてこれがフェルディナ神のカードだ」
「そっか。じゃ、早速呼び出しましょうか。あのポンコツのニート神を」
「ニート神――まぁ、プレイヤーからそう呼ばれていたのは間違ってないんだが、まぁともかく召喚するとするか。いくぞ」
「う、うん。ドキドキ……」
シャルナがドキドキと口にする。玄咲は一息呼吸を挟んで、それから詠唱した。
「召喚――創造神フェルディナ」
極光がカードから迸った。
光が止んだ時、祠の前には一人の少女が蹲っていた。
「ぐす、ぐす、な、何よ。なんなのよこの状況は……」
少女は絶世の美貌をしていた。肩越しに届く程のやや癖っ気のある銀髪。星のような煌めきを嵌め込んだ瞳。美しいラインを描く鼻梁。小さな唇。細やかな顎。そして、その身には白と紺色のドレスを纏い、さらにその上から黒色の小さなマントのような生地を羽織っている。美しいが、どこか見てて不安になる、しかし確かに美しい、そんな少女だった。
そんな美少女が小さく震えながら丸まっている。状況が分かっていないようだった。そして、無暗にビクビクとしていた。
「え、え? 何なの? この状況は。一体、どういう」
「……」
・あ、あなたがフェルディナ神、ですか
・なんでそんなオドオドしてるの? 病気?
ゲームで出現した選択肢が脳裏に投影される。玄咲はもちろん無難な選択肢を選んだ。
「あ、あなたがフェルディナ神、ですか?」
フェルディナ神は何故かビクッとしながら答えた。
「ひっく。そ、そうよ。私はフェルディナ、だけど。神じゃ、ないわ……」
「……俺の名前は天之玄咲。あなたを召喚したものです」
玄咲は丁寧にゲームの会話をなぞりながら会話する。フェルディナはビクっとしながらも玄咲の言葉に劇的な反応をした。
「あなたが私を召喚した? ってことは、あなたは私の子供―ってこと?」
「はい。俺が召喚しました。子供、というのはちょっとよく分かりませんが……」
「――」
フェルディナと玄咲は見つめ合った。星を嵌め込んだように綺麗な瞳が揺れる。そして。
「……本当に、会えた……」
その瞳から、ツー、と涙が流れ落ちた。