カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第5話 フェルディナの昔話

「改めまして。私はフェルディナ。かつて創造神と呼ばれたものよ。……バエル。そこにいるわね」

 

 フェルディナの改めての自己紹介。その終りに付け足された言葉にバエルは反応して、

 

「ええ。いるわ。といっても見えも聞こえもしないでしょうけどね」

 

 玄咲にのみ聞こえる声でそう言った。フェルディナはまるで聞こえているかのように頷いた。

 

「そうね。何も見えないし聞こえない。でも感じるわ。バエル。あなたの思念を……えっ?」

 

 そこでフェルディナはようやく気付いた、と言わんばかりの表情でバエルがいる場所を指差した。

 

「バエル、あなたは人間を絶滅させようとした罪で10000年間の封印の刑に処したはず。え? 何でここにいるの? え? え?」

 

「……」

 

 唐突に開示された封印の理由に絶句するシャルナ。玄咲もノーコメント。その横でバエルが得意気な顔をする。

 

「ふふん。驚いてるようね。玄咲。説明してあげなさい」

 

「あ、ああ」

 

 玄咲は自分とバエルの事情を一通りフェルディナに語った。

 

「……。…………。えぇ……そんなことある? え、いや、でも、うーん……」

 

「すべて真実です。この悪魔神バエルのカードが全ての証拠です」

 

「うーん……そうね。そうよね。そんな事情でもなければ私の最高傑作のクロノスの封印を破るなんてできるはずないものね。信じるわ。あなたの言うことを。何より嘘の気配がないもの」

 

「ありがとうございます。……あの、バエルは何故人間を滅ぼそうとしたりしたのですか?」

 

 玄咲は恐る恐る質問をした。気になって仕方がない理由。その答えを、フェルディナは当然のように持ち合わせていた。

 

「私の産み出した人間が見るに堪えない出来損ないで未来に大きな禍いを起こすのが目に見えているから今の内に命を摘み取っておくですって。失礼しちゃうわよね。私の、わ、私の作り出した人間があ、あんな、あんな災禍を巻き起こすなんて、まるで見通してたみたいに、う、うぅ……」

 

「……」

 

 フェルディナがまたべそをかき始めた。玄咲とシャルナはしばらく待った。やがて泣き止んだフェルディナが語る。

 

「……そう言って人間を虐殺しようとしたバエルを私と私が命を分けて生み出した、私を超える権能さえ持つ精霊神たちが全員懸かりで何とか止めた。そして相談の末、クロノスの力で1万年の時限封印を施すことにした。その間に考えや性根が変わることを祈って」

 

「なるほど……」

 

「らしい、理由……」

 

 実にバエルらしい理由だったので玄咲は得心と謎の安堵を得た、シャルナも納得していた。フェルディナの瞳にふと涙が過る。

 

「……でも、バエルのいう事もあながち間違いじゃなかったのかもしれないわね。だって、一度目の世界では人間は自ら自分たちを滅ぼしたし、二度目の世界でも結局王魔戦線時代という災禍を迎えるに至った。非の打ちどころのない傑作と呼ぶには、そうね。欠点が多すぎた。それは、確かに、悔しいけど、間違いないのかもしれない……」

 

「……ん? 一度目の、世界」

 

 シャルナが首を傾げる。フェルディナはああっ、と申し訳なさそうな表情をする。

 

「ああっ、ごめんなさい。一度目の世界なんてあなたたちに言っても分からないわよね。……そうね。少しだけ昔話をしましょう。そっちの方があなたたちにとっても、事情が分かりやすいだろうから。この世界の成り立ちと、今まで歩んできた歴史を。せっかくだから語ってあげましょう。それが責務ってものよね。かつて」

 

 自嘲。それを極めたかのような含み笑いをフッと漏らして、それからフェルディナは語り出した。

 

「かつて全てを産み出した創造神の成れの果てとしての。いい? 人類はね」

 

 そうして語り出したフェルディナの昔話は一行目から衝撃的なものだった。

 

「人類はね、過去に一度滅んでいるの。科学文明を極めた末にね」

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