カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~   作:哀原正十

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第6話 フェルディナの昔話2

「私は創造神。創る事しか能のない生き物。己が創造した精霊神にすら力で及ばない。その程度の生き物。でも、創ることに関しては誰にも負けない。その自負があったわ。

 

 私は人を創った。精霊を創った。世界を創った。森羅万象ありとあらゆるものを創った。神格が伴っていた全盛期の話だけどね。今の私にはね、もうそんな力はないわ。全くね。

 

 一度目の世界は科学文明を軸にした人の世界だった。私は人が幸せになる事を心から望んだ。そのために、人類に科学という創造の力を渡した。でも、それは人類には過ぎた力だった。

 

 ああ、科学というものは今でいう魔法みたいなものね。今の世界にもその名残はあるわ。リードデバイスがその代表的なもの。カード魔法なしで魔法を再現した世界を想像すると分かりやすいかもしれないわね。え、想像できない? えっと、シャルナちゃんだっけ。それは……ごめんなさい。私の解説力が足りなかったわ。ともかく魔法なしで魔法を再現する技術と思ってもらえればいいの。それはもう凄い技術だったんだから。

 

 でも、科学技術は発展し過ぎた。そして、人類は愚かだった。科学技術を人の生活を豊かにするためでなく戦争の道具とした。人類は極まった科学技術をもってしても互いに相争うことを止められなかったのよ。その結果、人類は核という最強の科学技術により滅んだ。創造できるかしら。立った一発の弾頭で国を亡ぼせる禁断の技術を。え? それは想像できる? ……あなたたちの世界、今どうなっているの?

 

 と、話が逸れたわね。最初の世界は科学技術により滅んだ。私は泣いたわ。泣いて、泣いて、泣いて、泣きまくったわ。どうしてこうなったのか。どうして幸せになって欲しかったのに逆の方向に行ってしまったのか。そして考えた末、科学技術が人には過ぎた代物だったのだと気付いた。だから今度の世界は魔法と精霊を軸にした世界とすることにした。そう、今のあなたたちにも馴染み深いカード魔法と精霊を軸にした世界を。

 

 精霊というのは私が生み出した精霊界というこの世界に隣接する、でもより高次の世界“第5次元”に住まう存在。第5次元の世界にあっては創造の自由度も桁違いで、それは精霊の多様性にもよく表れていると思うわ。精霊界の生命はより自由度の高いクリエイトのお陰で低次元の世界たる第3次元の人間界よりずっとのほほんとした、そしてより高次の世界に創ることに成功した。言わば精霊はあなたたちの先輩という訳。あなたたちを教え導いたり、共に戦ったりするのもその現れ。その精霊と共に次の世界では歩んでもらうことにしたの。いわば導き手という訳ね。少々自由奔放すぎる所はあると思うけど、それも愛嬌よね。うん。

 

 魔法をカードを介した技術としたのは一種の制約みたいなものだったの。あまり自由度を与えすぎるとまた科学技術みたいになるのではないかと恐れたの。でも、結局は科学と融合してカード魔法の技術が本来の想定以上に発展したのは誤算だったわ。科学は人に備わった力。それを完璧に奪うことは私にはできなかった。言ったでしょ。私は創る事しか能のない神だって。その程度の予測も立てられなかったのよ。

 

 でも、最初は本当に上手く行っていたわ。精霊の導きの下、人にカード魔法の技術を徐々に広めて、人はカード魔法の不思議と魅力に夢中になって、どんどん世界を発展させた。カード魔法を発展させた。その経過にリードデバイスという異物が絡んだのは想定外だったけど、誤差の範囲として許容することにした。なにせ、魔力という有限のエネルギーを基とするカード魔法なら悪用しようとしても限度がある。だから今度こそ上手くいくと思った。だけど」

 

 そこで言葉を一度切って、フェルディナは涙を一つ零した。

 

「世界転壊が起こった。そして王魔戦線時代が全てを狂わせた」

 

「王魔戦線、時代……」

 

「ここでも出てくるか……」

 

「知ってるのね。あの時代の事を。そうあの悲劇の時代が全てを狂わせたのよ。迫りくる魔界からの刺客魔族たち。それに抵抗するためカード魔法、そしてリードデバイスの技術は異常な速度で、それも戦争に特化して発展していった。そうしなければ生きていけなかったから。私も精霊たちもその手助けをした。惜しまず技術を授け、そして己もまた戦いに身を投じた。たくさんの、本当にたくさんの犠牲が出た。でも、その結果、何とか人々は王魔戦線時代を乗り切った。だけど惨劇の爪痕は人々の心に深く残った。……戯言よ。勇者カーンが世界を救っただなんて。戯言よ。全部戯言なんだわ。でないと、私のしたことって、いったい何だったのよ。一体、一体……」

 

「ど、どうしたんですか」

 

「ああ。ごめんなさい。また発作が……世間では勇者カーンが世界を救ったなんて言われてるけどあんなの戯言よ。真実じゃないわ。あんな奴、ただの偽善者よ。人の栄光を掠め取って、本来あるべきだった歴史を捻じ曲げ、ずっとその尻拭いを続けていただけの偽善者なんだわ。そもそもね」

 

 そしてフェルディナはこの世界で誰もが知らない歴史を語った。

 

「勇者カーンは私よ。私の転生体が勇者カーンであり、剣聖アベルを殺した世界一の罪人よ」

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