カード学園サヴァイヴ ~カードで全てが決まるゲーム世界の学園で狂人で軍人のゲーム廃人は天使のために最強になる~ 作:哀原正十
これはこれで気に入っているのですが、流石に末路がこれでは緊迫感と締まりに欠ける。
プライアのADとカードは多分永遠に本編には登場しません。
「ご気分はどうですか? 雷丈正人」
プレイアズ王城地下室。手術台のように冷たく無機質なテーブルに両手両足を縛り付けられた状態で正人はプレイアズ王国女王――プライア・プレイアズにそう声をかけられた。
正人たちはマギサに捕らえられてから魔符警察のブタ箱で蘇生され連日過酷な取り調べを受けた。拷問を交えたその執拗な取り調べにもうこれ以上吐くことがないほど情報を吐きつくされ、最終的に多用すると心を壊す恐れがある禁止カードで脳を洗われ情報の精査を行われた。そしてその最終工程を経て取り調べは一先ず終わった。
憔悴しきった正人は、だが精神を休める寸暇すら与えられず、手錠をかけられ目隠しをされ魔符警察にオラつかれながら別所に護送された。
そこがこのプレイアズ王城地下室だった。そしてテーブルに四肢を縛り付けられて女王と対面させられた。
プレイアズ王国女王プライア・プレイアズはいつ見ても、80歳という高齢にも関わらず20歳の女性にしか見えない程若々しく、美しかった。金色の頭髪は光のようで、白磁の肌も光のよう、そして金色の眼も光のようで、要するになんか光のようだった。その人間離れした透明感のある雰囲気と年齢不相応な美貌の秘密はプライアの種族特性にある。
プライアは精霊人だった。精霊人――つまり精霊と人の相の子。その種族特性がプライアの容姿の秘密だった。見た目老いずいつまでも若々しいままでいられるという精霊の特性を引き継いでいるのだ。ただし寿命は人間の特性を引き継いでいるので、若い見た目のまま老衰して死んでいく。プライアもいつ死んでもおかしくない。正人の学生時代からの思い人、プライア・プレイアズ。エルロード聖国と手を組んで国家転覆させてまで死ぬまでには犯したかった、憧れの人。
そのプライアが、20歳の美貌に、80歳の貫録を乗せて、正人に分かり切った気分を問うてきた。正人は吐き捨てるように言った。
「最悪だ」
「でしょうねぇ。でもこれからもっと最悪になるんですよ」
「……何を、する気だ」
正人は声の震えを押さえられなかった。テーブルに四肢を縛り付ける。それは女王への無礼の抑止以上に、正人が四肢を振り回して抵抗したくなるようなことをするという予告に他ならない。自分も同じようなことをしたことのある正人にはよく分かった。
「ふふ……みなさん、入ってきてください」
プライアの声を合図にぞろぞろと入口からたくさんの亜人が入ってくる。正人は顔を引きつらせた。
「……雷丈家には随分国を掻き回されましたからねぇ。生半可なことはしませんとも。恨みも溜まっています。私も、この方たちも」
「ま、まさか、その亜人たちは」
「ええ、アマルティアンです。何人かは知った顔もいるんじゃないですか?」
「いや、一人も知らん」
「ざけんじゃねぇ!」
「へぶっ!」
蝿の頭をした女性が正人に近寄って顔に拳を振り下ろした。プライアは止めなかった。
「私の大切な娘はあんたたちに奪われた! 返せ! 返せよぉ! 私の娘を返せよぉ!」
「娘……? あ!」
ナックルに捧げた亜人の中に蝿頭の女がいたことを思い出し、声が出た。
「まさか、まだ生きてるのか?」
「え? い、いや……死んでる、けど、私も望んでいたわけじゃなくて」
「う――うぉぁああああああああああああああああ!」
「おぶ、びゅへっ! や、やめ」
あっという間に正人の顔が血に塗れる。プライアが静止をかける。
「そこまでにしなさい」
「で、でも……!」
「復讐は、一人ずつ、回復魔法で癒しながら、順番に、です。またあなたの順番も回ってきますから安心してください」
「……はい!」
蝿頭の女はキッと正人を睨みつけて集団の後方に並び直した。いつの間にか集団は列をなしていた。その意味を察せれないほど正人はバカではない。むしろ天才で経験も豊富だ。これから自分に行われる行為の候補が一瞬で100も200も思い浮かんだ。血に塗れながらもそうと分かる程正人の顔が青くなった。
「まずは私からですね」
列の先頭に立つプライアが言う。想定外の事態に正人の頭の中が真っ白になった。
「――プライア。お前まで、私を、いじめるのか」
「は?」
「俺たち、同じクラスで一緒の授業を受けたよな。同じ食堂で飯を食ったよな。同じ空気を吸ったよな。俺たち――少なくとも、友達、だったよな? なんで、そんな友達に、こんな、酷いことを……!」
「いや、私たち友達でも何でもなかったじゃないですか。ただ1学年同じクラスになっただけじゃないですか、友達とか、やめてください。想像しただけでキモ過ぎて吐き気がします。うわ、蕁麻疹が……」
「貴様ァアアアアアアアアアア! 俺の純情を弄んだのかッ! 俺は、俺はずっとお前のことを……!」
ガタガタと拘束された体を揺らして喚く正人。プライアは吐き気でも堪えるかのように口に手を当ててこいつマジかという目で正人を見た。
「うっそでしょあなた。私にそんな感情抱いてたんですか? やめてくださいよいやマジで死にたくなるじゃないですか。あなた自分の容姿分かっててそんな言葉吐いてるんですか? ああ、分かってるからあんな痛い日記をつけてたんですね」
正人の動きが止まる。
「本当、よくあんな汚らわしいものを書けましたね。私だけでなく王女全員分あるってどういうことですか。発狂しそうになりましたよ発狂。あれさえ見なければもしかしたらこんなことはしなかったかもしれませんね(嘘)」
「……み、見たのか。私の、最大の秘密を……プライアッ! 貴様、見たのかッ!」
「ええ、そして」
プライアが懐から気持ち悪いくらいどぎついピンク色のノートを取り出し正人をキッと睨みつける。
「私と娘全員分複数冊に渡って書かれた妄想恋愛日記の中でも特に痛いこのアルルとの恋愛日記~便器編~をこの衆目の中で読み上げるのが私からのあなたの復讐です。いきますよ」
「や、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! やめてくれぇええええええええええええええええええええっ!」
正人の悲鳴と拘束を解こうと暴れる音をBGMにプライアはアルルとの恋愛日記~便器編の朗読を始める。
「優雅な私の優雅な朝はアルルの黄金色のモーニン――あ、ごめんなさい。キモ過ぎてやっぱ無理。そこのあなた。代わりに読んでください」
「は!(イケボ)」
プライアが一番近くにいたイケボの部下に妄想恋愛日記を渡す。プライアの部下が朗読を開始する。
「いきますよ(イケボ)」
「や、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! やめてくれぇええええええええええええええええええええっ!」
「優雅な私の優雅な朝はアルルの黄金色のモーニングシャワーを顔に浴びせかけられるところからスタートする。そしてそのまま暖かい愛液を口に頬張り、くちゅくちゅうがいしてアルルに口移しで飲ませてあげるのだ。『僕の体液、おじさんの口の中で醸造されてワインみたいに美味しくなっちゃってるニャン♡』『100年でも200年でも醸造させておけるよ。君のためならね』そして私たちは幸せなディープキスへと移行しベロで互いの口掃除をする(イケボ)」
「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
「次はおウンチにゃん♡(イケボ)」
「『あー……僕の中、汚物塗れニャン……♡』 私はアルルから便器ブラシを引き抜いた。使い終わった便器は掃除しなくてはいけない。メイドに任せず自分で掃除をするなんて私はなんて勤勉なんだろう。私は恍惚に身を震わすアルルを見てごくりと唾を飲み込む。昔のプライアとうり二つの容姿。ああ、たまらない! たまらない! たまらない! 便器ブラシのタワシ状のごわごわの先端は赤と茶と黄金色のぬめりでてら光っている。ゴクリ。私はタンポンを口に含むがごとく便器ブラシの先端を口に含んだ。じゅわりとした臭みが口と鼻の中に広がって、私の脳を恍惚で焼いた。『ディ・モールト・ベネ』『う、あああああああああああああん……! 僕、またイっちゃったニャン……その顔でその台詞は反則ニャン……♡』『ふふ、私は外見も中身も格好いいから仕方ないね』『ね、おじさん。そろそろ僕を、いつもみたいにおじさんの便器ブラシで掃除して欲しいニャン……♡』『そうだね。それじゃいつものようにお掃除トイレ掃除と行こうか』私はズボンを脱いだ(イケボ)」
「もういいです。気持ち悪すぎて聞いてられません。貸してください」
「はっ!(イケボ)」
プライアは部下から妄想恋愛日記を受け取り、「カヒュー、カヒュー」と擦り切れた呻きを上げる雷丈正人に近づいていく。そして狂気の沙汰の便器ブラシSEX♡の章を見開きで正人の顔面に突き付けながら冷たい視線を送る。
「気分はどうですか? 外見も中身も汚物以下の糞ゴミ正人」
「殺してくれー……殺してくれー……」
「ちょっと黒歴史を読み上げられたくらいで何ですか。相変わらず打たれ弱い糞雑魚メンタルですね。それにしても……フ……フフ……」
プライアは妄想恋愛日記を読みながら笑う。笑って、そして、その両端を両手でガシッと握り。
一気に引き裂いた。紙片が雷丈正人の涎垂らしの顔に舞う。さらにプライアはぐしゃぐしゃに握りつぶした紙束を雷丈正人の顔に切り叩きつけた。
「よくも私の愛する娘に妄想の中でとはいえこんなおぞましいことをしてくれましたね! クーデーターが成功してたらこの妄想恋愛日記が現実になってたってことですかぁ!?? ああっ! 本っ当にッッッ!!! 気持ち悪いっ! 気持ち悪いっ! 気持ち悪いっ! しかもなんなんですかこのニャン語尾は!? アルルはこんなキモイキャラ付けしません! それにこの性格! 一人称以外リアルのアルルの性格ガン無視じゃないですか! あなたって本当に女性の外見しか見てないんですね! だから妄想の世界でしか女性と付き合えないんでしょうねッ!!! 死ねっ!!!!!」
「う、うぅ、プライアぁ……どうして私にそんな酷いことが言えるんだよぉ……俺は、お前のこと友達だと思ってたのに……」
「妄想の中で犯すような相手を友達とは呼びません! それはズリネタと呼びます!」
「そ、それの何が悪いッ! 女性なんだから男性に奉仕するのは当たり前だろうがっ!! 妄想の中でぐらい好きに犯したっていいだろうがッ! 実害はないんだから! この不寛容なフェミニストが!」
「ッ! 実害を及ぼそうとしていた屑がよくもそんな台詞を吐けましたね! 本当、あなたって最低の屑ですね! このッ!」
「ぐぶべっ!」
プライアはもう片方の紙束も正人に叩きつけた。そしてフンッ、と鼻をならし背を翻した。
「ま、私からはこれくらいにしといてあげます。あなたにはこれから本物の地獄が待っていますから」
「うっ! あ、あぁ! 待ってくれプライア! 俺を許してくれ! 友人だろ! 俺を、助けてくれよぉッ!」
「知りません。私、あなたの友人だった時なんて一時もないので」
「プ、プライアぁああああああああああああああ!」
「じゃ、私もうあなたに付き合うの疲れたので退室させていただきますね」
「プライア、お願い」
「じゃ、永遠にさよなら」
プライアは扉を閉ざした。
「どうですかー? 終わりましたかー? あら」
1日後、同室に再来したプライアは正人の末路を目にした。
「あらあら、見事な活け造りですこと。まだ生きてるの?」
プライアの部下の回復魔術師が答える。
「はい。ただ、我々ももう魔力がないのでもうすぐ死にます。持ってあと数分といったところでしょうか」
「いいタイミングでしたね。では、屑の最後の言葉を聞いてみましょうか。正人、言い残すことはありますか?」
「……ごろ、じで、ぐだざい」
「……そうですね。元同級生のよしみです。最後くらいは私が殺してあげましょうか。みなさん、よろしいでしょうか?」
アマルティアンたちが同意の声を返す。どうやらもう十分復讐は果たせたようだった。
「では」
プライアはカードケースから2枚のカードを取り出した。
「武装解放――
ランク10。補正値300。白と金色で編まれた荘厳な意匠の槍がプライアの手に握られる。続けてカードを挿符。
「ニルヴァーナ・エンド」
正人の心臓に白く輝く槍を突き刺す。
正人の全身が一瞬で光に転化し弾けた。光属性。ランク10。ニルヴァーナ・エンドの効果は攻撃が命中した相手のあらゆる防御効果を無視した一撃死。光となった相手がその後どうなるのかプライアには分からない。けれど正人の場合はどうせ地獄に堕ちたのだろうなとプライアはほくそ笑んだ。
「さて、次はあなたの番ですよ?」
部屋の隅、猿轡を噛まされ四肢を縛られ床に転がされたゴルド・ジョンソンは恐怖のあまり失禁し脱糞した。