更新ペースを少し上げて遅れた分も取り戻していけたらと思います。
ミレニアム郊外には『廃墟』と呼ばれる廃都市エリアが存在する。
連邦生徒会によってかなり前から立ち入りが禁止されている場所を先生が選んだ理由、それは
廃墟を見上げる先生に、小柄な少女が話しかける。
「なあ先生、本当にやるのか?」
"彼女を止めるにはこの方法しかない。本当は話し合いをしたかったんだけど……。"
先生に並び、少女も廃墟を見上げる。メイド服の上にスカジャンを羽織る格好をした彼女は美甘ネル。C&Cのリーダーであり、コールサイン00。ミレニアム最強と言われている。
ネルは無線を繋ぐ。
「アスナ」
「はーい!」
「カリン」
「位置についたよ」
「アカネ」
「セット完了です」
三人の少女の声が無線から聞こえ、先生とネルは顔を見合わせる。
"準備はいい?"
「来たぜ、ターゲットが」
音が聞こえた方向へ顔をやるとバイクに乗ったリンネが現れた。大きなバックを体に抱いていることから、戦闘の意思があることが感じられる。
リンネはバイクから降りて三歩前に進む。
「話ってなんですか先生。C&Cの人がいるのは聞いてないですよ」
"お互い様だ。私もリンネが銃を持ってくるとは思わなかった。"
「それよりも、あたし達のことをなんで知ってる? 先生にでも聞いたか?」
リンネは何も言わず、バックを開ける。その中から選んだのはいつもの拳銃。
「私が抵抗するってわかってここに呼びましたよね?」
「はっ、物分かりがいいじゃねぇか! そうこなくっちゃなぁ……!」
先生はシッテムの箱を起動。ネルはツイン・ドラゴンを構える。対するリンネはバッグを置いて距離を詰めていく。リンネの一挙手一投足に目を凝らす二人。リンネの体が揺らぐ――
"…………ッ!"
音もなく詰め寄られたのはネルではなく、先生。ネルにとっても、先生にとっても予想外の行動。ネルは体を反転させてリンネを掴み、先生から引き剥がす。
「最初に先生狙うなんていい度胸してるなぁ!!」
廃墟内部に転がり込むと、リンネはプレスプロミネンスの引き金を引く。柱一本を貫通しても勢いが止まらないことに内心焦りを感じつつ、ネルもツイン・ドラゴンの引き金を引く。
激しい銃声で鼓膜が破れそうになりながらも、先生はカリンに後方支援を指示する。
"カリン!"
「了解」
全体が見えるポイントを先取りしていたカリンはホークアイを構える。リンネに狙いを定て放たれた弾はリンネの頭部にクリーンヒットした。
「っ!」
「おらあっ!!」
ネルの鋭い蹴りが刺さり、リンネは空気を吐き出した。その隙を逃さず銃弾の嵐が襲う。
「どうしたどうした、そんなもんか!」
よろめくも膝をつかないリンネの前に、大きな人影が降りてきて
「アスナ! いっくよー!」
サプライズパーティーから放たれた弾丸が頭部、腹部、右足に命中する。
"アスナ!"
「りょーかい!」
リンネを持ち上げたアスナはそのまま奥へ投げ飛ばす。ネルと先生はリンネを追いかけるように中に入ると、アカネが待ち構えていた。
「排除いたします」
その言葉と共に爆弾が作動。リンネは倒れる柱とコンクリートの下敷きになった。
「これで大人しくしてくれるかな?」
「気を抜くなよ。あいつ、隠してるかもな」
「隠してる、とはどういう――」
"本来の実力だよ。"
三人は警戒を緩めることなく先生の話に耳を傾ける。キヴォトスの中でも最強と数えられる中にリンネは入っていない。だが、彼女の動きや技能を見るに、本気を出した時のリンネは最強に近づく。
「部長」
「どうしたカリン」
カリンからネルに無線が入る。
「ターゲットの姿が見えない」
「あぁ…………?」
♢♢♢
「いった~」
情けない声を上げながらバイクの元に戻るリンネ。体は傷だらけで満身創痍。とても戦える状態ではない。
何がそこまで彼女を動かすのか。誰にも理解されないであろう感情のままに動くリンネという生徒の異質さ、歪さも関わっているのか。いや、そんなことはどうでもいい。
プレスプロミネンスから持ち替えたのはマシンガン、ツイン・ジャックポット。
本来、二人で使うことを想定したマシンガン。リンネはそれを一人で扱おうというのだ。
「よいしょっと」
近くの壁に隠れて様子を伺う。先生の指揮のお陰か自分の居場所はバレバレ。リンネは自分が追い込まれている状況に小さなため息をつく。
ジャリジャリと、砂を踏む足音が大きくなる。
「第二ラウンド、開始といきますか」
リンネの呟きは空に消え、逆襲が始まる。
最恐の生徒、転廻リンネ。
ミレニアム最強、C&C。
先生方はどっちを応援する?