反転生徒はキヴォトスをかき乱す   作:オルソル

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 第二章、スタートです。

 


第二章 【カムバック・レトロ編】
転廻リンネ、超人の話を聞く


「先生、当番に来ました」

 

 昨日あんなことがあったのに何食わぬ顔でシャーレにやって来たリンネ。私はどう声を掛けていいかわからず、黙々と仕事をこなしていた。

 

「あ、そうだ先生。不知火カヤって人に会いたいです。矯正局に連れて行ってもらえませんか?」

 

 その言葉に耳を疑う。だが、悔しいことにカヤとの面会の日。断ることは出来なかった。

 

♢♢♢

 

 先生とリンネは矯正局にいた。不知火カヤとの面会のためだ。部屋に案内された二人はパイプ椅子に座ってカヤを待つ。

 向かい側のドアが開いて、カヤが警官と共に入って来た。

 

"カヤ。ちゃんと反省してるかい?"

 

「反省しています」

 

 少しぶっきらぼうな言い方をするカヤ。反省しているように見えないのは気のせいではないだろう。恐らく今でも自分を超人だと思っている人間だ。面構えが違う。

 

「そちらの方は?」

「転廻リンネです。ゲヘナ学園の二年生です」

 

 リンネがカヤに自己紹介をするも、興味がなさそうにそっぽを向く。独善的な性格をしている、そう思った。このバカのせいでデモやら検問に巻き込まれたからたまったもんじゃない。

 先生から聞いた話によると、クーデターを起こして失敗したそうだ。超人(バカ)にはお似合いの末路。

 

「あの、カヤさんのお話を聞かせてください」

「はい? 今更何を」

「カヤさんの考える超人について知りたいんです」

 

 リンネの言葉を聞いた途端、カヤの目に光が宿る。元々宿っていたけど、眩しさが増したように先生は感じた。そこから先はカヤの独壇場。

 自分が考える超人の在り方をリンネに説くカヤは何一つ変わっていない。先生はそれを見て嬉しく思うと同時に、早く反省して欲しいという思いも募らせた。

 

"カヤ。話している所悪いけど、もう時間だから。"

 

「え、え、そんなまだ話足りないのに」

「面会は終わりだ」

 

 駄々をこねる子供のようなカヤを警官は無理やり部屋の外に連れ出した。

 部屋には先生とリンネの二人きり。カヤの話を食い入るように聞いていたリンネに先生は尋ねる。

 

"カヤの話を聞いて、どうするつもりなの?"

 

「どうもしません。ただ、考えが面白いなって思っただけです」

 

 リンネは柔らかな笑みを浮かべる。先生に対するアプローチなのか。

 

"あまり大人をからかうんじゃないよ。"

 

 リンネに釘を刺して矯正局を出る先生。今日は忙しくなりそう……でもないか。

 

♢♢♢

 

 シャーレに戻るまでの間、私は話を思い出していた。

 不知火カヤ。彼女の超人の考えはとても興味深い。力こそ全て。圧倒的な権威の前には何もかも無力。いわゆる独裁政治。

 

 だが、七神リン。彼女の方が上な理由は明確だ。人徳。彼女には人徳が圧倒的にない。これだからクーデターが失敗するんだ。

 

 なにより刺さったのは、恐怖。キヴォトスには恐怖が足りない。恐怖は振りまくものであり、届けるもの。だったら――

 

"リンネ?"

 

「あ、ごめんなさい先生。ぼーっとしちゃって」

 

 私が導く者(嚮導者)になればいい。

 

 

 

 翌日、先生の耳に飛び込んできたのは、トリニティ総合学園が襲撃されたという知らせだった。




 おいおいおいおい! リンネちゃんが行動を開始しちゃったよ!

 カヤが悪いんだよ、リンネに超人の話なんてするから。責任取って矯正局にずっといろ。
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