話がある。ヒナはわざわざ部室にまで来て言った。まあ、想像はつく。
私のことを調べているのはわかる。優等生の私がそんなことをしたと言えばどうなることか。
「リンネ。あなたが……トリニティを襲撃したの?」
「そんなことしてません」
「嘘をつかないで」
ヒナが一枚の紙を見せる。
「ヴァルキューレから預かった資料にあなたのことが書かれていた。この紙に書いてあることが事実なら、退学処分にしなきゃいけない」
あーまずいな。退学処分は流石に困る。どう答えようか考えていると、ヒナのスマホに着信が入る。
「そう。わかった」
ヒナが部室から飛び出した。私は急いで追いかけた。
♢♢♢
「ハーッ八ッハッハ! さあ、温泉開発だー!」
温泉開発部が駐車場に穴を掘っていた。性懲りのない連中だ。
「んん? リンネじゃないか! 隣にいるのは……………………」
ヒナと目が合った。
「ひっ、ひえぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
尻もちをついて情けない声を出すカスミ。滑稽だ。一人なら大笑いしていた。
温泉開発部に向けて愛銃を向けるヒナ。次々と倒れていく部員を見ながら縮こまって頭を抱えている。
本当に面白い。
「アコ」
ヒナの呼びかけにアコが動く。温泉開発部を車に乗せて去っていく。
車が去ったのを見届けると、私に向き直る。
「さっきの質問、まだ答えてない」
「あー……」
この際はもう仕方ないか。ヒナの目を見据える。
「トリニティを襲撃したのは……私です」
「……あなたを退学処分にする。問題になる前に責任を果たさないと」
今までの関係が変わった。委員長と一生徒の関係が、学園を守る者と反逆者へ。
流れに乗って自白してしまったけど、このまま終わる気はない。まだまだゲヘナでいるつもりだ。そのためには委員長に消えてもらうしかない。
「ヒナ委員長」
ヒナが動いた一瞬を見逃さず、私は足を掴んで大穴に投げ飛ばす。悲鳴を上げることなく吸い込まれる。
いつもなら笑っているのに、今回は何の感情も出なかった。温泉開発部が穴を掘ってくれて助かった。
落ちていた銃とスマホを拾い上げる。勲章として部室に置いておこう。見つかったらまずいし、隠しておくのもありかな。
「私に居場所をくれてありがとうヒナ委員長。少しの間辛抱してて」
そう呟いて部室に戻った。
♢♢♢
ヒナが行方不明になった。アコから送られてきた一文を見て先生とホシノはゲヘナ学園に向かっていた。
「あの風紀委員長ちゃんが行方不明なんて。ありえない」
"間違えてなったわけでもなさそうだ。"
ヒナは責任感の強い子だ。自分から仕事を投げ出すようなことは絶対にしない。もし仮にリンネが関わっているのなら、止めなくては。
"リンネ、今行くよ。"
「リンネちゃん…………先生」
先生は覚悟を決めるが、ホシノはその姿に不安を覚えるのだった。