反転生徒はキヴォトスをかき乱す   作:オルソル

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 昨日は投稿できず申し訳ありません!

 今回は短いです。


セミナーはリンネの秘密に触れる

 ユウカの操縦するヘリは全速力でシャーレを目指していた。燃料切れになる前にという焦りもある。

 だが、一番は疲れている先生を看病できるのは私だけという個人的な感情が八割を占めていた。

 

「先生。……先生?」

 

 反応がないのを見ると、寝ている可能性が大きい。ユウカは十割増しになった感情を顔に出さないようにしつつ急いだ。

 

「起きてください先生。シャーレに着きましたよ」

 

 ヘリを止めて声をかけるも返事がない。周りを見渡しても誰もいない。

 これは、先生を自由にできるのでは……! 

 

「せ、先生……ちょっとお体に、触り、ますね」

 

 操縦席を降りて先生をゆするも起きる気配がない。今度は少し力を入れてゆすってみる。

 

(これでもダメ? かんぺき~! な作戦だったのにー!)

 

 見られたら勘違いされる。なのにドキドキが止まらない。早く仕事をしてもらわないといけないのに。何があったか説明してもらわないといけないのに。

 

「こうなったら……!」

 

 最終手段。前にノアがやってたように、私も……!

 

「先生……」

 

 先生の体がビクッと震える。耳元で囁かれるのがくすぐったいのかな。ユウカは息を限界まで吸い――

 

「いつまで寝てるんですかーーーーーー!!」

 

"うわああああああああああっ!!!!"

 

 飛び起きた先生はユウカを巻き込みながら落ちる。偶然にも、先生をユウカが押さえつけるような形になった。

 互いに頬を赤らめる。

 

"ごめんユウカ!"

 

「い、いえ。別に何の問題もありません。これはただの事故、そう事故です。決して私が先生を押し倒したとかそういう訳じゃなくて飛び起きた先生が偶然下になっただけで私が悪いんじゃありませんから!」

 

 恐ろしい速さで言い訳をするユウカ。こういったことは何度かあったけど、先生の前で言うのは恥ずかしい。

 

"ユウカ。"

 

「なんですか」

 

"どいてもらえると嬉しいかな。"

 

「っ~~~~! 私は重くありませんから!」

 

♢♢♢

 

 事務室に入る。二日ぶりに来てみたけど、書類の山がない。ユウカがやってくれたのだろうか?

 そう思い尋ねると、誇らしげに胸を張って返事した。やっぱりユウカは頼りになる。

 

"いつもありがとうユウカ。私がいない間大丈夫だった?"

 

「大丈夫なわけないじゃないですか」

 

 コーヒーの用意をしながら答えるユウカ。この二日間キヴォトス中は大騒ぎだったらしく、首が回らないほど大変だったそうだ。

 コーヒーの入ったカップを机に置き、ユウカは先生の隣に座る。

 

「あの、先生。先生のサインがどうしても必要な書類以外は全部目を通しましたから。コーヒーを飲んだら、休んでください」

 

 それはユウカなりの気遣いであり、最近様子が変な先生に対しての心配の表れでもあった。

 ゲヘナ学園の制服を着た生徒が来てから先生の行動が変わったように思えた。生徒が先生を振り回すのはいつものことだけど、先生自体を()()()()()振り回すのは初めてのように感じた。

 

 ユウカの補佐を受けながら書類を目に通した先生は、コーヒーを一気に飲む。

 ごちそうさま。ユウカにそう言うと、先生は休憩室へ向かった。

 

 

 

 先生が出て行った後、事務室に入る生徒がいた。

 

「ユウカちゃん、お疲れ様です」

「ノア」

 

 ノアと呼ばれた少女は、ユウカのことを見てにっこりと笑う。

 生塩ノア。ユウカと同じくセミナーに所属する長い銀髪と薄紫の瞳を特徴に持つ生徒だ。

 ミレニアムへの帰り支度を済ませたユウカはノアと共に事務室を出る。道中、ノアが深刻な顔をしてユウカに質問する。

 

「先生に何か変わった様子はありませんか?」

「? 特にない……って言えないわね。昨日は何も食べてなさそうだったし」

「正確には二日前、ですよ」

 

 先生のスケジュールを把握し、思い通りにできる生徒は何人もいる。だが、ここまで思惑通りに動かせるものだろうか。

 偶然を装うにも無理がある。それに、モモトークという連絡手段があるにも関わらず。

 

 ユウカが手元のタブレットを操作して手動から自動操縦に切り替える。ヘリの後部座席に並んで座り、目的地をミレニアムに設定。

 ミレニアムに向けて飛び立つヘリ。ノアはユウカの目を見据え、大事な話をすると言った。

 

「私からの個人的な依頼としてヴェリタスに『調べて欲しい生徒がいる』と依頼しました」

 

 ノアが取り出した一枚の紙。その紙には転廻リンネの個人情報が記載されていた。

 だが、裏面を見たユウカは青ざめる。血濡れになったリンネを写した画像が印刷されていたからだ。

 どこかの防犯カメラの映像? それともドローン? あまりにも鮮明過ぎるが故に、吐き気を催した。

 

「なに、これ」

「……皆さんの反応も、ユウカちゃんと同じでしたから」

 

 ノアはこれ以上ユウカの心を傷つけないように紙をしまう。

 

「詳しい話は戻ってからにしましょう」

 

 ユウカはしばらく声を発することができなかった。

 二人の心境を表すように、ヘリは無機質な音だけを立てていた。

 

 

 

 

  




 ここで一つ、時系列について。
 先生は今シャーレの爆発で大変になっていますが、その前。百花繚乱編の後のお話になります。
 
 まだ学校内での問題に発展していないリンネの行動。ミレニアムがリンネのことを掴んだということは、危なくなる可能性も出てきたということ。
 下手をすれば生徒同士の戦い、学校間での戦争なんてことにもなるかも。

 先生が頭を抱えて奔走する様子が見える見える……。

 大人なんだから責任取ってよね!
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